授業終わりのチャイムが鳴った。何の変化もない、いつも通りの授業だった。
「はい。これで授業終わりね。早めに帰るんだぞ。」
今日は5時間授業で、いつもより早く帰れる日だった。しかし、俺の意識はあの今まで見たことのないスモークエネミーズに向いていた。あのスモークエネミーズは、授業中に文字通り何もせず動かなかった。何か狙いがあってのことなのかは分からないが、放っておけないのは確かだ。様子を見ることにしようと思う。

校舎から出ると、あのスモークエネミーズに人だかりが出来ていた。いつのまにかでてきたあれが気になったのだろう。俺は急いで止めに向かった。
「おい、ちょっと下がってた方がいいんじゃないか?」
と、修也に言った。しかし、
「大丈夫じゃね?これ全然動かねーし。どうせハリボテだろ。」
それが大丈夫じゃないんだ!とはさすがに言えず、どうしたらこいつらを離れさせることができるか考えて、右往左往していた。どう言えば納得して離れてくれるだろうか。いつこいつらを襲ってもおかしくないぞ。と、思った矢先にスモークエネミーズが動き出した。やっぱりと思った時にはもう遅く、口からなにかビームのようなものを修也たちに向かって吐いていた。なにが起こったか分からなかったが、急いで修也たちのところに向かった。駆け寄ったころには、そこにいた先生と生徒全員が石のように固まっていた。
「修也!修也!」
呼びかけには全く応答せずにただ固まっていた。どういう事かはよく分からないが、下手に触って状態を悪くしても意味がない。まずはこのスモークエネミーズを倒すことが最優先だ。幸い今は誰も俺を見る者はいない。
「ミストアップ!」
そう叫び、変身した。いつも戦っている奴らよりも大きいこいつとどうやって戦うか迷うが、戦い方はいつもと同じでいいだろう。そう考えて正面から走って攻撃を仕掛けようとした。が、さっきのようなビームを吐いてきた。急いで跳び上がり回避した。触れると石になるビームの原理が知りたいところだが、あれには触れないようにしないと。しかし、走り回ってもそのビームが止まることは無く、らちがあかない。そこで
「そーらっ!」
と、剣を投げた。ちょうどビームを吐いていた時に投げていたので、口の内側から首の裏側まで貫通する形になった。我ながら大胆な作戦だったが、うまくいってよかった。しかし、最後にビームを受けてしまったと思うのだが何ともないな。あのスモークエネミーズも、倒しても煙が出なかったし…。あ!そんなことより!と思い出して、修也たちのところへ向かった。
「修也!修也!」
変身を解除して呼びかけてみるが、返事がない。ん?解除したときにでた煙が当たった個所だけ…治っている!?…まさか…と思いつき、パイプの中の煙をそこら中にまき散らすと、全員がもとに戻った!おそらく、ビームを受けても平気だったのはこのおかげか。

「ん?あれ?俺なんでここにいるんだっけ?」
「知らないよ。俺に聞くなよ。」
煙でここにいる全員の記憶を消すことができたからよかったけど…あのスモークエネミーズは初めてだったからな。警戒しておこう。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

誰も知らない一人の夜明け 第9話 異変の解決

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投稿日:2018/04/23 07:11:43

文字数:1,299文字

カテゴリ:小説

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