(前作のおさらいと、ラジオドラマ台本第1話~第3話までのあらすじ)

前作:木之子駅前商店街…、この商店街でレンが営む喫茶店“LEO”に、アルバイトとして入ってきた“巡音ルカ”。最初は商店街の安穏とした雰囲気で進んでいたが、ある日の散歩をきっかけに、“この商店街の秘密”を知ることになる。突然暗転する“パラレルワールドの商店街”。別次元化された商店街で、錬気刀を持ったルカと学歩は共闘して、次々来る刺客を倒して魂を開放していった。途中で会っため~こ人形を加えて、最後にリンとレンのコンビ、そして、学歩、この“相反する考えを持つ二組”が対峙したときに、ルカは気絶してしまう。意識世界で、メイコの助言を得て意識を取り戻したルカは、どちらにも偏らない道を見つけだす。そして商店街の真の“秘密”を暴き出し、誰も入ってこられない世界に入り込む。そこで待っていたのが、パラレル世界を作っていた、子供のルカだった。ルカvsルカの戦いは、メイコの一閃で両方の意識を分離して、1つにすることだった。元に戻る世界。そうして生まれた世界は、ルカの子供の時代だった。レンが喫茶店で待っている間に、時間は急速に経過し、最終的にレン達一行は、パラレルで会った年齢のルカが、パラレルの記憶を無くした状態で、レンの喫茶店にアルバイトとして来る所まで到達し、大団円を迎えた。…はずだった。

ラジオドラマ第1話~第3話:元に戻った世界で、アルバイトのルカと喫茶店を営んでいるマスターのレン。いつもの商店街のメンバーと安穏とした生活をしていた矢先、突然3人組が入店してきた。“時間管理局”と名乗った、局長のミキ、執事のテル、秘書のユキの3人組は、レン達全員が、“時間管理法違反”を犯したから連行する、と言い出した。レンはすぐに、“この世界に戻った時に、子供のルカの時代から急速に今のルカの時代になったことを言っている察知したが、出来るだけその内容を回避するため、この異常時間を作り出した張本人は、メイコだという事実を3人組に教えた。大食漢のミキの食事が終わった後、メイコを探しに行った3人組は、彼女を探し当てたのだが、この世界のメイコは、め~こ人形がメイコになった世界のため、3人組の話が全く解らない。腹を立てた3人はすぐに喫茶店に戻ってきて、喫茶店の面子に文句を言った。そしてプンプン状態になってしまったミキは、喫茶店の面子に戦いを挑む。戦って勝つことで、この面子を無理矢理連行するつもりなのだろう。喫茶店側での戦う面子は、この世界でも力を持ち続けているリンレンと学歩だった。残念ながらルカは力を失っているようだった。テルの力で元のパラレル世界の空間を擬似的に作りだし、第1戦の”レンvsミキ“の戦いが切って降ろされたのだった。

<続・ようこそ、木之子駅前商店街へ! 第4話 時間管理局vs喫茶店!>

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 レンとミキは、にらみ合って対峙していた…というか、レンは慎重にミキを観て分析するために睨んでいたのだが、ミキの方は怒って半月目の状態でレンを観ていたので、こうなっていただけだったのだ。

 カーン!

ミキ:喰らえぇ! アホ毛スラッガーぁ!!!

 ブンッ!

 ミキは赤い髪の毛の上に突っ立っている“アホ毛”を両手で挟んで、レンに投げつけた! アホ毛はブーメランのように回転してレンに向かっていった!

レン:よっと!

 レンは素早い身のこなしで、ブーメランのアホ毛を回避した。

ミキ:ふっふっふっ! まだまだ甘い!

 そう、このアホ毛は“ブーメラン”。レンの後方で移動を停めて、次に回転しながらレンの後頭部目がけて再び飛んできたのだ!

レン:ソレくらいわかるんだよね~ ほいっ!

 レンは熟知していた。右にひょいとステップ移動しただけで、ミキの“たぶん必殺技”を簡単に回避してしまいました。

 ジャキーン!

 アホ毛はミキの頭に戻ってきて止まりました。ミキは“多分自信満々だったらしい必殺技”を簡単に回避されたのが悔しかったのか、涙目でテルとユキの所に駆け寄ってきました。

ミキ:ふぇーーーん! あいつら、必殺技をかわしちゃったよー! ずるいよー!
テル:まぁまぁ。局長にはまだまだ必殺技がありますよね?
ミキ:ふぇ・・・・そ、そうだよね! ミキ、もう泣かない! いっくぞー!
ユキ:単純

 ミキは再び(半ば呆れている)レンと対峙し、両手を前につきだした!

ミキ:えぃ! 必殺ぅ! ミサイルパンチぃ!!!

 バシュ!

レン:!? 腕が!?

 どういう構造か解らないが、つきだした両手の前腕(手から肘)がレンに向かって発射されたのだった! その発射速度は意外にも速く、レンは意表を突かれた事もあり、回避できず、直撃を喰らってしまった!

