kuyakusyonokosekigakariさん

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イチオシ作品

VOCALOID MEIKO 第二部”ブラッディMEIKO”3/3

辺りは静かになっていた、ただ雨音だけが激しく単調なリズムを刻んでいた。 そして、そこには全身を赤に染めたメイコの姿があった。 「メイコ・・・・なの・・か。」 「・・・・・・・・・エルダー、なんてこと。」 「おまえこそひでぇなりだな、こっち来い手当てしてやる。」 「エルダー・・・・私はロボットですよ、このくらいなんてことは・・・」 「いいから来い、この左腕はどうした。」 「戦車のハッチを引きはがしたとき、破損したのだと思います。」 「人工体液がかなり漏れているじゃないか、なんて事無いはず無いだろう。」 「はい、エルダー。・・・・・・・・・・・・・・・隊長は・・。」 「死んだよ。・・・・・・・よし、これでしばらくは保つ」と破損箇所をガムテープで巻かれた。 そして・・・・。 「メイコ、おまえ人間だよな。」 エルダーの声は弱々しくなっていたが確信に満ちていた、わたしはもうエルダーに隠しておくことは無いと思った。 だって、もうエルダーは・・・・・・・・。 「はい、私は実在の人格のコピー。 ですから、体は機械でも人だと思っています。 でも今の戦闘で解らなくなりました。 少年兵の頭を握りつぶし、命乞いする女性兵士の体を引き裂いて、その胎内のまだ生まれてもいない命まで踏み潰した。 骨が砕ける感触、肉が裂ける音、飛び散る血の色、断末の叫び・・・・全て憶えています。 なのに止められない、わたしは・・・・・。」 「・・・・・・・・人間だよ、間違い無く・・・・な。」 ふーーーーーーーーーーっとため息を吐くエルダー。 「さてメイコ、おまえに最後の命令を与える。伝令としてキャンプに戻り、戦闘の状況を報告、救援無用、罠だから来るなと伝えろ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞こえたか。」 「Yes・・・・・・sir」 「よし、こいつをやる。」 エルダーがいつも身につけている鞄を手渡された。 「そこに入ってる拳銃は俺の宝だ、もう10年になるかな当時の中隊の連中から貰ったものだ。 予備のカートは2本。それとガムテープ、こいつはいいぞ傷の手当てにも、備品の補修にもなんにでも使える。」 「エルダー・・・。」 「ひとつ頼みがあるんだが・・・・・・・・・・・膝枕ってのやってくれないか。」 わたしは膝にエルダーの頭を乗せて、顔に雨が当たらないように体を覆いかぶせた。 「ははは、心地いいもんだな、最後の最後でやっとツキが回ってきたかな、女神の・・様・・・な・・・・。」 「エルダー!!」 「あ・・・・・・あっ・・・・ああああっ・・・あ゛ーーーーーーーーーーっ、あ゛ーーーーーーーーーっ」 この時、私は泣いていたんだと思う。 ただこの義体には涙を流す機能は無い、だから訳の解らない声を張り上げていた。 この雨が涙の代わりだ。 酷いよエルダー、家族だって、人だって、言ってくれた、なのに独りだけおいて行くなんて。 置いて行かないで、一緒に行きたいよぅ、連れて行ってよーーーッ。 統合制御システムが警告を発している。 感情制御、論理制御、義体制御エラー、輻輳を起こしています。 強制終了まで30秒。 ここで止まってしまうのも悪い選択じゃない、皆とエルダーとともに居られるなら。 その時倫理制御プログラムが警告を発してきた。 受領した命令を遂行する必要があります。 そうだ、私には任務がある、エルダーに与えられた生き残ると言う任務が。 私はエルダーを横たえて、受け取った鞄の中を確認した。 そこには何時か見た小さな拳銃があった、グリップにはDearElderの文字。 残った腕で敬礼し命令を復唱した「メイコ二等兵伝令の任務を遂行します。」 まだ使えそうな火器を拾い集め、コンボイが待つはずの北に向けて道路を歩き始めたとき、サーチライトに不意に照らされた。 そこに居たのは退路を確保しているはずの第3小隊でも、偵察に来たコンボイの護衛車両でもなかった。 「ヤレヤレ、全くツイてない。」 そこから先は何をしたか、どう逃げたか、戦闘記録が断片的にしか残っていない。 私はキャンプのゲート手前200mで見張りに発見されたらしい。 そのときの姿は、体の大半を失い、残った腕はあらぬ方向に曲がって、それでも泥水の中を這いずってキャンプを目指していたと言う。 