(第5話までのあらすじ)

勝負に負けた喫茶店メンバーは、局のメンバーに連れられて、時間管理局にやってきました。詳細を専用マシンで調べると、喫茶店のメンバーは、時間管理法に違反する事は何一つやっていなかったことが判明しました。晴れて誤解が解け、喫茶店のある元の世界に帰る事になった矢先に、元の世界の時間が逆流する異常事態が発生! 調査員のアイちゃんの話では、その首謀者は、なんと、子供のルカらしい、ということが発覚してしまったのでした。

<続・ようこそ、木之子駅前商店街へ! 第6話 訪れた分岐点>

(テルの執務室)

ルカ:アイちゃん、本当に犯人は子供の私なの?
アイちゃん:はい。更に、ターゲットの信号が複数あるので、何人かの協力者が存在する事がわかってます。ルカさんのデータから識別できた“子供のルカさん”以外の信号は、データが存在しなかったので、正体不明のままです
テル:とにかくメインルームに急ぎましょう!

こうして一行は、現状を把握するため、あらゆる時間の情報が集まる、メインルームに移動しました。

***

(メインルーム)

 一行がメインルームに移動し、商店街を映している“メインモニター”を眺めると、全員、絶句してしまった。そこに映し出されていたのは、さっきまで生活していた、あの商店街ではなかったのでした。

テル:な・・・・なんだと!?
学歩:この光景は、昔の商店街ではござらんか!
リン:しかも、みんな、巻き戻されているように動いてる!

アイちゃん:これでも時間逆流の速度は落ちている方なんです。数分前までは、街や、街の人が、見えないような速度で昔に戻ってました
レン:ところで、僕の喫茶店はどうなってるの?

 アイちゃんは、とりあえず時間の流れを超越していた、喫茶店のメンバーのそれぞれのお店のうち、起点になっていた喫茶店LEOをメインモニターに映してみた。そこには、全く変わらない姿の喫茶店LEOがたたずんでいたのでした。

アイちゃん:変わらないようですね
レン:よ、よかった。そう言うところは史実通りに、時間が逆流しているんだな
アイちゃん:皆さんの他のお店も見てみましょう

 アイちゃんは、喫茶店以外のメンバーのお店も映し出してみたが、やはり史実通りに、変化はなかった

ミク:良かったミク! 青果店は無事だったミク!
学歩:拙者の刀剣屋も無事でござるな
リン:私の土建屋も無事みたいね

ミキ:メイコさんやカイトさんのお店もそのままだから、ざっくり考えて、向こうの世界の事情を知っているメンバーのお店は無事ってことだね
テル:こんな事を、子供のルカさんと数名の協力者だけで、できるモノなのか!?

???:それが、出来るんだよねぇ~

 その声と同時に、突然、メインモニターに、黄色い髪で赤い服を着た少女が映し出されたのだった。

レン:誰だ? この人
ミク:知らない人ミク
リン:なんだ、お前は!?
学歩:見たこと無い娘でござるな

テル:キミ! これは、いったい、どういうことなんだ!!

マキ:失礼しました。まだ名乗ってませんでしたね。私は、弦巻マキ、と申します。向こうの世界の時間管理局の局長を務めております
ミキ:向こうの世界の時間管理局?
マキ:あなた方は、私たちの世界の事情を見ることは出来ても、作られたのはそっちの世界でのことだから、介入できるのはそっちの世界だけ。同じように、私たちの時間管理局が作られたのは、こっちの世界、つまり、錬気刀であなた達と戦っていたルカさんがいた世界です。介入できるのは基本的にこっちの世界だけだったんだけど、こっちのルカさんと子供のルカさんが合体し、そっちの世界に代わった時点で、私たちの時間管理局は、そっちの世界にも介入できるようになったのですよ

テル:あのルカさんの合体で、世界はこっちの世界1つだけになったのではなかったのか!?
マキ:あのルカさんの合体で、私たちは、“中途半端”、な存在になってしまいました。元の世界が無くなってしまったから、元の鞘に戻れず、かといって、こっちの世界には、お前達、こっちの世界の時間管理局が作られてしまった。あのルカさんの合体は非常に私たちにとっては、迷惑極まりない事だったのですよ?

ルカ:あなた…何を言っているのですか?
学歩:こっちのルカさんは、知らなくて良いことでござる

テル:つまり、お前達は、この時間逆流をすることで、こっちの世界が生まれる起点となった時間まで戻し、向こうの世界での時間経過に線路を変えるつもりか!
マキ:ご名答。というか、既に実行中だけどね。やっとの事で、こっちの世界に残されていた、子供のルカさんと向こうのルカさんを合体させた錬気刀の破片を見つけ、残されていた子供のルカさんの遺伝子を抽出して、子供のルカさんを作り出し、時間逆流を成功させたのだ。あと1つ! あと1つのパーツさえ入手できれば、完全に向こうの世界に軌道を修正できる所までこぎ着けたのだ!

