冷房の中で雷の音を聞いた。

 不意に窓を開けて、外を見た。
 青い空の向こうから灰色の雲が近づいていた。

 光って鳴り続ける雷の下で、霧のような雨が降り出した。
 視界を消していく。いつも見えている景色が薄れていく。

 不意に風が吹いた。
 ふわりと体を通り抜けたその風は、蒸し暑いそれでは無く、涼しかった。

 ああ……。

 気づいてしまった。
 夏が終わったことに。

 ああ……。

 気づいてしまった。
 青春の終わりが近づきつつあることに。

 全力で走った運動会。
 声を響かせた合唱祭。
 一心に演じた文化祭。

 ああ……。
 ああ……。

 気づいてしまった。
 先生と友達と、自分の育った学校と別れるときが迫っていることに。
 
 家から飛び出して空を見上げた。
 灰色の雲が流れていく。
 先から晴天が近づいてくる。

 ああ……。

 眩しすぎた。
 その青い空は眩しすぎた。
 まだこの灰色の下に居たいと思った。



 雨粒のふりをして、静かに涙を流した。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

あの頃に別れを

 ちょっと曲を漁ってたら
「過ぎた青春を思い出して鳴くような動画」に出会い、
ちょうどその時に雨が降り出して、涼しい風が

 な感じで、うるっと来たので、勢いで書きました。


 私は、いろいろと大変な高校生活を送ったので戻りたいとはあまり思わないのですが、それでも楽しいこともたくさんあり、時々思い出しては、あの頃はあんなことやったなぁ、とうるっと来ちゃいます。


 ちなみにコラボ(http://piapro.jp/collabo/?id=18850)にも同じものを載せています。



 読んでくれた皆様にワルキューレが微笑むことを

閲覧数:134

投稿日:2012/08/31 17:57:58

文字数:447文字

カテゴリ:小説

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  • 闇夢ミケ

    闇夢ミケ

    ご意見・ご感想

    僕も、とりあえず最新作を読ませていただきました。
    僕はこういう感じの小説好きです。

    最後の一文が特にいいですね

    2012/08/31 18:45:57

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