ガチャ…
グワ~ン、パーパー、ブロロロロ…
3番目の部屋の中はとてもうるさかった。部屋の外から車のクラクションや電車の騒音が響いてきた。僕は思わず耳を塞いだ。そのくらいうるさかったのだ。耳は塞いだまま僕は部屋を見回す今までの部屋と違いこの部屋には窓があった。外の景色から見てここは地上よりも少し高いところにあるのだと見当が付く。
そして僕は、この部屋にも人が1人いることに気づいてしまった。僕より少し背が高い彼は、窓から半分身を乗り出すようにして、このうるさい世界に向かって叫んでいた。いや、あれは歌っているのだろう。
じゃあすぐに止めなくては、僕は前の2つの部屋で起きたことを思い返す。この世界の人は自らを代償として歌を歌っているのだ。無邪気に歌を歌い色を増やした少年や自らの安寧の地を守ろうとした少年のように…
「 」
僕は、身を乗り出して歌っている青年に近づき歌うのを止めるようにさとした…つもりだった。この世界はうるさ過ぎる。僕の声は彼の耳に届く前に脆くも落下した。しかし、何か言いたそうだと彼も気づいたのだろう。不機嫌そうな顔をして窓を閉めてくれた。騒音は少しは小さくなったもののまだ十分にうるさい状態だった。
「それで、何なんだ君は?」
その青年が話しかける。
「今すぐ歌うのを止めてください!でないとあなたは…」
「代償のことなら知ってるよ。」
僕が両手を耳から外し熱弁すると、それを遮るように青年は言った。
「じゃあ、なぜ?」
僕が問うと彼はめんどくさそうに口を開く。周りがうるさいので必然的に僕らは話す声が大きくなる。
「僕はレン。この世界で認められたい、それだけだ。」
僕は彼がまたもやレンという名前だったことに驚きつつ、問い返す。
「認められたい?」
それに対して3番目のレンは既に窓に手をかけながら続ける。
「僕はこの歌で、掴む!それは富でも名誉でも良い。とにかく掴むんだ。理解され、学ばれることでいずれ僕の歌は実を結ぶんだ!」
そこまでいうと3番目のレンは窓を開け放ち大音量で歌い始める。再び部屋は騒音に包まれ僕は耳を塞ぐ。
「僕は歌う!居場所を告げるために!!」
大きくそう叫び歌い続ける彼の身体は、徐々に薄くなり始めていた。やがて部屋は騒音に包まれ3番目のレンが喉を枯らして歌っていた大きな歌も消えた。僕は大志を抱き、結局何も掴めなかった青年の部屋を悲しげな表情で横切り、反対にあった扉に手をかけた。
僕―7番目の僕③―
mayukoさんの7番目の僕(http://www.nicovideo.jp/watch/nm10697814)を勝手に小説にさせて頂きました。
3番目大胆のレン…難しかったな…
大胆って僕自身(ライト)の性格と合わないから書きづらいんだよね。
続きはこちら(http://piapro.jp/t/eG37)
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