A

どこにも行く宛を失くした人々は
季節を一つずつ売り払っていった
身体を 心を 生死を 苦悩を
澱の溜まった水底に息づいた

B

白い港 頬に受ける風
宙に浮かぶからだ つらぬく 朝

S

幽霊は あらゆる水のほとりに
歌をさらう 華やぐ春にひとりの
ゆっくりと忍び寄る 呼び水のような時間

A

柔らかく突き刺す 言葉を握る人
「いつのまにかここに立っていた」って言った
見えない姿を 痴れない営みを
なべて皆融けゆく水の玉

B

やあ、おはよう
記憶は失くせた?
君がかつて愛した 合歓木 ねむ

S

幽霊は あらゆる水のほとりに
道に迷う ただ風紋をたよりに
表札を裏返す それから家を出るよ

C

二度とは会えない人の名前で満たしたノート
かなしさとむなしさがあそぶ庭の中から そっと
鏡のような水面を揺らしてみたらいいよ
高い屋根 いつのまにか飛び立つ言葉

S'+SS

幽霊は あらゆる水のほとりに
すべて 孤独を生きた時代の

幽霊は あらゆる水のほとりに
そして今日 照らされて降る細雨が
鮮やかにたどり着く よみがえる巨きな環

〜〜〜

どこにもゆくあてをなくしたひとびとは
きせつをひとつずつうりはらっていった
からだを こころを せいしを くのうを
おりのたまったみなぞこにいきづいた

しろいみなと ほおにうけるかぜ
ちゅうにうかぶからだ つらぬく あさ

ゆうれいは あらゆるみずのほとりに
うたをさらう はなやぐはるにひとりの
ゆっくりとしのびよる
よびみずのようなじかん

やわらかくつきさす ことばをにぎるひと
いつのまにかここにたってたっていった
みえないすがたを しれないいとなみを
なべてみんなとけゆくみずのたま

やあおはよう
きをくはなくせた
きみがかつてあいした ねむのき ねむ ……

ゆうれいは あらゆるみずのほとりに
みちにまよう ただふうもんをたよりに
ひょうさつをうらがえす
それからいえをでるよ

にどとはあえないひとのなまえで みたしたのーと
かなしさとむなしさがあそぶにわの なかからそっと
かがみのようなみなもをゆらして みたらいいよ
たかいやね いつのまにかとびたつ ことば

ゆうれいは あらゆるみずのほとりに
す・べ・て こどくをいきたじだいの

ゆうれいは あらゆるみずのほとりに
そしてきょう てらされてふるこさめが
鮮やかにたどりつく よみがえるおおきなかん

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

春の抒情詩

閲覧数:218

投稿日:2021/03/07 16:26:17

文字数:1,026文字

カテゴリ:歌詞

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