金木犀の香りが辺りに漂う季節、
私は、コンビニで買ってきたロコモコ弁当を意地汚く頬張る。
父は今日も帰って来ない。
母は熊の胸の中にいる。
無造作に転がっている女物の下着。
私は、母の不在に安心する。
我儘な母の面倒を見るのはもう嫌だ。
汚い部屋で食べる弁当は不味い。
食べた物をトイレで吐く。
やがて、食べることすら億劫になる。
アレを見た日から、
ずっと過食と拒食を繰り返している。
アレを忘れるために、アレから逃れるために、
色んな手段を使って自分を傷付ける。
ドラッグストアで購入した薬瓶の中身は、
一晩で空になった。
何かに縋りたいが、
縋れるものを未だに見つけられずにいる。
最近は、全然眠れない。
目を閉じる度に、アレが脳裏をよぎる。
ここまで来るのに、多くの代償を支払った。
嗚呼、いつになったら終わるんだ…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

旅人書房と名無しの本(ガーネット)

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投稿日:2023/09/15 23:06:06

文字数:362文字

カテゴリ:小説

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