#「幽霊ちゃんとお話しませう」



ある土曜日、かなりあ荘は静かだった……

共同リビングでお茶を淹れて静かに飲む管理人しるる


「……お茶、うま」


ずずーっと音を立てて飲む

歳よりくさいかもしれないと思いつつも、誰かがみているわけじゃないし、いいかと思う

しるるは暇を持て余していた


「……静かだなぁ……みんな、いないのかな?」


ターンドッグさんと、雪リンゴさんは出かけていくのを見た

イズミさんとつかさくんは一緒にお出かけ

他にも、色々用事があるといって出ていく人が多かった


「あ、そだ!ゆるりーさんのとこに遊びにいこっと!」


思いついたままに、私は202号室の前に行く

そして……


「あそびにきましたー!!」


私はノックもなしにゆるりーさんの部屋に突撃する

鍵もついてないアパートの扉はプライバシーというものは無いに等しい


しかし……部屋の中は一人用の冷蔵庫が、ぶーんと音を立てて唸っているだけで、ゆるりーさんの姿はなかった……

がっくし……




私は仕方なく、共用リビングに戻る

そして、再びお茶をいれて、ずずーっと飲む

六月下旬……むしむしとした暑さが、お茶のせいで余計に暑く感じる

というか、実際にお茶のせいだ


「んー……やっぱり、冷たいものがいいな……」


しかし、冷蔵庫にそれらしいものは入ってない

そして、外には出たくない

基本的に暑いことに弱すぎるしるる

夏本番を前にして、すでにつらい

対して寒さに強いのは、北国の出身だからなのだろうか



かなりあ荘には、エアコンはもちろん、扇風機さえない

そうなれば、ただただ溶けるしかない、しるる


「うぅ……暑いし、ヒマだし、お茶だし……」


お茶なのは、自分で淹れたからである


「……着替えよ」


やることもなく、あまりに暇な私は自分の部屋に戻って服を脱ぐ


「せいっ!」


そして、意味もなく、脱いだ服を壁にぶつけてみる

なんとなくすっきりした


それを拾って、畳んでコインランドリー用のかごに入れておく

新しい服に着替えた私は、またやることがなくなった




布団に大の字で横になると、枕元にあるシルルスコープが手に当たった


「あ!そうだ!お化けさんを、さがそう!」


やることを見つけたしるる

前に探したときは、結局見つけられなかった……こんどこそ!


シルルスコープの電源を入れる

……ところで、シルルスコープって、眼鏡状のものを想像していないだろうか?

……シルルスコープとは、そんな見た目でわかるものではない

……どんな形状か?

……知らなくてもいいことは、世の中にいくらでもある

……これもそのうちの一つさ


……と、色々、省いたところで、あたりをきょろきょろと見回す、しるる

そのまま、共同リビングに戻ってみると、そこに一人で座っている着物の女の子がいた


「あ、えっと…………また会ったね!」


笑顔で手を振ると、その子は驚いた顔をする

いや、さっきの間は、断じて、名前を忘れたわけではない


「……しるるさん。やっぱり、私のこと見えるんですね?」

「ん?うん?なんで?」


しるるの上に「?」と浮かぶ

決して、「ドわすれ」という、とくぼうがぐーんとあがる技を使ったわけではない


「……いえ。怖くないんですか?」

「ん?どうして?」


再び「?」が浮かぶ


「……気づいているんですよね?」

「ん?え?何が?」


三度の「?」


「……私が……普通の人じゃないって……」

「ん?え?あ、着物を着てるから?」


四度目の「?」だが、【もう しるるのとくぼうは、これ以上、上がらない▽】

というよりも、しるるの脳ではこれ以上は、理解できない


「……わざとですか?……いいんですよ、気を遣わなくても……どうせ幽霊なんですから」

「ん?」


しるるの思考が一回止まる……

幽霊?

幽霊って……お化け?

お化けって……あのお化け?


そして、しるるの思考が動き出す

顔の血液がサーっと引いていくのがわかる




「やあああああああああああ!!!!!!」


これこそ、心霊現象じゃないかというくらいの大声で叫ぶ




ホラーとかが大嫌いなしるる

じゃ、なんでお化けを探そうと思ったのか……

なんてことはない……「ホラーが苦手」ということを忘れていただけだった

そして実際、【苦手なものは忘れる】というのは、ネタでもなんでもなく、しるるの特技である

これを発動すると、周りからは【色んな意味で心配される】






私の目の前にお、おば、お化けがいる!


「あ、あの……し、しるるさん?」


幽霊ちゃんが私の声に驚き、心配そうに近づいてくる

私はそれから逃げるように後ずさりする


「こ、こないで!私、ホラーとか、お化けとか、苦手で……あなたがお化けだって知らなくて……」


震えた声で、幽霊ちゃんの足をとめる


「え……あ……そうだったんですね……」


その時の幽霊ちゃんは、とても悲しそうな顔をしていた


「ごめんなさい……私、勘違いしてしまって……ごめんなさい!!」


幽霊ちゃんは、光るものを浮かべながら、私に背を向けてどこかにいってしまった



…………幽霊ちゃん
















…………何て名前だっけ?



しかし、しるるは、そんなことには気づかずに、彼女の名前が思い出せずに気になっていた……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

幽霊ちゃんとお話しませう【byしるる】

清花ちゃん第三弾

幽霊ちゃん発見編でした
清花ちゃんを泣かせたしるる……
やっと、自分のことを見える人と出会えたのに……
しるるさんは、幽霊とか、お化けとか、そういうのは本当に苦手なのです

ちなみに、ある土曜日とは、わかる人にはわかる土曜日のことですよ←


**しるるニュース**>>コラボ参加者以外は読んでもイミフ←

しるるが使うシルルスコープが量産開始!
量産型シルルスコープは、製造コストが抑えきれず、製造が難航
しかし、お近くの「ネルネル・ネルネ」にて、明日より先行発売決定!ww
気になるお値段は、80ポイントとの交換となっております←高いですねw
アパートのランクが上がると、普段もらえるアイテムのレートも上がりますw
ランク1では5ポイントが基準でしたw

近々、ワンデイ・シルルスコープという「使いきりシルルスコープ」も導入予定
こっちは安いよww たぶん、30ポイントくらい←まだ高い
詳しくは、ターンドッグさんに聞いてねww←投げた


幽霊ちゃんの過去
『かなりあ荘の幽霊』http://piapro.jp/t/q2CZ

幽霊ちゃんと遭遇編
『幽霊ちゃんと遭遇しませう(前後編)』 http://piapro.jp/t/n3vh

閲覧数:187

投稿日:2013/06/30 06:49:12

文字数:2,305文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    なんか投げられた!!wwwww
    之も入れるべきなの!?ww

    元ネタは双眼鏡でしたけどねwwスコープ。
    (そう考えるとレッドさんはあれを装着しながらポケタワ歩いてたのか……シュールww)

    とりあえずネルちゃん、今シルルスコープを持っているのは虐めたしるるさん←を除けば君だけだ!!
    慰めてきなさい!!←

    2013/06/30 11:51:55

    • しるる

      しるる

      後々ねw

      あー試作一号機ねw
      あれは電源コード短いからなー
      清花ちゃんから寄ってこないと使えない←

      2013/06/30 15:35:57

  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    こんにちは。

    あ、清花ちゃん泣かせましたね?(黒)←
    でもホラーが苦手なしるるさんも、泣いているような…

    土曜日って昨日ですね、わかりまs((

    シルルスコープって、眼鏡型ではないと私は思ってましたよ?
    だけど欲しいですねw

    2013/06/30 11:05:56

    • しるる

      しるる

      あ、ダークゆるりーが垣間見えたww
      ぎ、ぎく……な、泣いてなんかないもん!←

      一番、ゆるりーさんに使ってみてほしいかもですw
      どんなふうに清花ちゃんと絡むのかww

      2013/06/30 15:34:16

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