沈黙の凶器
オルゴールをやってみたかったので、オルゴール曲です。
動画付きver⇒http://www.nicovideo.jp/watch/sm6661284
歌はKAITOとUTUA(雪歌さん)です。
KAITO=「旅人」
UTAU=「剣」
【プロット】
伝承に残るのみとなった、古の魔物。
際限なく全てを喰らおうとした彼の魔物を倒す術はなく。
当時の戦士たちは、精霊の宿った剣を以って魔物を抑え封じるのが精一杯だった。
そうして、剣の精霊はただ独り、魔物を封じた孤島に取り残された。
長い、長い時を、精霊はただ封印のためだけに存在した。
言葉を交わす相手もなく、けれど封印の地を離れるわけいにもいかず。
ただぼんやりと過ごす長い時の間に、精霊の記憶と心は磨耗する。
喜びも悲しみもない日々に感情は朧なものへと変わり、
覚えていようと想う心を失った精霊は自分が居る意味さえも忘れていった。
それでも精霊は、その地を去ることはなかった。
封印のためではない。
どこに行く意味も、どこに行こうとも思わなかったからだ。
心を失くした精霊だけが住む孤島に、あるとき旅人が訪れた。
好奇心の塊のようなその旅人は、古の伝えに興味を抱き、果ての孤島を目指してきたのだ。
孤島に独り住む精霊は人の気配に、失っていた感情を思い出す。
懐かしい、懐かしい、自分以外に誰かが居るという感覚。
そして何より。
使い手を持ち、剣として敵を屠る喜び。
残された意味も古の戦いも忘れ果てた精霊は旅人に語りかける。
我の使い手となり、共に旅をしようと。
精霊の持つ役目など知らない旅人は、その呼び声に応えた。
そうして――封じの箱たる孤島から、鍵たる剣が失われた。
魔物が目覚め、精霊と旅人は初めて自分達が何をしてしまったのかを知る。