サカト

閉ざされた　鉄の扉
開くこと　決してならず
黄金の鍵は　消えてしまった
初めから　
存在(あり)はしないというように
扉の内部(なか)　暗い部屋
終りは何処に　果てない闇
溢れているのは　昏い歌
闇の中の月下美人
不気味に赤い　薔薇の花弁...

淡墨桜　　　　　うすずみざくら
咲き誇る　　　　さきほこる
大和の大地に　　やまとのだいちに
春日射し　　　　かすがさし
絢爛たるや　　　けんらんたるや
その偉観　　　　そのいかん
豈図らんや　　　あにはからんや
諸人は　　　　　もろびとは
白酒舞し　　　　しろざけまいし
花嵐　　　　　　はなあらし...

沈丁花の匂いする頃
その手は頬を撫でた
唇なぞるのは
甘い記憶呼び起こす
最後の口づけ
触れられぬもどかしさ
二度と戻らぬその温もりを
壊したいのは私だけの愛執ですか
甘い香りは優しいけれど
切ないほどに胸しめつける...

壊してあげるわ 二人の愛を
甘い夢見られるのも 今のうち
レンアイデストロイヤー
幸せなんて壊してあげる
他人の不幸は蜜の味なの
最近付き合った あの子たち
とってもラブラブ ウザイくらい
湧き上がってくるの 破壊慾がね
とろけそうな笑顔 歪めたい
たるむ口元 引き攣らせてよ...

其処彼処（そこかしこ）　歯車が　犇(うごめ)きあってる　
――此処は何処
此処は〝世界〟
〝世界〟と言う名の　機械室
ぽろぽろと　毀(こぼ)れてく
その歯車は　命
自殺した　死んでいった
命は　床に落ちて
運ばれて　修理して
戻される...

お茶にしましょう
お菓子が愛を　ささやく時間
耳をすまして　楽しみましょう
あかいベリー
甘酸っぱいソース
まるでうら若き乙女
いつか消えてしまう
愛おしい時みたい
甘いだけじゃ駄目なのよ
そこに何かひとつ...