タグ:宝石編
6件
人間を辞めて、猫になりたい。
猫は良い。
私よりも自由だから。
無条件に愛されるから。
やっぱり、飼い猫よりも野良。
飼い猫の方が幸せなのかもしれないけど、
毎日のように飼い主のご機嫌を取るのは嫌。
確かに、野生の世界では常に恐怖と隣り合わせ。
弱肉強食で、弱いものから居なくなる。
けど、それは人間...旅人書房と名無しの本(ラピスラズリ)
Kurosawa Satsuki
日に日に、足取りが重くなる。
周りの雑音が、私への誹謗へ変わる。
息苦しい。
消えたい。
逃げ出したい。
そういう言葉が、頭の中で反芻する。
子供の頃とは違う仲間はずれ。
大人特有の残酷な一面。
正義の元に、弱い者を蹴落す。
助けてなんて言えない。...旅人書房と名無しの本(アメジスト)
Kurosawa Satsuki
私は、透明が好き。
無個性な私にはピッタリな色だから。
実家を飛び出して一人暮らしを始めてから、
透明な家具や食器を買い集めて、
それらを眺めながら癒される。
洋服も、パステルカラーやアイシーカラーを基調としたものを好んで着ている。
透明色にハマったきっかけは、
透明をコンセプトにしたBARだった。...旅人書房と名無しの本(オパール)
Kurosawa Satsuki
何処に居ても差別はある。
何年経っても無くならない。
形を変えて言葉を変えて、
胸ぐらを掴まれる。
復讐劇は終わらない。
百年経っても睨めっこ。
睨み合っても、互いにやってる事は同じ。
だから、いつまで経っても変わらないんだ。
勝手に比べられる辛さを、
私は誰よりも分かっている。...旅人書房と名無しの本(エメラルド)
Kurosawa Satsuki
目を覚ますと、見慣れない天井があった。
右腕には、点滴用の針が刺さっていて、
ここが何処であるかは直ぐに分かった。
どうやら、私は失敗したらしい。
とりあえず、これまでの経緯を振り返ってみる。
……
最初に自分が普通じゃないと知ったのは、
小学四年生の夏。
母親に連れられて、小さな病院に行った時だ。...旅人書房と名無しの本(ルビー)
Kurosawa Satsuki
金木犀の香りが辺りに漂う季節、
私は、コンビニで買ってきたロコモコ弁当を意地汚く頬張る。
父は今日も帰って来ない。
母は熊の胸の中にいる。
無造作に転がっている女物の下着。
私は、母の不在に安心する。
我儘な母の面倒を見るのはもう嫌だ。
汚い部屋で食べる弁当は不味い。
食べた物をトイレで吐く。
やが...旅人書房と名無しの本(ガーネット)
Kurosawa Satsuki