「さよならは、悲しい言葉じゃないよ」
酷く寂しそうに君が、言う。
さよなら、悲しくは愛
この澄んだ空気の秋空の下、私の黒髪が小さく揺れる。
ふと上を見上げ、溜め息を空気に溶かした。
切ないくらいそれはキレイで。
今の自分とは正反対の様で…
優しげな風は、私の髪をいじって行く。
私は瞳を細めた。
「…慣れちゃったけどね…」
誰にも聞こえない、私だけのヒトリゴト。
聞こえて欲しい、ヒトリゴト…
*
「せっ…せんぱ…その…す…好ひです!!!」
桜の散る中、私は憧れの先輩の卒業式に告白した。
精一杯の私の、思いだった。
ハズだった。
「……ごめん」
先輩は、小さく呟いた。
私に悪いと思ったのか、それとも自分が救われたかったのか。
今になっても分からない。
「……そ…ですよね!!すみません、忘れて下さい!!」
あの時の私は、その場に居られなくなった。
すぐに、頭を下げる。
「……では、さようなら…」
あれは、一瞬の出来事だった。
腕を掴まれ、先輩の下へと逆戻りさせられたのだ。
後ろ向きだったから、先輩の表情すら分からない。
何が起こったのかあの時も、理解不能だった。
「は……い?」
「……ぁ…さよなら…って…」
サヨナラ
愕然。
先輩の手が離れた。
私の手は、ゆっくりと元に戻る。
瞳から涙が、零れた。
そう…一滴。
絶望と言うのだろうと、思い知らされた。
嗚呼、もうどうだって良い。
この世界も、全て、全て終わってしまえ。
涙なんか、無くなってしまえ。
ふと、先輩から声が聞こえた。
「さよならは、悲しい言葉じゃないよ」
確かに、寂しそうに呟いたんだ。
あの、風の中で。
*
「さっむぅ…」
すっかり、遅くなってしまった。
買い物袋を手に、アパートへと足を急がせる。
その…瞬間。
手に持っていた、買い物袋を落とした。
どさっと音と共に、りんごが転がる。
だって
暗闇の中で、見えたの。
私の、愛しの…
私は、駆け出した
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