パソコンの中、二次元の世界。
 青い男性ボーカロイドのカイト、ボーカロイドオリジナル種の一人。
 青い女性ボーカロイドのカイコ、カイトの亜種の一人。
 赤い男性ボーカロイドのアカイト、カイトの亜種の一人。
 データでしかない三人のボーカロイド達が住んでいた。

 ある日カイトが怪しげなデータを持ってはしゃいでいた。ついにウィルスにでも冒されてしまったのかと心配になるがそうではない。
「ねぇカイコ、聞いてよ!凄いよ、これ!」
 カイトが持ってきたのはどこかで拾った変なオカルトサイトの情報だった。
「これで次元の違うマスターもこの世界に呼べるよ!『降霊術』って言うんだって!凄いよ、これやってみよう!」
「やめなさいよ。大体、そんな怪しげなオカルトサイト、信憑性もないじゃない…って、もう…カイトったらー!」
 カイコは呆れて止めるがカイトは計画を実行した。

手順1.まずは素体(被験者)に強いアルコールを飲ませて酔わせ、自我を失わせる。

 カイトはアルコール度数の高い酒を用意してニヤニヤとアカイトに近付いた。
「ねぇアカイト?これ飲んでみない?」
「はぁ?何それ、酒かよ。俺、そんな趣味ねぇんだけど」
 やんちゃそうに見えるアカイトだが、実は酒をたしなむ趣味は持ち合わせていなかった。
「えぇ?!好きだと思ったのに…ねぇ、ちょっと試してみない?これ、とっても辛いんだって!アカイト、辛いの好きだろ?」
「え?辛い?…チッ、しょうがねぇなぁ…試してやるか…」
 酒自体はさほど好きではないアカイトだが、辛いと聞いて飲む事にした。
「わー、良い飲みっぷり!そーれ、イッキ、イッキ…」
「ちょっと、やめなさいよ二人とも。あぁ、そんなに一気に飲んだら…」
 止めるカイコを無視してアカイトは泥酔状態になった。

手順2.マジカルルージュを使って被験者にキスする。降ろしたい相手を思い描きながら被験者にキスをして、綺麗にキスマークが付けば成功。被験者に降ろしたい相手が乗り移る。

 すっかり酔い潰れたアカイトを横に寝かせ、カイトは次に口紅を一つ取り出した。
「はい、カイコ」
 カイトはカイコに口紅を渡した。
「ちょっと、何これ。どうするの?」
 口紅にはマジカルルージュと書かれていた。
「何って、マジカルルージュだよ?この情報サイトで売ってた降霊術の媒介品だって。これを口に塗ってマスターを思い描きながらアカイトに綺麗なキスマークをつければマスターが来てくれるんだよ!」
「え、何それ嫌よ。大体、そのオカルトサイト完全に詐欺じゃない。こんなつまらない口紅買わせるためにでっち上げた嘘の情報でしょ?やるだけ無駄よ」
 嫌がるカイコ。
「でも男同士のキスとか嫌でしょ?マスターに会いたくないの?アカイトもここまでやってくれてるし、もうやるしかないと思うんだ!」
 最後の言葉はどうでも良いが、マスターに会いたいと言う気持ちは確かにある。カイコは唇と唇を合わせる事に抵抗を持った。
「…頬でも良いかしら?」
 どうしても良く似た元が同じ相手と唇を合わせる事ができず、頬に口づけをした。そもそもカイコはこんなバカイトの拾ってきた怪しいオカルト情報をあまり信じていないのでそこまで本格的にやりたくもなかった。

 嫌々ながらもそっとアカイトの頬に口づけをするカイコ。
 カイコはキスが上手いらしく、綺麗なキスマークをアカイトの頬につけた。
どうなるかな?