 ガガン!! ガガン!!!!

レン:ぐふ! ちっくしょー、そんなのありか! 人間だと思っていたのが、甘かった!

 腕は元のミキの所に戻ってきて、繋がったのでした。

ミキ:はっ! はっ! はっ! ミキは、“かいぞーにんげん”なのだ! ぜんしん“ひっさつぶき”なのだ!
レン:まずい!
ミキ:とりあえず最後の武器なのだぁ! モコモコビットぉ!

 バシュ!

 ミキが着ている紫色のモコモコマフラーから、紫色のモコモコが数個発射された。どうやら遠隔操作型の武器らしい。

ミキ:ビットぉ! いけー!

 シーン

ミキ:ありゃ? みんな、なんで行かないの?

 するとビットのリーダーがミキの耳元に近づいて、コソコソと話し出した。

ミキ:ふんふん、さっきこのレンさんが作ってくれたプルーンのメニューから栄養をとれたから、そう言う人には攻撃できない・・・そ、そんなぁ!
レン:半分ロボットって事なら、躊躇無しだ! いくぞ! 必殺! ファイアーブレス!

ごぉおおおおお!

 突きだしたレンの両手先から、パラレルワールドで変身した後に使える技だった、“ファイアーブレス”を吹きだし、ミキを包んでしまった!

ミキ:うわぁぁぁぁ! タンマ! タンマ! ギブギブぅ!

 ピタッ

テル:…こちらの負けですね。レンさんの勝ちです

 カンカンカン!

 こうして、ミキvsレンの勝負はレンの勝ちとなった。ミキは泣きながらテルの前に駆け込んで、泣きじゃくった。

ミキ:ふえぇぇぇ! 負けちゃったよ~!
テル:何となく解ってました。大丈夫です、私とユキが勝てばいいだけですから

***

(第2戦 リンvsユキ)

 ミキが泣きやんだ後、リンとユキの双方が向き合うことになった。

リン:そ、それにしても、あなた本当に秘書なの? どう見ても“しょうがくせ
ユキ:それは言わない約束よ。一応、ちゃんと仕事もこなしてますよ
リン:ごめんなさい。じゃあ、行くよ
ユキ:はい、お願いします

 カーン!

 ダッ!

 リンはユキに、カンフーの様な体術で、向かっていった!

リン:はあぁぁぁぁっ! はっ!

 リンの手刀がユキの真上から降ろされたのだった!

ユキ:甘い

 ガシッ!

 ユキが後ろのバッグに刺さっていた縦笛を、抜刀して、上から襲ってきたリンの手刀を完璧にガードしてしまった!

リン:まだまだ! アイスブレス!

 パラレルワールドで変身後に使えた技“アイスブレス”である“吹雪“を、もう片方の手から吹きだした!

ユキ:魔法スキルか…

パチン!

 ユキは指をパチンと1回鳴らすと、ユキの前に耐熱傘が現れ、吹雪を無効化してしまった!

リン:こいつ、出来る!
ユキ:今頃気づいても遅いよ。そんじゃ私から。“リンゴラッシュ”

 バシュ!バシュ!バシュ!

 ユキと距離を置いたリンに、赤いリンゴの“物理兵器”が沢山現れ、リンに向かっていった!

リン:はっ! はっ! はっ!
ユキ:まだまだまだ

リンの“迎撃する手刀”で次々地面に落ちていったが、間に合わなかった。リンに直撃するリンゴ軍団!

 バゴバゴバゴ!

リン:う・・・・・ぅ・・・・う~ん、だめだ・・・

 バタッ!

レン:リン!!!!

 カンカンカン!

 どうやら腹部への直撃がかなりのダメージだったらしく、リンはその場に倒れ込んでしまった。レンはリンに駆け寄った!

リン:ご、ごめん、負けちゃったよ
レン:大丈夫だよ。まだまだ1勝1敗だ。後は学歩さんが頑張ってくれる!
学歩:勿論でござる! 任せるでござる!

テル:順当な結果だな
ユキ:私が負けるはずがない
ミキ:ユキちゃん、すごぉ~い!

 こうして、勝負は最後の3戦目に持ち越されたのだった。

***

(第3戦 学歩vsテル)

 カーン!

