金色の天使がふつと意識を浮上させると、目の前に少女がいた。
金色の髪に青い目の、天使と似た雰囲気の少女だった。
「大丈夫ですか?」
「………………はい。」
天使は寝台の上に寝かされていた。翼と髪は丁寧に水を拭き取られていたが、乾いてはいない為に白いシーツは湿っていた。
窓の外を見ると、まだ雨が上がっていない。当分帰る事は出来そうにない、と天使は思った。
少女が自分を介抱してくれたのだろう。
部屋の中を慌ただしく動き回る少女を見ながら、天使は少女へのお礼を考えた。
「君が僕を助けてくれたのですか?」
「え?あ、うん。そうです。
…えっと……お姉ちゃんも手伝ってくれて。」
「そうですか。…すみません。ありがとう」
礼を言うと、少女は花が咲くように笑うと、また部屋の中をぱたぱたと動き回る。
天使は心地よい何かを感じた。
気付くと、神に歌う為の歌を天使は口ずさんでいた。喜びを、愛を、美しさと幸福を願い讃える歌だった。
「…………綺麗…」
天使の歌声に、少女は聴き入っていた。
天使は暖かな気持ちになり、少女にお礼として再会を願う歌を歌った。次々と沢山の美しい歌を、別れを惜しむ歌を歌った。
いつかの天使のように、少女は手を叩いて喜んだ。
外の雨が勢いを無くし始めた時、天使と少女がいる部屋に緑の髪の少女が入って来た。
「すっかり大丈夫そうですね、よかった。」
「助けて頂いてありがとうございます。」
緑の髪の少女は、金の髪の少女の姉だった。
「ねぇ、お姉ちゃん。天使様はとても歌が上手よ」
「本当?良かったわね。私も聞きたいけれど、用事があるのよ。残念だわ。
出掛けてくるから、留守番をよろしくね。天使様、さようなら」
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