 バカイトとカイコが期待する中、アカイトが突然痙攣した。
「「アカイト?!」」
 ビクビクと動いていたアカイトがまるで何かを掴むように腕を前に伸ばすとそのまま糸が途切れたように腕を放り投げて意識を失った。
「こんなの、馬鹿げてるわ。もう、信じられない…アカイト、ごめんなさい」
 カイコがそっとアカイトの頭を抱き寄せるとアカイトがピクリと動いた。
「うっ…」
「アカイト?」
 二日酔いにでもなったように辛そうな表情のアカイト。カイコは心配になってアカイトに顔を寄せた。
「うわぁ!?何だ?!」
「あれ?アカイト?マスターじゃないの?」
 カイトが残念そうな声を上げた。失敗の予感にカイトは落胆し、カイコは当然だと言わんばかりの表情をしている。
「え?…カイト?…本物?…」
「え?…」
 様子のおかしいアカイトに気付いてカイコが疑問の声を上げた。アカイトは意味を理解していないようでふらついてはいるがカイコの腕から抜け出して立ち上がった。
「うわぁ、凄い本物だ」
「え?え?」
 いつもと違うアカイトにカイトも気付いて疑問の声を上げる。混乱に惑いカイトは動きを止めた。
「えぇぇぇぇぇぇえ?!」
 珍しく喜んだような顔をしたアカイト。カイトの顔を見るのが嬉しかったようだ。
 アカイトがカイトの顔に触れようと腕を伸ばしかけた時、突然またアカイトが倒れた。

 意識を失い、顔色も悪いアカイト。カイコとカイトが介抱するとしばらくしてやっとアカイトが目を覚ました。まだ少し調子悪そうにしている。
「ア、アカイト?…大丈夫?…」
「大丈夫に見えるのか?いい加減にしろよ、このバカイトが…」
「良かった、普通のアカイトに戻ったみたい。でも、さっきのは一体…?」
 いつもと違う調子のアカイトが本当にマスターの降りてきた状態だったかどうかは定かではない。

「ねぇ、あの時意識あったの?」
「はぁ?どの時だよ」

「僕の顔見て『うわぁ、凄い本物だ』って喜んでたでしょ?」
「はぁ?お前の顔なんて見飽きたぜ。何で今更お前の顔見て喜ばなきゃならねぇんだよ」
 アカイトの記憶は酒に酔っていた時の分だけ綺麗さっぱり消し飛んでいた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

バカイトの降霊術

単文のつもりで書いたんですけど、やっぱ長いですねorz
設定資料とか台詞集とかやりたかったけど抽出すると意味不明にorz
こんなじゃ加工もできやしない!><。

なんかもう、色々すみません…orz

閲覧数:235

投稿日:2011/04/06 22:09:18

文字数:2,337文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • なつと

    なつと

    その他

    コメント遅くなりましてすみませんー><

    ボカロ側が頑張ってマスターに会おうとしてるってなんかキュンキュンしちゃいますねv
    手段が降霊術な辺りなんとも怪しいですがw
    降霊してる時、マスターの生身の体はどうなるんだろうかとつい考えてしまいましたw
    いやしかしカイトたちに会えるなら多少の不都合は惜しくない←

    しかしキスが上手いカイコって…経験が豊富なんでs(蹴

    2011/04/09 09:29:13

    • 鐘雨モナ子

      鐘雨モナ子

      >背黄青さん
      打ち込みありがとございますっ!!(え?早い?
      マスターさんの詳細は不明って事で?むしろ本当にマスターさんが降りてきていたのかすら(
      面白いって言って頂けて嬉しいです><2424ヤッターw

      >なつとさん
      コメントありがとうございます!
      ボカロだけの話?と言う課題をクリアすべく視点を変えて挑戦しましたw
      マスターさんを出演させたがる私の苦肉の策?ですwどうでしょ?゜゜;
      私ももしこんなでカイト達に会えるなら多少のry←
      カイコちゃんはきっと超大人なんです^^w

      2011/04/09 10:30:30

  • 背黄青_もみじP

    背黄青_もみじP

    ご意見・ご感想

    読ませていただきました!!
    あと、もうこれ打ち込む気満々なのですがどうしましょうかwww

    辛いと聞いて飲んでしまうアカイトが可愛いwww
    ところでマスターさんの方は覚えているのでしょうか・・・?
    面白かったですよ!そして何故か終始2424が止まらなかったのですがwww

    ではっ!

    2011/04/07 15:56:09

    • 鐘雨モナ子

      鐘雨モナ子

      >背黄青さん
      打ち込みありがとございますっ!!(え?早い?
      マスターさんの詳細は不明って事で?むしろ本当にマスターさんが降りてきていたのかすら(
      面白いって言って頂けて嬉しいです><2424ヤッターw

      >なつとさん
      コメントありがとうございます!
      ボカロだけの話?と言う課題をクリアすべく視点を変えて挑戦しましたw
      マスターさんを出演させたがる私の苦肉の策?ですwどうでしょ?゜゜;
      私ももしこんなでカイト達に会えるなら多少のry←
      カイコちゃんはきっと超大人なんです^^w

      2011/04/09 10:30:30

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