「ずっと一緒だよ……姉さん」
僕は海の中でピアノを弾きながら歌を奏でる。
全て失って僕が気付いたのは
人魚姫の物語の真実。
………
海に住んでいた双子の姉弟。
双子の姉弟は魔女と人魚のハーフで、どちらにも見つからないように家族4人で隠れて幸せに暮らしていた。
しかし、ある日魔女が人魚を殺したという噂が流れた。
「ユカリ母様!!」
「いい…?ここで2人で隠れているのよ?」
「嫌だ!!父様行かないで!」
「いいかい。リン、レン…。私たちは無実無根のこの事件を収束するだけだ」
「でも……」
「必ず帰るから…ね?泣かないの2人とも」
「わかった約束よ!!」
「えぇ…リン。やくそくね」
そう言い残したまま一月が経ち
2人は帰ってこなかった。
「リン……」
「大丈夫よレン…2人は必ずいつかは帰ってくるから」
涙をポロポロとこぼしながらレンはリンの手を握る。「大丈夫よレン」
リンはレンの手をそっと握り返すと自分の身体に寄せて耳元で呟いた。
「私が必ず守ってあげるから」
「リン姉ちゃん…」
それで安心したのか眠ってしまった2人。
「みぃつけた…この子があなたのご子息でしょ?」
「……メグ」
「あら……いいじゃないガイア様。貴男と私の邪魔をするあの白魔女はいなくなったのだから」
「……確かに俺は君を愛しているしかしそれは…」
「愛しているのでしょう?なら2人とも私が育てても……」
「どうしたんだメグ」
「悪いけど、弟の方だけ引き取るわ」
「話が違うじゃないか!?」
「だって……姉には魔女の血が流れているでしょう?」
「……それは」
「なら、人魚の世界では育てられない」
「………だがこの子たちを引き離してはいけない!混血の双子を引き離せば…」
「災いが起こる…でしょ?そんなくだらない迷信私は信じないわよ」
「メグ!!!!!」
そしてリンを1人きり残し、人魚族は姿を消した。
「…レン……レン!!」
リンは必死でレンを探したが、全く見つからない。
「あら。久しぶりねリン」
通りがかりの黒ずくめの女性。
全く思い出せなかったが、リンはレンについて知ってると思い声をかけた。
「…私によく似た男の子を見ませんでしたか?」
「さぁ……見てないけど。あと後ろ危ないわよ?」
リンが振り返るとそこには巨大な鯨が。
避けることは出来ずまともに鯨の突進を受けたリンはそのまま気絶した。
「悪いけどユカリ姉様…貴女の愛娘……後継者としていただくわ」
そして珊瑚礁の海には誰もいなくなった。
2人はそれぞれの世界で育っていく。
~その頃人魚族の城~
「実は貴女には弟がいたの…」
「えっ…!!本当に!?」
「…初めまして。お姉様」
「可愛い男の子!!名前は?」
「レイチェルです。貴女は何という御名前ですか?」
「私はラヴィアよ」
「ではラヴィア姉様とお呼びしてもいいですか?」
優しくどこか寂しそうに笑う弟を見て、ふと私は答えた。
「嫌よ」
まさかそんな言葉で返されると思っていなかった彼は唖然としていた。
「本当の姉弟なんだから、もっと気楽に話しましょうよ?レイチェル?」
一瞬だけ表情が曇った彼は、すぐに明るく振る舞い、
「よろしくね。ラヴィア姉さん!」
と言った。
―君以外に僕の本当の名前なんて呼ばせない。
リン。どこに居るんだ?
~黒魔女の洞窟~
「目が覚めた?」
「貴女は…メイ伯母様……」
「そう。やっと思い出したみたいねリン。貴女には黒魔女の血が流れていてね…」
そこまで言うとメイは炎の中に入れていた黒薔薇のレリーフが付いたネックレスを思い切りリンの魚の脚に押し込み当てた。
「いゃああぁぁぁ!!!!!!!」
熱く、激痛に耐えきれないリンは叫び声をあげ、泣き喚いた。
すると、リンの脚は魔女と同じ人の脚になり、リンは息が苦しくなったと思うとそのまま気をうしなった。
「可哀想だけど、貴女はもう弟と同じ世界では生きられないの」
リンを抱きしめ、少しだけの後悔を込めメイは静かに子守歌を奏でた。
―何でレンはいなくなったの?
――レンは私なんてどーでもいいの?
…………教えてよ。レン――
それから数ヶ月。
ボクは人魚族が眠る新月の晩に、
リンを探し求め、
海中をさまよい続けた。
そして暗い洞穴を見つけたボクは奥に入り込んだ。
「……リン?」
ボクは奥に見えたリンにそっくりな少女に声をかけた。
「……誰」
暗く哀しく静かな声だったが、確かにこの声はリン。
リンに近づこうとしたボクとリンの間に大きな鯨が現れた。
「早く…侵入者を追い払いなさい」
リンの一言でボクに向かって突進する鯨。
何とか交わし続けたけど、このままじゃボクの体力が持たない。
どうすれば……
この一瞬の迷いが命運をわけた。
「…………ぅあ!!!」
鯨の突進をまともにくらったボクはそのまま地面に倒れた。
「リン…ボクだよ。レンだよ……」
「……………」
黙って何も表情に表さないリン。
そこでボクはリンにとても大事なものがないことに気付いた。
「リン……足が……」
「……そうよ。私は黒魔女の後継者になったの。レン…いいえ人魚族の王子様と呼びましょうか?」
狂ったように笑い出すリン。
きっと、ここまでの状態になるまで酷い仕打ちを受けたんだろう。
なら………
ボクが…………
温かいリンをとり戻してあげる!!
ボクは残った力を振り絞りリンの元に駆け寄り、背後から抱きしめた。
「種族の違いなんて関係ない……」
「レ…ン…………?」
あまりにも突然な行為にリンは言葉を失った。
「ボクは…リンの弟なんだ…。リンはボクのたった一人の愛するお姉様…。だから……」
「………ありがとう」
リンから零れ落ちた涙を見て安心したのか、ボクは……
そのまま意識を手放した。
mermaid symphonia~人魚姫の弟~scene1
いいふたごの日ということで、ことあさんと制作している楽曲のストーリーをアップします!
ちなみに楽曲はこちらです→http://piapro.jp/t/k0Co
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