「最期の幸福(しあわせ)」


あの日 『彼』の腕の中で消えてしまった 『命の灯』


心から守りたいと思っていた 『大切なもの』

現実に疲れ果て 手放してしまった 『大切なもの』



いくら涙を流しても 『彼女』はもう二度と 戻らない



眠れぬ日々を過ごしては 度々『死』の衝動が 『彼』を襲う


それでも 『彼』は生き続ける途(みち)を選んだ



せめて 『彼女』の分も 生きようと……


そして 『彼女』ような存在が 生まれないようにと……



栄華を極めた者達が 衰退して行く時代

その現実を 受け止められずに 自ら逝く者達



『彼』は 必死に働いた


『幸福』(しあわせ)を夢見た 亡き『彼女』と

『代役』(かわり)でも 構わないと言ってくれた 『彼女』を


……守る為に……



『彼』は 生き続けた



気が遠くなる程の 時が流れ

病床(ベッド)に 横たわる 『彼』

その傍らには 健やかに育ち 巣立った子供達

その子供達に 愛されて育つ 可愛い孫達


そして 『彼女』の姿があった


互いに年月(とし)を重ねた 手と手



『彼女』は……『幸福』(しあわせ)だったのだろうか?



『富』を残しても それが『幸福』(しあわせ)とは 限らない



『富』は 所詮 生き続ける為の 『糧』



でも その『富』が無かった為に 『彼女』は……



『幸福』(しあわせ)とは『何』だろうか?



……きっと 『答え』が出る事はないだろう





『人間』(ひと)の数だけ 『幸福』(しあわせ)があるのだから





……それでも……





『     』





誰にも聞き取れない声



『彼』は微笑むと 静かに瞳を閉じた…… …… ……

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最期の幸福

だいぶ前に投稿した「Traum」のアナザーストーリーみたいな。

『紫の髪の~』とか入ってないですが、がくぽのイメージです(汗)。
最初は『紫の髪の~』って入れてたんですが
変な文章が余計に変になったし「Traum」の方で
『紫の髪の~』が入ってるから別にいいかと勝手に結論を出しました←

これは……まぁ、よくある(?)質問で
『愛』と『金』どちらがあれば『幸せ』?……みたいな。
そんな感じです。えぇ。

閲覧数:255

投稿日:2009/08/10 17:41:07

文字数:757文字

カテゴリ:小説

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