鈴々がぽつりとつぶやいた。
「これって物凄い口喧嘩だよね。」
「そりゃ、まぁ…だけどスケールでか過ぎじゃね?」
「あはは、確かに…でもさ、ちょっとだけ楽しそうじゃない?戦隊ごっことかさ。」
ふざけたマスクしてるってのに、鈴々が笑ってるのが解った。その笑顔に安心すると共に、俺の中でずっと引っかかっている事があった。
『戦って勝った人が『最適合者』って事。』
あれは結局どういう意味だったんだ?トラブルが起きたから中断?このまま俺達で純の奴をボコる流れなのか?
「それじゃ準備するよー?」
「あ、はい!今行きま…っ?!」
不意に肩を掴まれ振り返ると、そこに居たのはあの眼帯の男だった。
「君は駄目。」
「は?」
「幾徒様からの伝言。」
そう言ってどこか含みのある笑みを見せ、俺に一枚のメモを渡した。
「またあいつかよ…どうせ大した事じゃないだろ?」
「ふふ…戦隊物って子供達のヒーローだよね。いつも強くて、敵が出て来たら
一般人を守って、最後はレッドが勝つ。様式美って奴だよね。」
「散々リハーサルだってやらされたし、要は敵を倒せば良いんだろ?」
「どうやって?」
「だからこの銃で…!」
少し苛立ちながら言霊の銃を取り出した時、思わず目を疑った。
「…ひび?」
「ああ、もう壊れて来てるか。君じゃなかったみたいだね、最適合者。」
「どう言う事だよ?てか、これ大丈夫なのか?!」
「所謂弾切れって言うか…耐久地限界。まだ残ってる適合者に強化して
貰いなよ。それで十分戦えるからさ。」
背中をツーッと汗が伝い落ちた。そんな事思いもしなかった。魔法の銃に限界があるとか普通に考えれば有り得たのに、考えようともしなかった。
「生身スか?」
「気を付けてね?くれぐれも子供達の前でレッドが負ける醜態晒したりしない様に。」
全身嫌な汗をかいたまま貰ったメモを開いた。
『負けたら潰す。頑張れレッド。』
「ぶっ殺す…!」
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