Intermezzo
悪夢の末路
時間は昼にもかかわらず外は酷く雨が降っていた。ネルは窓をみてつまらないと思った。何しろこの時間の控え室は彼女以外誰もいないのだ。
テトは手術室で患者を診ているしハクは有休をもらって休んでいるのだ。それに、お気に入りの携帯は病院だからと勤務中は取り上げられているのだ。
だから言うのだ。つまらないと。
ふと、ネルはテレビのリモコンに目をつける。
「なんかやってないかぁ…。」
そう言いながらテレビの電源をつける。
―昼ドラだった。ネルはふてくされた顔で別のチャンネルをつけた。
―今度はニュース番組だ。ちょうど何かの特集が終わった後らしくドタドタしながらも機械的な声で話すキャスター。
いくつかのニュースを言った後、映像が流れる。見覚えのあるような場所だ。その映っている場所は病院の近くにある道路だった。そこは崖になっていて森の木々が見えるのだ。
『緊急速報です。今日未明、***連続殺人事件犯のメイコ容疑者らしき人物が死亡しているところを近隣の住人が発見しました。』
「なんだって!?」
ネルは思わず飲んでいた水の入ったコップを机に叩きつけた。そう言っている間にニュースの内容は進んでいく。
『メイコ容疑者は○○県の☆☆山付近にて目撃者が倒れているところを発見、近くの病院に搬送しましたが既に死亡していたそうです。』
淡々と話すキャスター。それから別のキャスターが話に入り込む。
『メイコ容疑者って意味不明な言葉を繰り返したことで有名でしたが、それはどうなったんですか?』
プロデューサーだろう人物がバタバタと足音を立てながらキャスターに紙を渡す。
『メイコ容疑者の手紙が見つかったそうです。』
とたんにドタバタと騒然とする。
『な、中身はなんです?』
素の口調だろう。先ほど質問をしたキャスターがそう言った。
『レンカを探しているような内容だったそうです。』
それを聞くとネルはテレビの電源を切る。それから飲み干した水のコップを机に置くと控え室を後にした。
“やっぱりあいつだ。”
そう思いながらネルはレンカのいる病室へと急いだ。メイコのことを問いただすために。
各病室へと至る廊下は雨が降っているにもかかわらず昼なのにとても暗い。靴の足音しか聞こえない。誰一人声を発しない。時々患者の声や大きないびきが聞こえるがそれでも静かだった。
ようやくレンカのいる病室へたどりつく。壁に耳をあてると声が聞こえた。―何かを叫んでいるようだ。その“何か”が聞こえないがとにかく“何か”を恐れている、そんな感じだった。
正直ネルは行きたくなかった。だが意を決して病室の扉を開いた。
テトとミクオが入ったときには部屋の中は赤黒かった。といってもベットの辺りだけだが。
地面には人が仰向けに倒れている。胸元の辺りが赤黒い。その中心にぽっかりと小さい穴が開いている。右手には拳銃が握られている。
「これは受理しておきますね。」
テトが鼻を押さえる中、拳銃を右手から取る。
「しかし、臭いますね。」
ミクオは酷く冷静だ。テトは呆然としている。
「そういえば、ここの患者さんは?」
「レンカちゃんなら別の病室にいますよ。」
鼻を抑えつつテトは言う。
「少し、会ってきてもいいでしょうか?」
ミクオは控えめに言った。
「今は会わない方がいいと思うよ。…それより妹の方にあった方が…。」
オドオドしながら言うテト。
「ミクなら会ってきた。相変わらずだったけど。」
淡々とミクオは言うが彼の妹もまた犠牲者なのだ。誰かに睡眠薬を無理矢理飲まされ、ここ何日かずっと眠っているのだ。対処の方法が分からなかったのでこの病院に連れてきてしまったが。
二人はこの病室から退出した。だが、彼らは気づかなかった。この部屋の扉に血文字でこう書かれていたことを。
森の小道を辿ったり
この病室にいたとき、レンカは夢を見ていた。自分が双子の姉弟になっていて姉がリン、弟がレンと呼ばれていた。そしてあの赤い森の中を歩いていたのだ。
そのとき“ルカ”と呼ばれる猫がいて、リンが近くに落ちていた剣を拾ってその猫を斬ったのだ。猫は言った。
「あんたのせいで…あんたのせいで……!」
憎しみを込めた言い方だ。
あたしが何かをした?あたしのせい?わからない、分からない、ワカナライよ!
そこで目が覚めた。レンカは見てしまった。自分の手が赤いこと、仰向けに倒れたネルを……。
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