街で行くあてもなく困っていた私を預かってくれたのがマスターだった。
マスターは私が分からないことを教えてくれたり、私が歌うことが好きなのを知ってから、私のために歌を作ってくれていた、とても優しい人だった。

でもマスターは外出していた時、突然倒れ、病院に運ばれた。
その日から私は毎日マスターに会いに行って、話をした。
一人で家事ができるようになったことや、歌のこと、いろいろなことを話した。

そんなある日、マスターを看てくれている先生が、病院の廊下で
「あと3日も保つかどうか...」
とよく分からないことをつぶやいていた。
その日、マスターは口元に変わった機械をつけながら私と話をしてくれた。
私が、マスターが家に帰ってきてからの話をすると、マスターは少し悲しそうな顔をしていたけれど、すぐにいつもの優しい顔に戻ったから、何も気にしなかった。

翌日、いつも通りの時間にマスターに会いに行ったけれど、マスターはいなかった。
病院の中を探してもいなかった。マスターとの思い出の場所にもいなかった。
私は思いつく場所全て探したけど、どこにもマスターはいなかった。

ふとマスターとの楽しかったことを思い出した。
すると目の前の視界がぼやけてきて、そして手に水が落ちてきた。
マスターのことを思い出すたびに頬を伝って水は落ちてくる。
これは何なのだろう。マスターに聞けば教えてくれるのかな。
まだ知らないことがたくさんある。だからマスターに聞きたい。
聞きたいのに会えない、見つからない。
たくさん話がしたいのに会えない、見つからない。

マスターに会いたい、会いたい、会いたい。

そう思えば思うほどなぜか胸の奥が痛くなる。
この痛みのことも聞かないといけない。
だから教えてください。

「マスター...あなたは今どこにいるのですか...?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Where are you? 【訂正版】

先日投稿させて頂いた小説を、みなさんの感想をもとに書き直しました。
指摘された部分は直せているのかどうか分かりません...^^;

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投稿日:2011/03/13 03:41:08

文字数:773文字

カテゴリ:小説

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