Rhapsody
彼の歪
ハートの城へ行こうとすると女性二人に道を遮られた。どうやら喧嘩をしているようだ。
「ワタシこそが相応しいわ!」
「いいや、ボクこそが相応しいに決まってる。」
全体的に淡いピンク色の星の似合うが言う少女が言う。
「女王親衛隊はワタシこそ相応しいの。分かる?」
負けじと緑髪のオレンジが似合う少女が言う。
「ミキはぜったい似合わない!ボクこそが入るべき、そうだよね!」
双子に詰め寄る二人。
「えっと…。」
さすがのリンも困り果てる。レンにしては関わりたくないと言い出しそうな顔をする。
「なによ、めぐぽだって絶対なれっこない!」
ミキと呼ばれた少女はめぐぽに向かって言う。
「なにを~!あんただってなれないよーだ!」
リンは彼女らの話を聞いて思ったことを言う。
「そもそも、親衛隊とやらに入る条件って何なの?」
一瞬、二人は口論をやめ、リンに言う。
『美しい女性よ!』
二人同時に、しかも大声で言うものだからリンは気絶してしまった。
「ちょっとリン!しっかりして!」
レンがリンを揺さぶるが全くの逆効果だ。その後レンは意を決して言った。
「そんなに喧嘩ばかりしてるならボクは美しいと思わない。」
「なんですって!?女々しい男のくせに!」
ミキもめぐぽも怒りを露わにし、レンに襲いかかった。
ふと、レンカは目を覚ました。
「あれは本当のことなんだ。」
独り言を呟くと黒く染まった服を見つめる。まだ少し血の臭いがした。
「着替え、持ってきたよ。」
ハクが病室へ来る。
「うん、ありがと…。」
レンカはハクから着替えの服を受け取る。それからレンカはハクに言う。
「外で誰かケンカしてた?」
「え!?誰もケンカとかしてないよ?」
ハクはびっくりしながら嘘を言う。本当は外でこの怪奇事件が知れ渡っているようでそのことについて取材しようと来ているマスコミとテトが言い争っているのだ。
「それならいいけど…。」
俯き、怪しく嗤うレンカ。
お城からの招待状は
「ですから、取材は止めて下さい!」
慣れない敬語でマスコミを押し返すテト。その隣にはミクオがいる。
「そうですよ、院長先生の言うことは聞くべきです。」
「そこをなんとか……!」
テコでも動かないマスコミ達。そんな所へ病院の入り口から人影が現れる。――ハクだ。
「は、早く逃げて下さい!」
息が荒く、汗を流している。どうやら病室からここまで走ってきたようだ。
「どうしたの?!ハク?」
思わずいつもの口調に戻りそうなテト。
「レンカちゃんが……。あぁ、来ちゃった…!」
《レンカの邪魔をするヤツは赦さない!》
リンは彼女らに言った。その手に赤く染まったスペードの剣を持って。それまで目と耳を塞いでいたレン。それを開くと目の前にはミキが仰向けに倒れていた。
「もう一人は仕留め損ねちゃった。」
剣先の血を舐め、狂ったように嗤うリン。
「どう、して…。こんな事をするの?リン。」
酷く冷静なレンに焦点を合わせないようにするリン。
「だって、みんな…。ボクが、リントが大嫌いでレンカが好きだって言うんだもん。だからレンカが好きなヤツは全部、全部いなくなっちゃえばいいと……思ったの。」
涙声で言う目の前の少女はただ、彼ら犠牲者に愛されたかっただけなのだ……。
ハートのトランプ
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想