そしてその手にはグリップだけになった拳銃が握られていたそうだ。 「ここは・・・・・。」 「病院って言うかあなたのために用意してもらった施設よ。」 声のするほうを向くとそこには博士が居た。 「は・・・・かせ。」 「めーちゃん。」 ぎゅっと抱きしめられた。 「もう、大破して帰ってきたって聞いたときには、心臓が止まるかと思ったわよ。新しい体はどう、まだもう少し調整が必要だと思うけどほとんど問題ないはずよ。」 「じゃ・・・・あ、前・・の・・義体は・・・」 「見る?、こっちよ。」 そこには泥と血にまみれ、右上半身だけの、顔も半分が焼け爛れ、抜け殻になった私がいた。 「くすっ。」 「どーしたのめーちゃん。」 「ううんっ、自分が・・死んでくところ・・・・・・・・2度も見るって・・・・何だか可笑しくなって・・きた。」 「めーちゃん・・・・・・・。」 「はかせ・・私のメ・・・モリいじった。?」 「わたしは何も、どうして。」 「記録が断片的に・・・・うまく再生でき・・ない。」 「損傷したときの衝撃のせいだと思うけど。」 いつの間にか軍服の男が部屋に入ってきていた。階級章は中将、レンジャー連隊長だ。 「メイコ上等兵、よく戻った。」 「上等・・・兵。?」 「そうだ、二階級特進だよ。」 「でも・・・・たくさんの仲間を、家族・・を失いました。」 「そうだ、残念だがA中隊で残ったのは君だけだ、目下B中隊が遺体の捜索に当たっているが、酷い扱いを受けたものもいたようだ。 だが仲間は決して見捨てない、何日かけても見つけ出す。」 「はい、・・・中将。」 「さて、君はどうする、このまま退役してもいい、普通の人間なら自動的に退役になるほどの負傷だと思うが。」 「あと一週間・・・くらいあれ・・ばこの体も慣れ・・・ます、アーマ・・ロイド社と・の契約も・・・・まだ半分残って・・・・・ますから。」 「めーちゃんっ。」 「そうか、では先ず君がやるべきことをし給え。」 「はっ、レンジャー・・・A中隊・・・1・・2小隊・・・・・・・全滅、敵の・・罠でした緊急・・・・支援は・・既に・・・・・無用で・・す。」 「ご苦労。! では、改めて私が命令を与える、必ず生き残れ、A中隊先任の本当の命令だ解っているな。」 「SirYesSir。」 「あ、・・・・・・・・れ。」 「めーちゃん、今度の義体は涙が出るのよ。」 あああ、止まんないよ。 中将が肩に手を置いた、その瞬間。 「うぁぁああああああーーーーーーーーーーーーーーーっ」 声が、涙が・・・・・・。 「もう、ホンと子供なんだから。」 私はソファで丸くなって寝ている博士に毛布をかけてやる。 こうしてみると、いつもは豪快で身勝手で周りをいつも振り回して・・・・なんかムカついてきた。 とにかく、そんなこの人も可愛らしいところがあるんだ。 そんな事を思いながら、今日2本目のスコッチに手を伸ばす。 あの後、私は原隊に復帰した。 といっても元からのメンバーは私だけだが、その日キャンプのゲートにはこんな横断幕が掲げられていた。 Welcome home Bloody MEIKO そして、赤のハットとジャケットを贈られた。 ワルのりだと思っても、まぁうれしいものだった。 あの戦いは敵の戦闘車に記録が残っていたらしく、一般のネットに記録映像が流出して私は今や全世界的有名人になってしまっていた。 そしてついたあだ名がブラッディ(鮮血の)・メイコというわけだ。 この時はっきり自覚した、私変わったなぁと。 不安に思う事があっても、考える事ができるようになった。 弾が顔を掠めても、敵を殺しても、仲間がすぐ隣で血を吹いて死んでいっても、取り乱して動けないなんて事も、声が出ないなんて事も無くなった。 当たり前のことが愛おしくなった、仲間はもちろん、雨の跡にかかる虹にも感謝をこめて敬礼を捧げる様になった。 そして・・・・・・・。 危険な任務も何度かあったが、アーマロイドとの契約切れとともに退役して日本に帰ってきた。 今は私が死んだ研究所の部屋で、本分である歌う事に終始して過ごしている。 今日も一息ついたところで博士が来て思わぬ酒盛りになってしまったが、いつもは独りでちびちびヤルのが日課になっている。 お守りを眺めながら。 そう、小さなライティングデスクの引き出しに仕舞ってある、グリップだけになった壊れた拳銃を。

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