☆パワーオブラブ2


○夏1 コーヒーブレイク
コーヒーを飲みながら話す長袖シャツ二人。男性(以下、D)はロールアップ。

J「弟くん、最近調子どう?」

めがねの上司(以下、J)がにこやかにDに尋ねてくる。

D「弟?え?あぁ、そういうことですか。ってより、犬っていうか。世間知らずの後輩ですね。俺、ママかよ!って」
J「そう、色々教えてあげてね。でも結構いい顔してるよ。怒らなくなったね。怒ると叱るじゃ違うよ」
D「いやー、俺は怒ってますよ。本気で怒るのがバカバカしいだけです」
J「ほめて育ててあげてね」

J「今年の休み、ここに2人でいっておいで。夏への扉を開けなくちゃ」
鉄道券をくれる。

○夏2 夢枕、雪のような星が降る

ブルートレインで北海道へ行くために上野駅へ。霧がでている。
長袖ネクタイのD、荷物持ちKAITO。

D「そういえば札幌出身って言ってたな」
K「はい!僕のお父さんたちがいるんです」
ホームにはしゃぐ金髪の男女の双子。
D「じゃあ妹もそこにいるんだな」
K「今そばに居たような気がします」
走って行く制服のリンレン。汽笛が鳴る。

食堂車、出されたデザートが北海道のマークにハートのムース。赤い花が飾ってあるテーブル。
K「かわいい!最果てにあるんですね」
D「お前、妹を探すのと愛を探すのどっちが優先度高い?」
K「真実の愛は姉妹の間にあるのがトレンドなんですよ」
D「男性型のくせに。性別は無いようなものだけど」
K「女になります」
D「アウト」

部屋のベッド。
K「僕にもある!」
D「『デュエット』ルームだとよ」

夜、腕を組んで窓の外の星を眺めるいつもの服のKAITO。

K「…僕はいったい何がしたいんだろう?」

(線路を走る音が聞こえる……)


○夏3 水曜、ルルルシャバダバダ
車移動。長袖スーツにKAITOの着てたグレーカーディガンのD、白半袖ポロのKAITO。

K「今度は車で移動するんですね」
D「サイコロだけじゃ進めねーよ」
おとなしいKAITO。
K「こことここ、あとここも行きたいです」
D「…遠いぞ」

(運転中あんま話しかけんな!ウザい!)

K「…僕、まだ戻りたくないです」
D「は?」
K「僕、他の型より人気ないというか…名前をつけてくれたお父さんも、めーちゃんの方が好きで」
D「誰だよ」
K「誕生日もよくわからないですし」
D「だから?」
K「もっと立派になってから帰ります」
D「不憫なやつ」

K「マスターは
里帰りしなくていいんですか?おっと」
運転が荒くなる。
D「俺も帰りたくないね」

○夏4 あの素晴らしい
雪の美術館に着く。

K「きれいです!素敵です!おいしそう!」
D「間違ってないか?」

結婚式場を見る。

K「ここで愛を誓うんですね」
D「会費制って合理的だよな」

そこにサングラスをかけたMEIKOが現れる。

M「KAITOじゃない。最近調子どう?」
K「うん、元気だよ」
M「元気なら、別にいいけど」

そういって去る。

明らかに落ち込んでいるKAITO。

K「めーちゃん、サングラスかけてました」
D「それが何?」

K「MEIKOは、僕の姉で、先輩で、目標です。僕がKAITOじゃない時から」
K「MEIKOは僕より賢くて、うそつきで、可愛いけど可愛くない」
K「僕たちは、目から情報を共有するんです。目を見るとロボットってバレやすくて」
K「MEIKOはもう人間として生きたいんですね」

ぽかんとするD。
D「あこがれの人?」(考えすぎだろ)
D「あー…目からビーム?赤外線通信?」
ちょっと持ち直し無理に笑うKAITO。

K「そんな感じです」

○夏5 モーターサイクル

別の展示の方に行こうとすると
目当てのものがない。
『本日の展示は終了しました』
またがっかりするKAITO。

K「いいんです。運転してくれてありがとうございます」
D「おう。でもそんなの見てどうすんだ。腹は膨れない。欲しいのか?」
K「可視化されてるものを見たら何かわかるかなって」
D「プラチナ触媒…」
K「マフラーにつければいいですかね?」

