薄曇りの青空
微かに残る 花の匂い
火照った肌に燻る
君のその温もり
漏れた吐息 掬えたら
夢見る瞼 震えたら
起こさぬ様に 髪を梳く
綿菓子みたいで 溶けそうで
重ねた物が 大事なら崩そうか
護るだけなら 変わらない
放すだけなら 意味がない
歩くためなら 迷わない
遠回りの片花
何処かで揺らめく 蜃気楼
ぽたりと頬を伝う
幽玄の哀しみ
吐いた息で 凍らせて
遠い視線を 絡ませて
拭えぬ傷跡 隠すよう
炎天下の氷は 溶けていく
重ねた物が大事なら 壊そうか
喪う恐怖は 測れない
儚い幸せ 記憶にない
掴んだ腕 もう此処にはない
鏡で見合わせた世界の様
傍に有るのに触れない
聴こえない 近付けない
ねえ、気付いて…
名もない花
さあ、この感情を何と呼ぼうか?
傍に居るだけで幸せで。
与えられる快感に歓喜して。
恋と呼ぶには幼くて。
愛と呼ぶには重過ぎて。
口付け一つで飛んでいける。
ねえ、この感情は何と呼べばいい?
小さく、呼びかけられた気がした。
盲た僕には、何も見えない。
声のしたと思われる場所へ顔を向けるけど、
耳をそばだてるけど、もう、何も聞こえなかった。
--気の所為か?
微かに響いた、甘く幼い声。
凄く懐かしいのに、誰かもわからない。
音にも蜃気楼があるのなら、その様な感じかも知れない…
そっと、名前を呟いてみる。
届かないと知りながら、気づいて欲しいと祈りながら。
君の名前…僕しか知らない、秘密の名前。
ねえ、気付いて欲しいんだ。
僕は此処に居るんだよ…?
ねえ、気付いて…
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