まずは、聞き込みを開始した。
現場からそんなに離れていない界隈。
周辺の住民へ聞き込み開始。
「あの、すみません、ちょっといいですか?」
無言のまま体育座りの老人へ聞いてみる。
「ここらで、最近起こっている人食い事件をご存知ないですか?」
老人は、うんともすんとも言わずにただ黙っていた。
俺は、その場を去り、次から次へと、他へ聞き込みを続けた。
「へぇ、そんなことが、あったんですか、ふーん」
頬が垂れ下がったおじさん。
「人が食べられたの?それとも、食べたの?ていうか食べれるものなの?」
博識な営業社員。
「ちょっとわからないですね・・・」
煙草を吸ってた若い社員。
「すみません、今、忙しいので・・・」
携帯電話を片手に持ち、颯爽と場を去るサラリーマン。
「お前、頭大丈夫か?」
眉間にしわを寄せた高身長のお兄さん。
そう言われても、仕方が無い。
周辺の住民は皆、このような意見しか言わなかった。
俺は、手帳を片手に考えてながら
二宮金次郎みたく歩いてた。
横断歩道を渡り終えたところに、ふと眼に止まった。
それは、普通とは思えない目の下のクマ。
人を嘲るような放漫の瞳。
首には、緑色のバイクゴーグルを下げている。
服の模様は、自衛隊お得意の緑色した迷彩柄。
雨除け用のフードも付いている。
少年なのか?少女なのか?わからない。
視線がこちらへ向いた瞬間、不思議な寒気が襲った。
追い討ちをかけるように、後ろから空襲警報が鳴り響いた。
時計を見れば、17:00を指していた。
空襲警報が鳴り終わると奴は、立ち上がり、フラフラと
何処かへ歩いていく。
途中フラついてぶつかりそうになっても通りすがりは
彼の半径1メートルから離れて歩いたため眼中になかった。
滞在するアパート部屋にて
結局、収穫なしで一日目終了。
皆は、テレビというものを見たり
ラジオを聴いたりして情報を得ていないのか?
いやそれはまずない。
新聞やテレビ、ラジオなどは、
商店街の路上に流れている。
ここは工業地帯であるが、
それなりの店は身構えている。
畳へ寝転がる。
天井に光る裸電球の灯りを見つめる。
気にかかることは、
一週間に3人も異様に殺される
事件が起こっているというのに、
『誰一人知らない』
興味が薄いのか?
明日はもっと別な方法で聞いてみるか。
今日は、もう寝ておこう・・・
寝る前に、本部からの茶封筒があったのを
突然に思い出し、急いで開封した。
そこにはA4サイズのノートと、数枚の写真。
真空パックに包まれた謎のカプセル数個。
注射器。
ゴムホース。
まずはじめに、A4ノートから手を出してみた。
◎月◎日、曇り。
今日も、お空は曇り空。
排煙のおかげで、のどが痛い。
次のページをめくる。
■月■日。
天気いつもどおり。
今日は、学校行かずに工場詮索。
3,4飛ばして次のページめくる。
●月●日。
いつもどおり。
今日は、秘密基地を確保。
ここから、点々としか書かれていなかった。
★月★日。
たまに書いてみる。
今日は、久々いい天気。
猫を飼ってみたが、すぐにいなくなった。
どうしてみんないなくなるのだろう・・・
◆月◆日。
足りない。
今日は、大事な日だというのに、届いてない。
どうしよう。
どうしようもない。
アイツが来る。
日付が、事件の四日前だ。
残りページが、たくさんにある。
最後のページ。
そこに書かれていたのは・・・
To be continued...
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