 学歩とテルも、これまでと同じように向き合っていた。しかしその姿は相反していた。抜刀し構えて戦闘態勢になっている学歩に対して、テルはこれから戦闘するのかどうかすら怪しくなるくらい、腕を後ろで組んで、直立不動で静観していた。

学歩:…拙者は刀を抜いているのだぞ? お前も何か武器を持って構えたらどうだ。それとも今手元に武器が無いというのなら、拙者も刀を使うのはやめるが?
テル:いえいえ、アナタはご自由にどうぞ。私の流派には“刀は必要ない”ですから
学歩:!? それって古文書にも書かれている、あの流派か!?
テル:いえいえ。私のは“護身術”を発展させた流派ですから、“戦うための流派”ではないです。簡単に言うと、剣術流派と合気道との戦いみたいなものです。なので、あなたも躊躇なさらずに、全力で斬りかかって良いですよ
学歩:ぬぬ・・・そうしたいのは山々だが・・・執事服で立っているだけなのに・・・隙がない・・・
テル:アナタが斬ってこないのなら、戦いは始まりませんね。サービスです。多少流派から離れますが、“私から”行くことにしましょう

 スゥ~・・・・・

テルは体をほぼ動かさずに、蛇行しながら学歩に向かっていった。それでも腕を戦闘態勢にはしていなかった。

学歩:ぬぬ! 刀や銃の弱点、蛇行移動を心得ている・・・。しかし斬りかからなければ、次の一手に移れない! ふんっ!

 ブン!

学歩は蛇行運動への抜刀術として、出来るだけ効果のあるだろう“横斬り”を繰り出し、テルの横腹に斬りかかろうとした。しかし・・・

テル:よっと

 テルはあろう事か、軽くジャンプして、学歩の刀の刀身の上に乗っかってしまった!

学歩:ぐぬぬぅ・・・刀が・・・刀が動かせない・・・
テル:では、遠慮なく、フィニッシュさせて頂きます

 トンッ

 テルは学歩の脳天に軽く、白い手袋をはめた手から繰り出した手刀を浴びせたのだった。見た目には“軽く”だったのに、学歩の様子がおかしくなってきた。

学歩:ば・・・ばかな・・・「急所」・・・を・・・一点で突いてくるなんて・・・たった・・・一発で・・・我が負ける・・・とは・・・
テル:戦闘不能だけにしておきました。体に異常はないはずですよ

 バタッ!

 カンカンカン!

 その戦いはたった一撃だけだった。学歩は刀を手放し、その場に倒れ込んでしまった。そこへレンとリンを含め、喫茶店側全員が駆け寄ってきた。

レン:学歩さん!!!!
リン:学歩さん、大丈夫!?
ルカ:大丈夫ですか!?
ミク:ミクミク! こんなシチュ、初めてミク!

学歩:ぐぬぬ・・・テルとかいう執事、隙のない構え、俊敏さ、技、どれを取っても相当の手練れだった・・・
テル:お褒めに頂き、光栄です。では、そろそろこの空間もいいですね

パチン!

 テルがまた指を鳴らすと、空間がねじれて、元の喫茶店に戻ったのでした。

レン:・・・完敗です。そちらの用件に従うことにします
ユキ:殊勝な心がけです
ミキ:どうする、テルぅ? メイコさんしか事情を知らないんだよ?
テル:局長はどうしたいですか?
ミキ:ボコボコには出来たから、とりあえず、局に来て貰う?
テル:そうですね、それが一番だと思います。彼らを介して調べれば、何かわかると思いますから
ミキ:そんじゃ、皆さん、時間管理局まで来てくれるかな?

学歩:わかったでござる。ここの全員で伺うことにしよう。しかし、肝心のメイコさんはどうするでござるか?
ユキ:連絡できる手段を渡して来てあるから、必要があったら、電話に応じられるように、一応はしてあります
レン:わかりました。ルカさん、喫茶店にはcloseフダをかけて、鍵を閉めて出かけましょう
ルカ:わかりました

 こうして勝負に負けてしまった喫茶店メンバーは、時間管理局のメンバーと一緒に、時間管理局に向かうことになりました。

(続く)

CAST

巡音ルカ(ルカ):巡音ルカ
鏡音レン(レン):鏡音レン
鏡音リン(リン):鏡音リン
初音ミク(ミク):初音ミク
神威学歩(学歩):神威がくぽ

古河ミキ(ミキ):miki
氷山キヨテル(テル):氷山キヨテル
歌愛ユキ(ユキ):歌愛ユキ

その他:エキストラの皆さん

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

続・ようこそ、木之子駅前商店街へ! 第4話 時間管理局vs喫茶店!

☆オリジナルのトークロイドを使ったラジオドラマのシナリオを小説化した作品の第1弾である、「続・ようこそ、木之子駅前商店街へ!」の第4話です。

☆ラジオドラマの台本で、この話を進めていこうと思ったのですが、あまりに進行が遅くなってしまったので、第4話以降のシナリオ部分は、小説の形を取ることにしました。

☆但し、ラジオドラマの台本は別に存在しますが、小説と内容がかなりかぶるので、投稿はしないでおきます。

☆台本として第1話~第3話が存在してしまうので、便宜上“第4話”としました。

ラジオドラマ『続・ようこそ、木之子駅前商店街へ!』第4話
http://piapro.jp/t/I29I

閲覧数:269

投稿日:2011/05/23 14:59:29

文字数:5,347文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました