三夏未

『咲いてない桜』
サビ
はるかな夢抱いた　なつかしい写真たちを
飽きもせず眺めた　冬が終わったその日に
Ａメロ
髪とコート　付いた雪も
いなくなって　残らない足跡
Ｂメロ
あなたはもう　この場所去ったのに
悲しみはどうして　この胸を去らない...

『swan fake』
（A）
列を　作って　並ぶ　制服に
行儀良く　並ぶ
時刻　告げる　チャイム　鳴り響く
始まりと終わり同じメロディ
（B）
周りとは　色・形　違う“仲間（トモダチ）”を
“みにくい　アヒル”だって　嘲笑
自分達は 無垢な　“白鳥（スワン）”って　顔（フリ）をして 　　　　...

“ターゲット”　捕捉した　　
トリガーを　引けば終わる
蒼く光るレーザー銃を握って　
背中で聞く爆音　
振り向けば　敵のスーツ　
景色変えてしまう閃光
未完の任務　抱えて　
一人　宇宙　月光
暗闇投げ出され　宙（そら）に堕ちてく　
次元を　歪めて　　　...

車の音さえない道を　　　
歩いていたら　
枯れ葉　足のそばで　渦を巻いた　
定休日とは違う日に
シャッター揺らして　風が鳴いた　
近くのグラウンド　
校舎の　影が伸びて　　
仕舞われたオモチャ箱の
端っこでうずくまった
ロボットは　この世界...

寝ぼけ眼に　陽射しの匂い　
嫌だけど　起き出そう　　　
寝癖頭を　くしゃり掴んで
夢の国　抜け出した　
電話充電　するの忘れて　
電源が入らない　
こんな休日　たまに良いかなと
ベッドの上　放り出す
“お気に”のパンツに　ニット帽を被る　
アウター決まらない　鏡の中　時計 逆さま　...

『レイクサイドワルツ』
湖のほとりで
妖精（フェアリー）が
ふたりワルツ
鬱蒼とした森で　
角のない鹿眠る　
薄靄煙った
湖上には
不老の女神が
彫刻の静けさで...

『見えないバス』
一人始発のバス停　
白くこぼれる溜め息　
腕に目落とし右向く　
バスはまだ見えず　　　　　
冷えたベンチに座らず
向かいの歩道見てると
枯れた並木二人で
並んで歩く恋人（かげ）
何度右を見ても　...

視線とぶつからないで歩く
汚れも知らないって顔して
ノイズを掻き分けながら進む
カラフル混ざり過ぎててモノクロ
携帯メール返信し飽きた
どうでも良いよ“友達の片想い”
違う　違う　ホントは　　　 　
私の話も　聞いてて欲しいだけ
一人　手には　携帯
言葉には変えられない...

琥珀色した夕日見送る　　
長い影　遠ざかる　遠ざかる　
弾む　掴む　止まる　揺れる　
触れる　溶ける　交わる　消える　
被る　掛ける　歩く　仰ぐ　　　
出会う　開く　重ねる　重ねる　
ぶつかる　弄ぶ　委ねる　迸る　
孔雀色に変わる信号を
右へ曲がって消えるシルエット　
浮かんでは消え　浮かんでは消え...

鋼鉄(はがね)の荒野を舞う風　
燻る火種を弄ぶ　　　　　
目に見えぬ遠い場所で　　　
　
湧き立つ産声(さけびごえ)が
この胸の奥に燃える　　
気持ち消させない　　　
この星の息吹は　　　
　　
まだ消えてなかった　　　...