３，２，１，０　「覚悟はできたかい？」
鳴り響く轟音が生まれた大地にサヨナラ告げる
最後の絆(アンビュリカル)　通信用ヘッドセットつけて
丸窓の向こうの君に手を振るよ

こぼれそうな星空見て笑った　幼い日の思い出
星丘(マウナケア)の頂上で　すばるの輝く絵画に溺れ
燃え落ちるサテライト、遠くに宇宙基地(ステーション)
君は笑い「見下ろした地球は本当に青いの？」なんて
わざと大人びたように言ってみせた

『本当にその向こうが見たいのなら、いつかその夢を叶えてあげようか？』

さよなら、さよなら　僕は今行くんだ　僕と君の夢の彼方へ
未知の発見(ディスカバリー)求めて途方もない夢へ向かう挑戦者(チャレンジャー)
壊れそうな儚いきぼう抱え　慣れ親しんだ海の胎(はら)を捨てて
僕達を守ってたあの殻の向こうへ


大気圏(ストラトス)抜けるまで　まだ話をしていてよ？
強がってみせても僕だってやっぱりこの闇は怖い
君との絆(アンビュリカル)　ノイズ越しに君の声
「クドリャフカになった気分はどうですか？」

はるか暗闇に広がる無数の燃える宝石たち
地上よりずっと近づいたのに、それでも届かなくて
スプートニクのカケラ、慌てて身をかわす
寂しがる暇なんてなかった、もう行かなきゃ　ああそうだ
君に一つだけ、言いたいことがある

『宇宙(そら)から見た地球は、本当に青かったよ』

さよなら、さよなら　僕は今行くんだ　スターダストの照らす果てへ
はやぶさのように翼広げ帳(とばり)を駆け抜く永遠の旅人(ボイジャー)
すべての安寧を捨て今ヒカリとなる神の舟を
女神(ミネルバ)よどうか守りたまえ


スフィアの光が絶えるまで　まだ少し時間がある
闇を縫って続く君の千夜一夜物語
僕と君が好きだった偉大な宇宙の話を
今日のメニューは何？　月(アポロ)に憧れる人間(もの)とそれを追う姫君の話？

シューメーカーを追い抜いた　煌めく星の魂(スピリット)の輝き
くぐり抜ける小惑星の上で　時代を駆けた先駆者(パイオニア)たちが笑っていた
どこまで努力(エンデバー)を重ねれば　あそこまでたどり着けるかな？
すれ違ったガガーリンが囁いた「とりあえずその孤独に負けないことから始めなさい」


視界良好、本日晴天　だけど心はふらふら揺れてる
僕はどこまで行けば強くなれるのだろう？
君がくれたお守り宇宙(スペース)ベアがふわり浮いた
ハッブルの視界を巡らし　君の惑星(ほし)に見入る

（―――――そのとき、君が泣いてた）

スターゲイザーの夢はいつも儚い　流れ星のように
それでも諦められなかった、理由など知らず
だけど今分かった、僕の夢は君の夢
君が僕の旅唄(ビーコン)を聞いて笑ってくれるなら
僕はそれを信じて旅を続けられるよ

太陽系を抜ければそこはもう真の闇
君の声も、僕の歌も聞こえない星達だけの空間
大丈夫、離れていても　感じるよ
どこまで行っても二人、ここに生まれた奇跡で結ばれた結合(ソユーズ)は解けないよ

『スイングバイ、準備完了(ゲット・レディ)――――――――』

さよなら、さよなら　僕は今行くんだ　僕と君の夢の彼方へ
軌道修正、後戻りに傾く航路を前に引き戻し
そろそろ加速するよ、全速力で愛しき祖国から離れる
残された通信(セチ)で　最後にどんな歌を君に贈ろう

さよなら、さよなら　僕は今行くんだ　星闇永劫の未来へ
次に会えるのは何光年後かな　また君と星を見られるのは
だけど一つだけ約束するよ、そのときには　きっと
この宇宙で見つけだした一番の輝きを君にあげる


未来の彼方の“キミ”に　ハロー　ハロー