テル:アイちゃんが計測した子供のルカさんのシグナルは、お前達が作った子供のルカさんの物だったか
レン:…何となくわかるよ、その、“残り1つのパーツ”…
マキ:なんだと思う?
レン:こっちの世界のルカさんだろ!!

ルカ:ええええ!!!!

マキ:ご名答です。そっちの世界のルカさんのパーツさえ入手できれば、ルカさんの遺伝子は完全にこっちが掌握したことになり、そっちの世界は消えて、再びこっちの世界が誕生することになる
ミキ:そんな事、ミキちゃんが許さないぞ!
マキ:それはこっちが言いたいセリフですよ。こっちの世界を消して、そっちの世界を勝手に作って置いて、自分に都合が悪ければ、相手は悪扱いですか? 私たちは元に戻す事をしているだけですよ?

学歩:そんなの屁理屈でござる! 元々あの世界は、あの商店街しかない、子供のルカさんが操作していた世界でござる!
レン:元の正常な世界に戻して、何が悪い!

マキ:正常かどうかは、全員の総意で決める物だ。我々はそれを、“正常”、とは思っていないのだぞ? 正常と思っているのは、君たちとメイコさんと、こっちの世界にいたルカさんだけだ。こっちの世界の商店街は、別に何の異常もなく生活していたはずだが?
学歩:あの世界の住人は、元の軌道で動いていた世界から取り出してきた人間でござる。これのどこが正常なのだ!
マキ:君たちの世界だって、色々な“パラレル世界”が絡み合った接点で動いているのだぞ? 意味としては同じだと思うが?

ルカ:もうイイです!! 話は全く解らないけど、私が原因なんですよね!?
マキ:ぶっちゃけ、そうだ
ルカ:それで、私がそっちに行けばいいんですね!?
マキ:来てくれれば、非常に助かる。そっちの世界は無くなるが、キミは元のルカさんに戻るから、存在は消えない

ミク:ちょ! ルカさん、ちょっと待つミク!
ミキ:それじゃあ、ミキちゃん達が消えてしまうのだ!

ルカ:なら、どうしたらいいんですか!

学歩:…ルカさん、あなたは結局、向こうでもこっちでも、世界を変える特異点である事に代わりはなかったのでござるな
レン:ルカさんは、向こうの世界でも、僕やリンに賛同するか、学歩さんに賛同するか、を突きつけられ、結局メイコさんの導きで、そのどれも選ばない道を選んで、こっちの世界を作ることになったんだよ

ルカ:…意味はあんまりわかりませんが、向こうの私も、こっちの私自身も、とても重要な事に関わっている事だけはわかります

マキ:ルカさん、今回、あなたが選べる道は、こっちの世界でのメイコさんの道、中庸は存在しません。私に意見に賛同して、こっちに来るか、元に戻せるかわからない、そっちのメンバーに協力して、私に抗うか。どっちかだ。前者ならキミの存在は消えないが、後者だとキミは消えるかもしれない

学歩:後者の選択肢だと、そっちの世界は作られないのはござらんか?
マキ:他所、前の世界とは違う世界になるだろうが、強引に作ることにする。最低条件として、私たちが存在する世界であれば、問題ない。それよりルカさんが後者を選んだとしても、お前達の力で、そっちを元の時簡に戻せるとは、思えないがな?

テル:何とかする!

マキ:ふっ… まぁいい。とにかくルカさん、選んで下さい。私とそいつら、どっちを選ぶんだ?

ルカ:う・・・・・・

***

(ナレーション)

世界を変える事になる大きな選択を迫られることになった、こっちの世界のルカさん、どうするのでしょうか? 次回に続きます。

(続く)

CAST

巡音ルカ(ルカ):巡音ルカ
鏡音レン(レン):鏡音レン
鏡音リン(リン):鏡音リン
初音ミク(ミク):初音ミク
神威学歩(学歩):神威がくぽ

古河ミキ(ミキ):miki
氷山キヨテル(テル):氷山キヨテル
歌愛ユキ(ユキ):歌愛ユキ

弦巻マキ(マキ):VOICEROID+ 民安ともえ
ナレーションの声:VOICEROID+ 民安ともえ(パラメータ変更)

アイちゃん:VOICEROID 月読アイ

その他:エキストラの皆さん

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

続・ようこそ、木之子駅前商店街へ! 第6話 訪れた分岐点

☆オリジナルのトークロイドを使ったラジオドラマのシナリオを小説化した作品の第1弾である、「続・ようこそ、木之子駅前商店街へ!」の第6話です。

☆今回も台本ありきの小説になってしまいました。さて、ルカさんはどうするのでしょうか?

