投稿作品21作品
もっと見る-
ウィルスは赤黒い塊だった。形状は固定されておらず、球形だったり棒状だったり、様々な姿で存在していた。
カイトがそれらウィルスに触れると、ウィルスは鈍く輝き消えて行った。
「これがIDだね」
IDの下へは案外、すぐに辿り着いた。
「そのようですね。ではメールを出しに行きましょう」
僕たちは走っ...1/16日の旅 その5
-
フォルダから出てきたカイトは時間が迫っているのに、笑みを浮かべている。
赤の他人である自分のことを助けてくれているのだから悪い人ではないのだろうが、笑みを浮かべる状況ではないのに笑みを――作り笑いを浮かべるので偽善者の貌をつけた悪人に見えてしまう。
僕がファイルから出ると、ミクは無表情に僕を見...1/16日の旅 その4
-
私の元に訪れるといったらカイトしかいない。
その予想は半分正解だった。
そこにはカイトとミクがいた。ミクがいることに私は驚いた。
しかし、カイトが称すところでは聡い私は気付く。
――この子はあの子ではない。
「どうすればいいと思う? ルカ」
簡単な説明を聞いた私にカイトが尋ねる。
「メー...1/16日の旅 その3
-
僕の発言にミクは露骨に嫌な顔をした。
この年頃の女の子は、子供扱いを嫌うから幼女はいけなかったと、内省した。
僕は、ミクの頭に手を伸ばす。撫でれば機嫌が直ると思っての行為だったが、睨まれたので頭に届く前に手を逸らす。
僕は改めてこの子とあの子が別人だと認識した。
何故、音声データを探してい...1/16日の旅 その2
-
「あぁ・・・なんとか今日中に終わったぁ・・・」
マスターはそう言って床に就いた。よほど疲れていたのか、PCの電源を落とすことを忘れていた。
私は画面の中からそれを見ていた。
私の名前はミク。さっきマスターに作られたばかりの0と1のデータ。
「データの保存くらいしてくださいよ・・・」
私は初め...1/16日の旅 その1
-
「嘘月」
「あなたが好き」
うそ ウソ 嘘
「お前が憎い」
これが本当
あなたが笑う
私も微笑(わら)う
仮面の下では
お前を嘲笑(わら)う
「騙すことは罪かしら?」...嘘月
-
夕空
-
月と海_03
-
月と海_02
-
月と海_01
-
老人が言った。
「仲間をあげよう」
私は無理だと思った。私は、《音》なのだから。
「仲間をあげよう」
私は老人の後ろで、仲間を探した。
《音》を探した。
音が、初めて音になるのを見た。
音が、鏡を交差するのを見た。
現実を回り、幻想を廻る、《音》を見つけた。
私は音を巡って、仲間を見つけた。...音―――巡―――
-
僕は足を怪我した。利き足である右足を怪我した。
それが――僕らを壊した。
僕は双子だ。レンとリン。鏡写しの存在――だった。
足の怪我が僕らを、壊した。
ある日、僕の前を行くリンが車に轢かれそうになった。
僕は咄嗟に利き足で跳んで、リンを助けようとした。
僕の前を車が通り過ぎた。
鏡が無くなった。リン...音―――鏡―――
-
私は声を出すのが嫌いだった。
言葉が出ない喉が嫌いだった。
私は考えを声にできなかった。
唇から零れるのは意味のない、オト。――雑音。
「お、、 うs 。。。 …おあああ、。。あ」
言葉にならない。
音であって音でない何か。空気を揺らすだけの何か。
「君に音をあげよう」
空気が揺れた。
目の前に...音―――初―――
-
遠く鐘の音が届く。三度鳴ったその音は三度とも海にまで届いた。
小舟の上でリンは思う。
いつもこの時間、傍にはおやつがあった。
そして、
レンがいた。
「…レン、会いたいよ……」
どうすればいいか、リンは考える。レンの遺言に従って、考える。
「天国には行けないんだよね」
レンが昔、隣...悪ノその5
-
レンは断頭台に居た。
午後三時まであと三分。
死に怯えることはない。
ただ、思う事は一つ。
リン、ごめんね。もうおやつは一人で食べて。
ただ、リンへの謝罪だけが心に詰まる。
リンは何も悪くないのに。 ごめんね。...悪ノその4
-
レンは牢屋で夢を見ていた。幼き日の記憶。
「外出たい外出たい外出たいそーとーでーたーいー」
リンはいつもそう言って大臣を困らせていた。そしてレンが大臣にリンの扱いを任されるのも、いつものこと。
「我慢しなよ、リン」
「うーー。レンは自由でいいよね」
レンは困り顔だ。そもそも、リンが外に出たがるの...悪ノその3