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薄曇りの青空 微かに残る 花の匂い 火照った肌に燻る 君のその温もり 漏れた吐息 掬えたら 夢見る瞼 震えたら 起こさぬ様に 髪を梳く 綿菓子みたいで 溶けそうで 重ねた物が 大事なら崩そうか 護るだけなら 変わらない...
名もない花
高畑まこと
さあ、この感情を何と呼ぼうか? 傍に居るだけで幸せで。 与えられる快感に歓喜して。 恋と呼ぶには幼くて。 愛と呼ぶには重過ぎて。 口付け一つで飛んでいける。 ねえ、この感情は何と呼べばいい? 小さく、呼びかけられた気がした。 盲た僕には、何も見えない。 声のしたと思われる場所へ顔を向けるけど、 耳をそばだてるけど、もう、何も聞こえなかった。 --気の所為か? 微かに響いた、甘く幼い声。 凄く懐かしいのに、誰かもわからない。 音にも蜃気楼があるのなら、その様な感じかも知れない… そっと、名前を呟いてみる。 届かないと知りながら、気づいて欲しいと祈りながら。 君の名前…僕しか知らない、秘密の名前。 ねえ、気付いて欲しいんだ。 僕は此処に居るんだよ…? ねえ、気付いて…