“動いた”。
 悟られるな。気付いてると悟られるんじゃない。
 暢気に、気ままに笑っていろ!
「ね、断言できるだろ~?」
 語尾が震える。気にするな、ピエロを演じろ。
 
 ――本当に。あの子は。世話ばっかり焼かせるんだから。
 ――偶然空きが出来たとはいえ、何でヒョイヒョイ来るんだろうね。
 ――了承するアイツもアイツだけどさ。
 ――ここだけは恨まないとね、アイツを。
 ――あの子が来たのは、やっぱり復讐か。
 ――たった一つだけだけど、本当に狂ったよな。計画ってやつが。
 ――何であの子ったら、事件に巻き込まれちゃうんだろう。
 ――違うか。ああ、違う。
 
「レン?」
「巻き込まれたんじゃなくて、巻き込んだんだ。巻き込みと巻き込みが重なって、良い結果じゃないかぁ」
「れ……レン」

 ――良くないし。
 ――どんな危険にあの子が巻き込まれたのかを考えてみろ。
 ――思い知れ、リン。

「さあ、犯人は誰だい?」
「え」
 リンは目を見開く。
 しかし、知っている。
「悪いけど、君の答えは知っているよ」
「え……!?」
 違う意味で驚くリン。
「だって僕の目の前に、全て揃ったのだから」
 レンは、パッと両手を広げる。揃った、という意味だ。
 リンは、不思議そうに腰にまた手を近づける。
 今度は、不思議そうな顔をしつつ、確実にポケットに手を入れた。
 上手い。上手いじゃないか。レンは笑う。
「三つ目の謎は……海風が彼女の髪を、撫でていたあの時。彼女は何と思ったのか?」
 気づけよ。思い知れよ、リン。

 ――彼女が僕に思った事を言ってくれた時。
 ――僕は涙が出そうになったんだよなぁ。
 ――リンって子は、恵まれすぎてるだろって。

 だから、早く思い知れ。
「っあ……」
 リンが息を呑む。
 何で息なんて呑んでるんだよ、と突っ込もうとして押しとどまった。リンは、震えながら言ったのだ。
「綺麗……」
「綺麗じゃないだろっ!? それどころじゃ……って、え?」
「あっ、なななな何でもないわ」
 綺麗、と言われたのは初めてだ。
 レンは雰囲気が雰囲気だが少し頬を染める。しかし、それを悟られるまいと笑った。
 もっと、笑え。でも、笑おうとしても下手に顔が緩んでしまう。完璧な笑顔が作れない。
「……全て終ったことだけどね」
「ええ」
「でも」
 ――やばい。駄目だ。
 ――顔も赤いし、僕は。
 ――まぁ、いいや。
 ――“人生最後”の告白だ。

続く

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 続きもすぐ書きますです。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ナゾトキ×ナゾカケ 3

 続きすぐにだしますw

閲覧数:516

投稿日:2010/08/17 15:40:14

文字数:1,068文字

カテゴリ:小説

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