○夏6 最新式テロ
帰りは飛行機。パン等を食べている。ロールアップにタイのD、荷物持ち半袖KAITO。

K「自己犠牲の愛。勇気ありますね」
D「今度、埼玉に行くか?」
K「サイタマ?いいですね!」

突然、ひっくり返る。
飛行機がトラブルで仙台へ。

スマホを見ると03:09と時刻表示。
D「電話が通じないな…」
K「強い電波障害があります。それで緊急着陸したようです」
D「メールもネットも出来ねえ。くそいn「あのコンビニWi-Fiありますよ、試してみましょう」

コンビニ店内へ。
K「アイス買ってください」
D「俺はからし多めのおでんが食べたい。待て。何か変だ」

コンビニや周りの電気が消える。うるさいロードローラーがやってくる。

○夏7 黄金の車輪

RL「リン&レン!高圧電流!」
ハイテンションな二人はリン(RIN)が車を運転し、レン’(LEN)がギターを持っている。ナンバープレートは、札幌96 ん556 。

L「ぶっちぎりだぜ!痺れるぜ!曲がれー!」
R「リンちゃんなう、っと」

大騒ぎしているのを無視して駐車場で話している。北海道みやげ、カニライターを使う。

K「さっきなんて言おうとしたんですか」
D「くそいつになったらかかるんだ」
K「略して…」

2人を見つけて向かってくるロードローラー。

L「オレたちをスルーすんな!」
R「WRYYYYN!」

○夏8 ラヴィンユー・ダンシングベイビー

逃げる2人。

D「逃げろ!」
K「大丈夫です僕ロボットなんで」
D「お前もスクラップになるんだぞ」
K「生まれ変わったら道になりたい」

今度は路上に乗り上げようとするリンレン。

RL「全速前進だ!」

振り向くKAITO。



怖い顔で睨みつけると動きを止めて謝り出す。

K「ところで君らここで一体何してんの」
RL「復興作業」
L「ごめんなさい」
R「INKとか言ってほんとすみませんでした」

電気はいじったが電波はいじってないという。

D「テロか?電車は動いてるがしばらく混んでるな」
D「なんつったっけ…」
K「おいしいイタリアンでも食べて待ちましょう」

○夏9 ホワイト・ラブ

J「飛行機、大変だったね」
D「ひっくりかえりました」

会社で話すDと上司J。

J「今度はここに行ってきて」
紅茶の絵のある券が出される。
D「えっなにそれこわい。切手?切符ですか?」
J「ネット繋がらなくて仕事にならないし。観光もしてきていいよ」
D「あ!これお土産です。あいつが選びました」
J「ずいぶん仲良くなったみたいだね」

箱を開けてみると白い恋人。

○夏10 ロマンス

D「仕事だからな??お前の母親たちのところへ」
K「はい!その格好はなんですか」

ロマンスカー内でハワイアンを着ているD、サングラスを服に掛けているKAITO。DはDSでケモノの森をやっている。「かいぽん:Dちゃん、恋と愛の違いって知ってる?カイカイ!」

シートの後ろの車内販売メニューを見るKAITO。
K「僕このアイス食べたいです」
D「自分で頼め」

車内販売ワゴンのお姉さんがこの車両に入ってくる。

ワゴン姉「旅の思い出、ラスク、お弁当いかがですか」

Dが声をかける。

D「(お。良い声。美人。)すみませんコーヒー、ブラックでください。あとアイス」

茶髪にヘーゼルの瞳をアップにしてまとめ、サーモンピンクのスカーフを巻いている女。

姉「アイスにしますか?カードで払えます。ありがとうございました」
(コーヒーだけ渡される)

K「あの女あやしいですよ」
D「ロボットだって?すれ違い通信できたか」
K(あーあスキミングされましたね)
K「大きすぎです。あと、カラコンとウイッグですよ」
D「(ファッションチェック?)拗ねてんのか?妬いてんのか?」
K「どっちに?」

続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

パワー・オブ・ラブ2

KAITOと会社員男性がトラベルする話。

閲覧数:2,872

投稿日:2020/07/25 20:01:05

文字数:3,344文字

カテゴリ:小説

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