冬ざれの荒野(あれの)からまた一つ
今年も色が抜き出されて
身を斬る風が頬に流れ落ちる
涙の雫を氷らせて往く
月さえ凍えて雲の衣纏って
蒼い更夜照らし続ける
手のひらに淡く溶ける雪の花
ふり仰げば薄曇り
君を憶ふ暗い朝
頑なに閉ざされた春を待つ蕾に
この身を重ね合わせて
募りゆく想いひとひらの
雪の花に託してみたけど
廻りゆく風は彼方の君へと
届けてくれるのだろうか
いつしか途切れた貴方の香り
辿って手繰った細い縁の糸
手のひらに淡く溶ける雪の花
温もりは遠き日々
君を憶ふ白い夢
いつの日か天霧(あまぎ)る雪が晴れたなら
私の心も晴れ渡るだろうか
雪椿ぽとり落ちた
叩かれる扉の行方
手のひらに淡く溶けた雪の花
温もりは傍らに
君と見る眩い景色
冬ながら 空より花の ちりくるは
雲のあなたは 春にやあるらむ
そして世界は色を映し出す
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