白川癒々子

微熱
だるい体を起こす
鈍く頭が痛む
手探りで体温計を探す
体温は３６．９℃　微熱
仕事を休んでぼぉっとする
人々は行く　それぞれの場所へ
ああ私はどこにもいかないよ
ベッドに根を張り動かない
痛い頭に手を当て...

髪結イノオ仕事
チョキチョキチョキ　髪ヲ切リマセウ
ソシタラ奇麗ニ結ワイテアゲマセウ
コレハオ仕事、楽シイワ
人ノ髪ホド愛シイモノハナイ
私ハ髪結イ
髪ニ恋スル不思議ナ女ヨ
気持チ悪イト罵ラレ
ソレデモ生キルシブトサヨ
サラサラサラ　髪ヲトカソウ...

嵐の歌
風が空をよこぎって
舞うように天高く
風に少女の髪なびく
羽のように軽く
風が歌い空は雲
空をおおうように
暗くなる空ぽつりと
雨が降る
風が雲をすりぬけて...

二人で
二人でみていた空はとてもきれいで
僕たちから遠いから手をのばして
あこがれや悲しみを空にたくして
幸せだけをつないでいた
その幸せは長くはつづかなくて
のばした手さえとどかなくなった
だからきめたさ
僕は君とともに幸せをつかむ
二人でならできるはずさ...

風神少女
舞うように空を飛べ　少女よ
地の果て水平線越えて
たとえ果てしない闇が待ってても
そう　お前には風があるのだ
嗚呼、空を制せよ
時を越え　海を越え
まさに其の姿　風神なり
舞うように風越えよ　少女よ
世界のずっと先まで...

酔いと狂気
一つの実口に入れる
あの時の思い出がふと
浮かんでは消えていく
雨降る畑、別れを告げる
何度引き止めても振り向かない
きっと都会(まち)の女の色香
それに酔ったのでしょうあの人は
酔いと狂気の一粒の実
二個目の実口に入れる...

星を追いかけて
星を追いかけて　捕まえて
眺めていたその　夜空には
あの人の面影
少しあったような気がする
探していました　あなたを
月のお城を抜け出して
会いに来ました　あなたに
太陽を飛び越え
ずっと触れたかった...