「どういうことよ、先代神。いいえ、――カイト。」



ルカは目の前に居る、先代神であるカイトに向かって言った。



「…その名を呼ぶなと言ったろう」

「で、神を譲る時が来たって、どういうことよ?」

「お前は所詮、人間だ」

「もう人間ではないわ」

「お前は元々人間だ。人間ってのは目標に辿り着いた時に、何かを劣るんだよ」

「…私が何を劣っていると言うのよ」

「お前は、『神のスゴロク』のすべてを知っているか?本当にあの二人を消した、とでも思っているのか?」

「思ってるに決まってるじゃない。それがどうなるっていうのよ」

「…やはり、所詮お前も人間だな」

「どういうことよ!?」



ルカは声を張り上げた。

対してカイトは、冷静でいる。



「お前は神になって、勉強することを劣ったのだ」

「…私が何を知らないというのよ!?」

「お前自身のスゴロクはまだ残っているんだよ」

「は?」

「それがあの者たちに操られることに、お前は気づかなかっただけのこと」

「どういうことなのよ」

「理解できてないから、神を譲る時は、もうすぐそこまで来ているのだよ。」



カイトは薄笑いを浮かべた。












僕は、二人の会話を見ていた。

どうやら生きても死んでもいない僕は、人間や人間だった者には見えないらしい。



――会話の内容が…理解できない…



よく見ると、近くには、さっきまで無かったはずの扉があった。

僕は、その扉に入った。


そこに広がっていたのは…



――なんだ、これは?



沢山のレールが広がっていた。

これが、すべてスゴロクだと言うのか。


――この中から、あの‘神’自身のスゴロクを見つけるのか?

『ああ、そうだ。なに、簡単だよ。ここにあるスゴロクは、みなゴールに止まっているものだ」

――何万もある中から?

『その中に、一つだけゴールに止まっていないスゴロクがあるはずだ。それが‘神’のスゴロク』

――あれか?



僕が指さしたところには、ゴールに止まっていない、桃色のコマを乗せたスゴロクだ。

近づいてみると、そのコマが止まっている場所には、「神になる」と書かれていた。

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【リレー】僕と彼女の不思議な日常 11

閲覧数:497

投稿日:2011/10/22 12:07:27

文字数:934文字

カテゴリ:小説

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