3グループのカメラ。(ワン編)
「天気がすごくいいわんねー・・・」
そよぐ夏風を感じながら、私は呟いたわん。空も青いし、ゆるやかに流れるパズル川の流れはいくら見ても飽きないわん。
「ナエルちゃん、とっても活発ですねー」
私の隣にいるめぐっぽいどちゃんは言ったわん。とってもきれいなお天気キャスターだわん。
「そうだわんね」
頷いて、ナエルを見るわん。・・・ナエルは、何やら走り回っていたわん。
「ねぇ、ワンちゃん・ナエルちゃんのこと、好きですか?」
「好きだわん!!」
「そうなんですかー。私にもいましたよ、そういう人」
「わおん・・・?」
私は、めぐっぽいどちゃんを見たわん。とってもきれいな顔には、何か淡い切なさのようなものが浮かんでいたのだったわん。
「ナエルちゃんのこと、大事にして下さいね。では私も写真を撮りに行ってきます」
そう言って、めぐっぽいどちゃんは立ち上がったわん。私も、ナエルのところへ行くことにしたわん。



「・・・私も、わんわんって語尾につけるべきですかねー」
「えー」
「そのえーって言うの微妙ですな、フワさんよー」
ムウはぼやく。
「そろそろ休憩しますか? 差し入れ届いていますので、それ食べましょうか」
「お! 差し入れやったー! ・・・でもなー」
「どうしたんですか? ムウさん」
「リンちゃんさ、なんか色々中途半端な差し入ればっかりもらってるじゃん? だから、無意識に警戒しちゃって―」
あははと笑うムウに、
「それ、無意識じゃないですから」
一言ばっさりと言う。
「まぁ、今の発言についてはさておき、どんな差し入れですかなー??」
「氷アイスでs「それはアイスという名ばかりの氷のかたまりをただカップというこれまた名ばかりの入れ物に入れただけじゃないですか。それならかき氷食べた方がまだいいですよー、はい」
「ムウさんのツッコミって、なんかいい味出してますねー♪」
「何しろ、もう2年目ですからね。でも、突っ走らないとですねー」
「そうですね♪」
フワはふわりと頷いて、それから、
「・・・氷アイス食べます?」
ちゃっかりすすめる。
「さりげなーくスプーンとセットで置くの、やめませんか。私は、こうなったら意地でも食べませんよ」
「・・・こうなったらって食べて下さいよ。こうなる前に」
「もうこうなりましたー、フワさん。私は、口だけでなく意地も固いんですよ」
「それ、ただの意固地ですから」




1グループのカメラ。(アカイト編)

