ルル視点

「ララ…」

僕は、ララを見た。
いつもと変わらない姿、そのはずなのに…。
ララの目は、何も映ってないかのように濁っていた。

「ララちゃん、どうしたの?ねえ、何か返事して…」

<明らかに、様子がおかしいな…>

「うん…。ララ。返事して。ねえ」

「…」

ララは微動だにしない。

「エンジェクリスタルも、瞳も濁ってる…。まるで、機動してないみたい」

キョウがそう言った。
起動していなければ、声が届く筈もない、だけど…。

<それだと、矛盾するぜ。さっき、ララは自動的に起きたんだからな?>

「確かにな…。ララ。ララ…」

起き上がってくれたのは良いものの、まるで人形のように動かないララを、僕は抱きしめた。

「お願いだから、返事して…。僕は…ララがいないと生きていけないんだから…」

冷たい。ボーカロイドは機械ではあるものの、体温というものは存在してる筈だ…なのに。なんで…。

「本当に…様子がおかしい…」

僕は、ララを再度見た。

「ルル君、どうするの…?ララちゃん、目覚めたのは良いけど、どうして動かないの…?」

<…多分、感情がなくなってるのかもな>

「ソウ…」

ソウが突然そう言った。
僕はララが動かない理由が分かった。

「そうか…感情がなければ自動的に動く事もない。感情がないから、少しは動いても、自分の意志で動くことはない…。起動すれば起き上がるのが、ボーカロイドには最初からプログラムされていることだから…」

僕は、ララを離し、じっとララを見つめていた。

その瞳は、僕を"見ていない"のであろう。
視界カメラに僕やキョウの姿が"映っている"だけなのか…。

「くそ…っ!」

「ルル君…」

<………>

僕は、もう駄目かと思った。
ララはもう、笑っちゃくれないんだ。
ララに"悲しみ"を与えすぎたんだ…。
もう少し"楽しみ"とかを与えていられれば…。
こうなる事は、なかったんだ…。

その時、扉が盛大に壊れる音がした。

「ルル君は、其処で諦めるつもりなのかな?」

「…ばかばかしい…」

「マイ…サウ…」

其処には、マイとサウが立っていた。

「マイさん…っ!」

「キョウちゃん…大丈夫だよ」

「…はい…」

「ララちゃん、とても悲しかったんだね?寂しかったんだね?でも、大丈夫…どんな事があっても、私やキョウちゃん、ルル君やサウ…それに、キリアちゃんとかユアさん達は、ララちゃんの悲しみを受け止めるよ…だから、戻ってきて…お願いだから…」

マイは、ララの肩を掴んで、そう、泣きながら…言っていた。

「…さて、俺はどうやらおまえの叱咤をしなきゃいけないのか…面倒だな…」

「面倒なら、オレに任せてくれるかな?」

気付けば、壊れた扉のところにはもう一人、エメラルドグリーンの髪をした人物が立っていた。

「…おまえは……。おまえなら心配ないか…じゃ、よろしくな」

「さてと…ルル」

その人物は僕のところに歩いてきた。

「おまえは…」

「お前は姉ちゃんがあんなんなったからって、ウジウジウジウジしてんじゃねぇよ。オレだって妹を失って悲しかったさ、でもな、お前は完全に失ったわけじゃないだろ!まだ取り返せるだろ!!!!マイも頑張ってるが、最後にララを連れ戻すのはお前だ!ルル!」

「まさか…ミユウか…」

「ああ、そうだとも。じゃあ、最後に…一発殴らせろ」

「…」

「無言は肯定とみなす。じゃあ、いくぜ!」

ミユウは容赦なく僕の頬を殴った。恐らくこれでも手加減はしてるのであろう、先程扉を壊していたくらいだ。

「…っ!」

「早く行ってやれよ。姉ちゃんところに、さ」

「…分かった…」

僕は、マイの所へ行った。

「根性叩きなおしてもらった?じゃあ、ルル君、最後の仕上げ、宜しくね」

マイはそう言って、ララを連れてきた。

「ララ…僕は……」

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ユウ視点

「さて、もうそろそろ、行こうかな」

「ユウおにいちゃん、もう行くの?」

「ああ、そうだとも」

「ユウ様についていきます」

「有り難う、さあ、ユアを助けに行こう…」

「うん、きっとユアお姉ちゃんは優しい人だもん。ユウお兄ちゃんは私を助けてくれた優しい人…だからきっと、ユウお兄ちゃんの双子のお姉ちゃんなんだもん」

「…ああ、ノイゼリエス様が言ってたんだ…。ユアは今、母様達に捕らえられてるって。あいつらのせいで…っ!」

「…ノイゼリエス様のいう事は絶対。あの人が居たおかげで、私達は助けられました」

「さあ、行こう。今度こそ…ユアを取り戻そう」

続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第45話

ミユウさんが男前過ぎてボイズ君涙目になりそうな勢いなんだけど…。

次回予告
キョウ「ルル君がララちゃんを助けるために説得している間に、また悪UTAUが現れた。私達はルル君達を残して出撃したけれど、其処にはルコ達…そして、総ての悪UTAUが集まっていた…ユアさんを"取り戻す"ために…次回「悪UTAU最終決戦」これで…悪UTAUとの決着が…付くんだね…」

次回は恐らく前後編になるとおもいます。
これでやっと第1部が終わる・・・。次は第2部になります!第2部ではボカロ3も登場!(の予定)そのためには多すぎるキャラクターを省かなければいけないんですよね…

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投稿日:2012/10/06 19:15:27

文字数:1,941文字

カテゴリ:小説

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