タグ:Blue_savant_syndrome
7件
教会の脇に広がっていたのは、墓地だった。
芝生が敷き詰められ木々が所々に植えられた緑豊かな墓地には、いくつもの墓石が整然と並んでいる。等間隔に並ぶ墓石の合間を少女はゆっくりと進み、そして、ひとつの墓石の前で足を止めた。
まだ新しいその墓石に彫られた名を、少女は手を伸ばしてそっと撫でる。
その様...蒼の街・7~Blue savant syndrome~
sunny_m
―――――
難しいことはわからない、病名は聞いたけれど長ったらしくて覚える気にもならなかった。ただ私はもうすぐ死ぬのだということだけは確かだった。
少しずつ減っていく体重。棒のような手足。艶のなくなってきた皮膚。死ぬってこういう事なんだな、と日々を追うごとに衰えてきた自分を鏡に写すたびに、...蒼の街・6~Blue savant syndrome~
sunny_m
………
時刻どおりに列車はA―へたどり着く前に停車場で停った。予定通り30分停車をするとの内容のアナウンスが車内に響き、ほかの乗客たちは乗り換えのためか、はたまた時間つぶしのためか、列車を降りていく。
「どうする?」
そうサハラがハツネに声をかけると、少し降りてみる。との返事が返ってきた。コ...蒼の街・5~Blue savant syndrome~
sunny_m
――――――
夏が終わり、秋がやってきた。夏の終わりに私たちはひとつ歳をとった。ひとつ歳をとったということはひとつ大人になったということだ。けれど、大人というにはまだ私たちは幼くて、何もできなくて、世界に対して無力だった。
大人になっても無力である事象はたくさんあるとは思うけれど。
涼しい風が...蒼の街・4~Blue savant syndrome~
sunny_m
――――――
ひとりきりで部屋で眠っていると退屈してしまう。
ここ数日だるいのが続いていて微熱が続いていたのだけど、それを放っておいたのがいけなかったみたいだ。母さんに連れられて病院へ行き、いつも通りなんだかよくわからない検査を一通り受けて、いつもの風邪だから安静にしていなさいと言われて大人...蒼の街・3~Blue savant syndrome~
sunny_m
――――――――
父さんが家を出ていくことになった。ずっと前から続いていた両親の諍い。予感はあったから、悲しくはなかった。むしろお疲れ様です。と思ってしまうあたり、私は可愛げのない娘だと思う。
父さんと一緒に新たな街へ引っ越すか、母さんとこのままここで一緒に暮らしていくか。その選択を迫られたと...蒼の街・2~Blue savant syndrome~
sunny_m
………
ひび割れた音のスピーカーから出発のアナウンスが聞こえてきた。古い重厚なレンガ造りの大きな駅舎。朝の通勤通学のピークが過ぎた時刻。人ごみは幾分和らいでいたが、それでも大きな街のターミナル駅ではいろんな人が行き交っていた。紳士淑女、金持ちの老人に物乞いの子供。各種多様な人々が入り混じり、...蒼の街・1 ~Blue savant syndrome~
sunny_m