俺は写真を撮りつくしたので、最初別行動をする前に言った集合場所に行ってみた。空は青くて手を伸ばせばつかめそうだった。・・・ふと、空の手ざわりってどんなだろうと気になってしまった。俺って、時々どうでもいいことに疑問を持ってしまうんだよなぁ。別に、なんてことはないんだけどな。
みんなは集まっていた。・・・え、俺以外、全員いるぞ。
「・・・」
リウちゃんが、とてとてと歩いてきた。まるでみんなを代表するかのように、
「遅いっ!」
「ごめんな、リウちゃん。ちょっと色々歩き回っててさ・・・」
「・・・い、」
俺の言葉に、リウちゃんはわなわなと身を震わせ、
「言い訳は無用だー!」
思いっきり叫ぶ。
「そうだにゃんよ。言い訳は無用だにゃーん」
ミンはせせら笑う。そんなところへバンがやって来る。
「バン・・・」
「アカイト、言い訳とかじゃないよな?」
そのぐるぐる眼鏡に隠されて、いまいち考えていることは分からないが、
「言い訳なんかじゃない、絶対だ」
本当のことを言う。
「ほんとかしらにゃん」
タマはため息をつく。
「とりあえず、これからどうするのかを決めないか?」
そう言って手を挙げたのは、
「・・・ロキ」
「僕もそう思うよ」
ルワも賛同する。
「そうだな。アカイト、どうする?」
「何で俺に聞くんだよ」
「だって、リーダーじゃないか」
「・・・俺、一言も言ってないけどな」
「口ではそう言いつつも、実はリーダーになりたいんじゃないのか?」
うう・・・。
そうやってバンに見つめられたら、素直になりたくなる。
「分かったよ、バン。俺がリーダーだ。えっと、これからは、・・・」
どうしよう。写真撮り終えたら、再びバンの研究所に戻っていいのか???
『はいこちらはリーダー限定にお伝えしておりまーす』
その時、ちょっとというか、とても場違いにぬるい声が俺のカメラから聞こえてきた。
『そのカメラについてるマイク、それから超小型カメラで、ばっちり動きが追えました。とっても楽しかったですよー、はい』
「手ブレ防止だけじゃなかったのか」
『・・・それでもブレるような人に、言われたくないですよー。ところで、もう写真撮り終えたんですか?』
「まぁ、商店街周辺は」
『今回、どのグループも1カ所にとどまっていました。・・・これ、七不思議だよね?』
「・・・全然違うと思うぜ」
『そんなことはどうでもいいや。これ以上写真を撮らなくても大丈夫っていう人は、バンさんの研究所に戻って来て下さい。それ以外の人は戻らなくていいですよ・・・あ、それ以外の人っていうのは、赤い髪の20代前半(仮)の人限定ですので、それではさよーならー』
「・・・(仮)って、何だよ、(仮)」
機械年齢よりずいぶん高いからって・・・ムウも、人のこと言えないと思うけどな。
「じゃあ、アカイトさん以外、戻りましょうか」
モコがにこりとして言う言葉に、
「そうだにゃん。帰ろ帰ろにゃーん」
「私も撮り終えたから、帰るにゃん」
「2人とも、帰るじゃなくて戻るにゃんよー」
ミンとタマが呟いて、その呟きにミヤは訂正ツッコミをした。
「俺も戻るよ」
「じゃあ、僕も」
続いて、ロキとルワも言って歩いて行く。
「あ、ちょっと待って下さい」
「どうしたお?」
ナナが突然声を上げて、近くにいたテトは首を傾げる。
「最後に、みなさんと集合記念写真を撮っておきたいんですけど、いいですか?」
にっこりとした笑顔のナナに言われると、全員頷かざるを得ない。
「でも、ナナちゃんどうするアル? ナナちゃんが写真撮ると、ナナちゃんだけ写れないアル」
「そうだよ、ナナは写真入らなきゃだめー! 代わりに、
鈴々の言葉に大賛同のリウちゃんは、なぜか俺を指さした。
「この赤い人に撮らせりゃいいんだよー!!」
「その妙に得意げな表情はなんだよ、リウちゃん」
俺はため息をついた。
「いいんですよ、リウちゃん。私のカメラで撮りたいんです」
「・・・しょーがねーな!」
リウちゃんはとてとたっと歩いてみんなを並ばせる。当然、俺も並ぶ。
「・・・」
ナナは、カメラを構える。その姿が、とてつもなく微笑ましくてにこにこしていたら、
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「いてっ! 何するんだよ、モコ」
リウちゃんとギルくんの冷たい視線と、モコに足を踏まれた。
「アカイトさんが何か妄想でもしてたら、それを止めるのが私の役目なので」
「あはは、そりゃいいな」
隣にいたバンは、あっさり笑い飛ばす。・・・なんだかなぁ。
「はい撮りますよー」
その言葉と共にカシャッっという音が、まだ青さを残しつつある空に鳴り響いたのだった。
夏は、まだまだ終わりを知らなかった。俺たちも同じだった。




2グループのカメラ。(ピノ編)

他のグループはどうなのかよく分からないけど、私たちのグループはあらかた写真を撮り終わって写真を見せあいこしていた。すると、
『すみませんが、リーダーはどなたですかね?』
という声が、どこからともなく聞こえてきた。
「これがほんとの透明人間ー! うーうー!!」
『ああ、ほんとだ。こりゃ、ウサちゃんに1本取られちゃったな、にゃっはっは』
「この声・・・ムウさん??」
『おお、大正解。リアちゃんお見事お事見ー』
「・・・ん?」
後半の言葉に、メイちゃんは首をひねった。ムウさんってば、時々日本語ごっちゃごちゃになっちゃうんだよなぁ・・・。
「んー、リーダーはピノちゃんで!」
「ええっ??」
ミナにゃーの言葉に驚いた。だって、そんな・・・、
「似合わないよ・・・私」
「似合うよ! うーうー!!」
「え・・・?」
「私も、ダジャレ同盟代表取締役のリーダーだもん! うーうーうー!!」
「え・・・?」
さっきと驚きの質がちょっと違う。・・・ウサちゃん、いつの間にやらそんな大層な役柄になっていたのか・・・。
「・・・ウサちゃんみたいじゃなくても、頑張るね!」
逆に気が楽になった。ダジャレ代表なんとかよりも、断然このグループのリーダーになる方が簡単そうである。
『リーダーはピノちゃん? なかなかいいですよー、色んな意味で』
「どういう意味だ?」
「色々な意味なんでしょうね」
「それは、そのままじゃんかー!」
『りんごちゃんとルカちゃんのコントは面白いです、びっくり』
「・・・」
ムウさんこそ、なんか面白いなぁと思う。
『そんなことはあとでいいとして。これ以上写真を撮らなくても大丈夫っていう人は帰らなくてもいいですよ。・・・でも、やっぱり戻って来てね』
「つまり、もう戻ってこいってことですね?」
雨羽くんが言う。・・・雨羽くんって可愛いけど、冷静なんだよなー。だから、大人っぽく見える。
『おおっと、ピノちゃんが雨羽くんに見とれています。これはどういうことなのか! 誰か、誰かご説明をー!!』
「・・・」
ふいっとそっぽを向く雨羽くん。・・・ん?
「とりあえず、私は戻る」
ツンデレなネルさんは、さっさと歩いていってしまった。
「じゃあ、私たちも」
「そうですね」
柔音フワちゃんとアリスちゃんも、そう言って、ネルの後ろを歩いていく。
「どうする? 3人程行っちまったけど」
ラクっていう人が聞いてきたので、
「そうですね、戻りましょう」
私は返事して、残ったメンバーと一緒に、バンさんの研究所に戻ることにしたのだった。
夏は、ゆっくりと過ぎていく。