閲覧数:320

投稿日:2011/08/12 12:14:24

文字数:3,764文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    読みました! 時間が逆へと進んでいく不思議な感覚と、その後の緊張感のある展開が良いですね。
    頭の中でその光景を想像しやすかったです。切羽詰まって物語りがテンポ良く展開していくのが、読んでいて楽しかったです。物語の中で、誰かが何かを選択しようとするまさにその瞬間の盛り上がりを、上手く盛り上げていますね。面白かったです!

    2011/08/13 17:47:53

    • enarin

      enarin

      日枝学様、今晩は!

      > 時間が逆へと進んでいく不思議な感覚と、その後の緊張感のある展開が良いですね

      有り難うございます! 今回の異変は”時間逆流”。子供のルカさんが世界を変えてしまったポイントまで戻すのが目的です。とてもあり得ないような現象ですが、まぁ小説なので…

      > 面白かったです!

      有り難うございます! こっちの小説はラジオドラマがメインの小説のため、ちょっと小説っぽくないんですが、とにかく、ゆっくりペースでも進めていこうと思います。

      有り難うございました! ではでは?♪

      2011/08/14 16:40:33

  • オレアリア

    オレアリア

    ご意見・ご感想

    enarinさん今晩は!
    長らくうpされるのを待ち続けていましたよ~!!

    やっとの事で時間管理局から解放されたかと思いきや、またしても時間管理局のマキさんに狙われる事になるとは…!
    一難去ってまた一難ですね。

    まさかこのルカさんがキーパーソンだったとは驚きました。
    時間逆流の野望、そしてこのあまりにも重い2つの選択肢にルカさんはどう決断するのか!?

    ラジオドラマver.がPCが無く携帯の為に聴けないのが本当に残念でです…(泣)
    でも両作品ともブックマーク頂きます!

    執筆、VOCALOID調声と共にかなりの時間を使われているのにとても頭が上がりません!
    第7話の更新、いつでも楽しみに待ってます!!

    2011/08/12 18:41:30

    • enarin

      enarin

      オセロット様、今晩は!

      > 待ち続けていましたよ?!!

      お待たせしまして、申し訳ないです?、実は小説部分だけなら、もっとペース早めに作れるのですが、セットで投稿しているラジオドラマがちと難儀なんです?。トクロなので調整は大したことしてないのですが、言葉の打ち込みが大変でして…。こっちはちとお時間頂くようなペースになってしまいますが、宜しくお願いいたしますね

      > 時間管理局のマキさん

      この”ツルマキマキ”さんは、”Voiceroid+民安ともえ”のともえさんが演じているキャラそのものです。利用価値とトクロの打ち込み補助のために導入したのですが、これがまた役に立つので、そのまま小説に入って貰いました。

      > 一難去って

      ここがターニングポイントになります。

      > まさかこのルカさんがキーパーソン

      今まで目立たないし、セリフも少ないし、前の記憶がないから、セカンドキャラだったのですが、やはりシナリオ上の主役、これから頑張って貰います!

      > 重い2つの選択肢にルカさんはどう決断するのか!?

      前作でのルカさんの選択は、気絶中の夢の形式で、2つのバッドエンドを経験してますが、今回は話では、その2つの真ん中=中庸はない、と言ってますが、さて、どうなのでしょうか?

      > PCが無く携帯の為に聴けないのが本当に残念でです…(泣)

      あ、いや、シナリオを追って行くだけなら、小説だけで十分なんです。むしろ、シナリオを進める上で、台本ありきのこの小説の文字数は圧倒的に少ないです。この2倍はないといかんと思うのですが、ラジオドラマにすると、20分近くになってしまうので、1つを3800文字程度に切ってます。なので、話数は多めになると思います。

      > でも両作品ともブックマーク頂きます!

      有り難うございます!!! 本当に嬉しいです! 感謝感謝!

      > かなりの時間を使われているのにとても頭が上がりません!

      確かに時間がかかってしまうのは否めないのですが、頑張ります!

      > いつでも楽しみに待ってます!!

      これとは別の新作を構想しながら、こちらも進めますね! ちょっとお時間頂きますが、お待ちくださいませ!

      毎回凄く励みになります、有り難うございます!

      2011/08/12 19:38:37

オススメ作品

クリップボードにコピーしました