「マスター」
「ミク、どうしたんだい?」
「ワンオフミクさんのバースデーライブ、楽しみですね」
楽しそうに量産型のミクが言う。
「そうだね、会場に行くのは初めてだからね」
そういう神波。二人とも今までは家でライブを見ていた。しかし、今年は高野の強い勧めでライブ会場に行く決断をしたのだった。
(…ただ、僕は家でも十分楽しめたけどな)
喜んでいる量産型のミクを見ながらも、内心そう考えないでもない神波。ライブ会場に行かずとも、実際にライブ会場に行っているかのごとくライブを楽しめるのは、ライブの体験の場所による格差を埋めるための先人の数々の努力があってこそであり、神波はその恩恵にあやかるだけで十分だと考えていた。しかし、高野があまりにも強く勧める上、神波の量産型のミクが高野の話に乗ってきたので、二人に押される形で神波もライブ会場に足を運ぶ形になっている。
(確かに会場まで行くのにそこまで時間がかかるわけじゃないけど…)
今回のライブは神波の住んでいる所から離れていないので、宿などの手配も必要ない。自分の置かれている状況が恵まれているのは理解していた。
「…マスター、どうしたんですか?」
神波を見て怪訝そうな表情をする量産型のミク。
「…いや、何でもないよ」
そういってごまかす神波。
「そうだ、熱いから何か飲もう。メロンソーダで良いよね?」
とっさに話を変える神波。
「はい」
そういって、そそくさとその場を離れる神波。
(…マスター、何か隠してる)
その神波を見ながら、そう思う量産型のミク。
(マスター、最初はライブに行くの、あまり乗り気じゃなかったな…)
そう思う量産型のミク。彼女も、神波が今回のライブに行く決断をしたのは、彼女自身と高野の熱意に押された形だったのは分かっていた。そのせいか、神波は今回のライブに対する熱意が薄いように感じられ、それは神波と一緒にいる量産型のミクには感じ取れた。
(どうしてなのかな…)
神波に対し、その理由を聞いてみたい量産型のミク。しかし、神波は量産型のミクのマスターである。そのような疑問をぶつけるのは、彼女の立場上はばかられる気がしたのだ。
「…ミク、どうしたんだい?」
そうやって量産型のミクが考えていると、飲み物をくんできた戻ってきた神波が不思議そうに量産型のミクを見る。
「…なんでもないです」
そういって、神波からメロンソーダを受け取る量産型のミクだった。
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