3グループのカメラ。(ジミ編)

うさグミとノームちゃんが話しているのを見ていたら、愛斗さんとジュラさんがやって来た。
「ジミちゃん、写真撮った?」
「はい」
愛斗さんの問いかけに私は頷く。愛斗さんの後ろに立つジュラさんも軽く微笑んでいる。
「・・・少し、ぐちってもいいかしら」
「どうぞ」
「アカイトとバンちゃんの2人、どう思う??」
「え・・・、別にこれといってどうも思いませんけど・・・」
そういえば、愛斗さんはバンさんのことが好きなんだった。じゃあ、アカイトさんは愛斗さんにとって少々じゃまな存在ということか。
「そうよね。でも、バンちゃんはアカイトのこと、気に入ってるしぃ・・・。今度、思いきって間に割って入ろうかしら」
「・・・」
苦笑いせざるを得ない。と、そんな時。
『リーダーはジミちゃんですよー!』
「ムウさん??」
『そうですよ、その通り。ただいまジミちゃんのカメラに付いている小型すぎる超小型マイクから、お送りしていまーす!』
「へぇ」
ついついデジカメを見てしまう。
『全員、集まってますか?』
「・・・半径100メートル以内には」
『なんか曲の歌詞にもありましたな・・・って、今はどうでもいいか。全員、集めて下さい。リーダージミちゃん』
「分かりました」
リーダージミちゃん。なんだかとっても素敵なフレーズである。
「どうやって、集めるの?」
「これを使います」
私はデジカメを、愛斗さんに見せる。
「これを・・・こうすると、周波数が調節できるんです。イヤホン付けると、ラジオが聴けたりします。それで、小型マイクが付いているのでこの周波数に合わせて、マイクに向かって言います」
息を吸い込んで、
「みなさん、そろそろ時間です。今すぐパズル川土手2006-1570まで来て下さい」
小型すぎる超小型マイクに言う。
「電空番号、分かったの?」
ジュラさんが聞いてきた。ちなみに電空番号とは、電子空間番号の略で、住所の番地みたいなものである。
「電空番号帳、裏設定状態だったら見れるんですよ」
通常、電子空間はwebページみたいなものである。webページはHTML形式のファイルで構成されていて、裏設定状態とは、このHTML形式のファイルを見れるように設定した状態に近い。
「ジミちゃんって地味なのに、しっかりしてるからますます可愛いわね」
「じっ、地味なんて言わないで下さいっ!!」
「ジミちゃんは地味って言われるのがいやなのかい?」
真っ先に着いたセトさんがやって来て言う。私は頷く。
「みゃーみゃーみゃー!」
「人がいやがることは言っちゃだめだぞと、うさグミは言っています」
うさグミの言葉をノームちゃんが通訳する。
「分かってるよ、そんなこと。ただ、さっきのジミちゃんも、とてつもなく可愛かったなって」
『ジミちゃん、とてもハイテクです。みなさん、集まりましたね?』
「はい」
私は返事する。
『これ以上写真を撮らなくても大丈夫だって人は、バンさんの研究所に戻って来て下さい。それ以外の人は気が済んだら帰ってきて下さい。その際、勝手に写真対決は進行していっていますので、ご了承下さい』
「じゃあ、戻りましょう」
即座に言う私。みんなも頷いてくれた。
『・・・団結力は、素晴らしいですねー! これに免じてフワさん、氷アイスっていう変な食べ物は勘弁してくれますか。・・・え? だめ?? 全く、しょうがないですなー』
「・・・氷アイスって、それただの氷なのでは・・・」
ネムリちゃんの言葉が、辺りに妙に響いたのだった。
夏は、まだまだ終わりそうにもなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ長編・前編(下)】 今年の夏は写真対決で決まり!

こんばんは、もごもご犬ですこんにちは!
さっきまで打ってたところを早々に投稿しておきます!
まぁ、まだ決着もついていないので、のんびり読んでもらえればなとは思いますが、絶対いないだろうなぁ・・・w

後編も、お楽しみに!^^

閲覧数:83

投稿日:2011/08/13 19:53:28

文字数:5,581文字

カテゴリ:小説

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