僕と彼女は、特になんの意味もない白黒な関係だ。





今日も僕は、高校の研究室にひきこもる。
授業は受けてはいるが、興味のない授業のときはだいたいここに居る。



ようするに、サボリだ。
だって授業の内容は簡単すぎてつまらないんだ。
教師はそんな僕に特に何も言わない。
だって成績はいいんだから。



そもそも僕に口出しする奴なんて、僕の研究を邪魔する奴でしかない。
まぁ僕は人を惹き付けない雰囲気を持ってるらしいから、そんな心配はいらないさ。




僕は研究室で考える。



人はなんのために生まれたのか。

人はなぜ老いるのか。

人は死んだ後どうなるのか。

そもそも死んだ後などあるのか。

生きて死んでどうなるんだ。



結末の見えない問いを、僕は今日も考える。

こんなもの、誰にもわかるはずがないのに。

「神様なら知っている」って言う奴も居そうだが、そもそも神なんて存在するのか?

神とは、どんなモノなのか。



僕は知らない。この世のすべてを。
僕は知りたいと思った。スベテを、この世の秩序を。
そんなこと、意味がないかも知れないし、できないかもしれない。
でもそうでもしないと、僕は生まれた意味というのを、理解できないんだ。





「…またここに居たー。」




気がつけば、扉のほうに、彼女――初音が立っている。
彼女は‘カワリモノ’の僕につきまとうヒトだ。
僕をつきまとうヒトなんて居ないから、彼女も‘カワリモノ’なのかもしれない。




「居ちゃ悪いか。僕はこの世を知るためにここに居るんだ。」
「こんなツマラナイセカイを知りたいなんて。やっぱりあなたは変わってるね、神威」
「ツマラナイ?どうしてそんなことが言えるんだ」
「さぁ、どうだろうね?」




彼女は、この世界を「ツマラナイ、ちっぽけなセカイ」と言っている。
そう言うのならば、彼女はこの世の秩序を知っているのかもしれない。
そう思って聞いてみたことがあるが、その度に彼女は
「さぁ、どうでしょうね」と答える。



「そういう初音は?」
「私も研究のほうは進めてるわよ。でもなかなかわからない…。
 やっぱり、専門の大学とかのほうが、手がかりがあるかもしれないわね」
「そうか。」
「何、感想それだけ?」
「僕の知ったこっちゃないね」



僕には彼女の計画なんて、どうでもいいから知ろうとはしない。
僕は彼女なんてどうでもいいんだ。

でも、なぜこうやって毎日会っているのか。
それは、同じカワリモノ同士、何か通じているところがあるからかもしれない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【リレー】僕と彼女の不思議な日常 1

auroraさんとのリレー小説です。
トップバッターは自分でした。
タイトルはauroraさんが命名です。

第二話
http://piapro.jp/t/eD2T

第二期

第三期


2012/04/05 追記
シリーズ「僕と彼女の不思議な日常」が曲になる…だと…!?
詳しくはauroraさんのページへ。

閲覧数:963

投稿日:2011/10/17 23:35:30

文字数:1,085文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました