そして、四人が合う前日の夜。
「ミク、明日の話だけど、話したいことは決まった?」
「はい、大体決まりました」
雅彦とワンオフのミクが話していた。
「…だけど、勝手がわからないです」
「ミクはそういう経験自体が少ないからね」
雅彦がこたえる。ワンオフのミクは量産型のミクと話すのは、何らかの形で仕事が絡んでいる場合が多い。今回の件はそのような場合とは全く勝手が違う。
「そこは少し不安です、彼女がどんな考えを持っているのかが分からなくて…」
「ミクならできるよ」
笑顔でこたえる雅彦。根拠なくそう言っているわけではない。二人や他のワンオフのボーカロイドたちは話は下手ではないし、長く生き続けていることによる人生経験の蓄積は非常に多いので、その分引き出しが多いのは事実である。
「神波君のミクさんは設定はデフォルトらしいから、そこまで難しくはないかもしれない。…まあ、設定はデフォルトだけど、性格には乱数的な要素が入るから、最初の性格は微妙に違うし、経験なんかの後天的な要素も加わってさらに変わるはずだけど」
初期の設定が全く同一の設定にしても、性格などには乱数的な要素が加わるため、大きくはないが微妙に性格は異なり、計算上、完全な意味での同一の"初音ミク"は存在しないことになっている。とはいえ、製品として見た場合、あまりに大きく変えることはできないので、大きな差は出ない。
「不安はないかい?」
「少しだけあります。雅彦さんみたいに他の人の相談に乗ったことはあまりないですから…」
笑顔でこたえるワンオフのミク。彼女の表情を見る限り、言葉ほどには不安を感じていないようだ。その表情を見て、雅彦も笑顔になる。
「…僕は大したことをしているとは思っていないけどね。確かに人によって色々と違うから、簡単な話ではないことは間違いないけどね」
そうこたえる雅彦。雅彦が研究室の学生からたまに相談されることがあるので、ワンオフのミクよりは経験がある。
「あと、彼女から恋愛相談をされるかもしれません」
「それはありそうだね」
「…ただ、私に参考になるようなことが言えるかが分からないです。私たちは最初は雅彦さんの方から想いを寄せてきましたから」
「確かに逆になるね」
「大丈夫でしょうか?」
「彼女はマスターである神波君を好きだった場合、彼自身がその想いに気がついていなさそうだね。そうなると、確かにミクは未経験の話になるね。だけど、そうだとしても、彼女の悩んでいる内容を聞けば、どんなアドバイスをすればよいかは分かるんじゃないかな。僕でも未経験の話について悩み相談をされた経験はあるけど、変なこたえはしていなかったと思うし。…それじゃ、明日に備えて、寝ようか」
「はい」
コメント0
関連動画0
オススメ作品
ピノキオPの『恋するミュータント』を聞いて僕が思った事を、物語にしてみました。
同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
素晴らしき作...オズと恋するミュータント(前篇)
時給310円
A1
おはよう飛び交う
いつもの朝が
デジタル時計を
進めていく
B1
慌ただしく繰り返す声
追い越された
「遅刻!遅刻!遅刻!」
S1...【曲募集】Rock 'n Roll Alice【譜割り有】
スフレ(御依頼歓迎)
きっと関係ないもうやめたいな
歌に縋りつくのも逃げるのも
でもまだ過去になってないから
過去にしたいのに いつまでこのまま
だれか助けてって助けてほしくない
君以外には 放っておいて
助けに来てくれないってわかってるのに
ずっとずっと待ってるまま
自分からは踏み出せないままで
1人で生きられるのに...短針
すいさい
誰かを祝うそんな気になれず
でもそれじゃダメだと自分に言い聞かせる
寒いだけなら この季節はきっと好きじゃない
「好きな人の手を繋げるから好きなんだ」
如何してあの時言ったのか分かってなかったけど
「「クリスマスだから」って? 分かってない! 君となら毎日がそうだろ」
そんな少女漫画のような妄想も...PEARL
Messenger-メッセンジャー-
あの夜に耳を傾けても 聴こえない
寄り添った 風と風は
流れゆく季節を歌う
昼下がり
孤独の岸辺から 跳ねた水
熱帯びた街に混ざり
ユラリ ユラユラ
滲んでく視界に咲いた花を少しは
愛せるようになった
ある夏の1ページ...ロンリー・サマーデイ
moca_fe
ありえない幻想
あふれだす妄想
君以外全部いらないわ
息をするように嘘ついて
もうあたしやっぱいらない子?
こぼれ出しちゃった承認欲求
もっとココロ満たしてよ
アスパルテーム 甘い夢
あたしだけに愛をください
あ゛~もうムリ まじムリ...妄想アスパルテームfeat. picco,初音ミク
ESHIKARA
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想