「♪ミク・ドールをこわきに抱えて去っていく、
 彼女は Devil、彼女は Devil!」

ボーカルの、サルタコヨミくんが熱唱する。

いろんなバンドや、画家、雑貨作家たちが参加する、アートのお祭り。
「イースト・トーキョー・フェス」のライブだ。
晴れた日の公園で、ちょっと不思議な演奏が、繰り広げられている。

「♪アクマのような君がスキサ
  アクマのような君がスキサ」

公園には、芝生に座って、若者や年配まで、いろんな人が演奏に聴き入っている。


●ラブ・コール?それとも悪口?

「へぇ、やっぱり、ミク・ドールのことを歌っているね」

公園の横に乗り付けてた、移動カフェ「ドナドナ号」。
近くのベンチに座って、ナン・ドッグを食べているのは、
先ほど、公園で自分の曲を披露した、リンちゃんたちだ。

「あの、私、思うんですけど...」
隣に座っていた、ツナちゃんがつぶやいた。
「やっぱり、この歌、ミク・ドールへの“ラブ・ソング”なんじゃないですか?」

「うん、私もそう思う」
横にいた、モモちゃんも言った。

いま演奏している「カンテイダン」というバンド。
リンちゃんの友人の、ミクさんによると、“ミク・ドール”を茶化して、けなしている”ということだった。

「うん、どう聴いても、ラブ・コールだね」
リンちゃんもうなずいた。


●悪魔バージョンの魅力

「ミク・ドールの作者の、テトさんが聞いたら、どう思うかな?」
リンちゃんは、そう言って、バンドの演奏をながめる。

良くいえば、ビジュアル系。悪く言えば、ちょっとおどろおどろしい。
「カンテイダン」は、そんなファッションとルックスだった。

「私は、好みじゃないです。あんなバンド」
ツナちゃんは、珍しくキョヒ反応を示した。
「テトさんの作るドールを、悪魔だなんて言って」

「うん、きっとそれはね」
モモちゃんが答えた。
「ドールの“悪魔バージョン”をイメージしてるんでしょう」
「悪魔バージョン?」

リンちゃんに聞かれて、彼女は続けた。
「ドールには、2タイプあるのよ。天使の羽根のバージョンと、悪魔の羽根のバーション。
 いま、テトさん、どっちの路線で続けるか、迷っているみたい」
「ふぅん、そうなの」


●どっちにしても悪魔

「うーん、ラブ・コールだったか。悪魔さんからのラブ・コール...」
ツナちゃんは、眉にしわを寄せた。

「でも、テトさんの作るドールは、愛されてるなあ」
リンちゃんは、バンドの歌を聴きながら言った。
「そうね。歌詞にしてくれるなんて、並み大抵の愛じゃないわね」
モモちゃんは、笑った。

「さぁて、ミク姐さんに、どうお伝えしようか」
リンちゃんは腕を組んだ。

「そして、テトさんにもね」
モモちゃんは言った。
「天使と悪魔、これから、どっちの道を選ぶかしら?」

リンちゃんは思った。
「...まぁ、ミク姐さんも、アクマみたいなもんだけどサ、どっちにしても」(。・ε・。)


(次回に続く)

ライセンス

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玩具屋カイくんの販売日誌 (123) 悪魔からのラブ・コール (ゆくりさんの音楽アート・フェス Part3)

天使と悪魔は、紙一重ですね。
あ、きょうはテトの日(10月10日)ですね。祝!

閲覧数:80

投稿日:2011/10/10 19:32:29

文字数:1,254文字

カテゴリ:小説

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