この花の名を知らないまま歩いてきた道には
きっとまたそっと咲き続けるだろう
何度となく僕たちは行き交いすれ違い気づかないままで
互いに添える花を
生まれた時代だけただ重なった孤独な世界だ
感情も人生観さえ交わることはない
名も知らぬように
枯れゆく木の葉が舞い散る街を
見渡せば寂しくもなるけど
いつか見た名も知らぬあの花のように
いついつまでも
色鮮やかな輝きにも似た微笑みを
陽が沈むときも月の明かりに照らされるときも
ずっとただ待ち続けているだろう
命すら記号で呼び出されてく無機質な価値だ
胸の内側にあるかさえ信じられなくとも感じられなくとも
あの花の名を僕に知るすべは無いのだろう
たとえ隣に君が立ってたとしても
空は雨に覆われ傘を差して
見渡せば誰もが同じように顔を俯けて道を歩いてる
互いに添える花が
咲きほこっているのに気づかないまま
僕たちは行き交うだけで名も知らずに繰り返してゆくけど
その花は雨粒にはじけて微笑んでいた
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