天才と呼ばれて早五年
既に世間からは消え去り忘れ去られ新たな天才が現れる
天才とは何か?
天才とは一人に人々が与える称号でしかない
天才とは?
天才とはただ一時の栄光

世界の全てがどうでもいいもののように思える
天才と呼称され
「自分とは違うんだ」
と皆に除け者にされ
己すらも己と思えなくなっていった
天才とは 孤独
天才とは 尊敬と羨望の裏表
世界から忘れ去られてどれくらいだろうか
拾った翅を太陽に翳し見た

己の力で空を舞いたいと思ったのは何時の事だっただろうか
そんな事出来る訳が無いと諦めたのは何時の事だったろうか
天才と呼ばれる事を嫌い
いつからか夢を見る事を止めていた
あえて常識と言う柵(しがらみ)に囚われた
夢を持たなければ名も残らない
ただそうして現実から逃げ続けていた
現実から逃げ
夢からすらも逃げ出し
天才を拒絶し続けた
太陽に翳した翅は風に攫われ天高く舞い上がった
いい加減逃げて来た道に向き合うべきだろうか
自分が見て来た現実に
夢に・・・

視界を横切る影
ひらりひらりと翅をはためかせる青い蝶
あの蝶の名前は何と言うのだろうか
気付けばふらふらとその蝶を追っていた
その翅を掴もうと手を伸ばしていた

生きている意味が分からなかった
生きている意味を探していた
己の総称の意味を探し求めていた
自分は何をしていただろうか
何をしていたからこう呼ばれたのか
天才の真意とは
あの翅を掴む事が出来たら何か解るのだろうか
遠ざかる青を周りも見ずに追いかけた
あの青が全てを見せてくれるような気がして
だから気付かなかったのだろう
自分が既に答えを持っている事に

街を抜け山へと続く獣道へ
あの青い翅を追いかけて
あともう少し
手を伸ばし青を掴みとる
同時に感じた浮遊感

これはきっと自分が答えを持っている事から目を逸らした報いだったのだろう
後少しで逃げて来た道に向き合えそうだったのに
全身を貫く痛みに意識を手放すその寸前
「まだ終わりじゃないよ」
と微笑む人影が見えた気がした

「まだ終わりじゃないよ」
そう言って微笑む彼女の背には青い翅
「今からが君の始まり 君は今から生まれ変わるんだから・・・」
一陣の風が吹く
そこにはもう誰もいなかった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

青い蝶

続きそうで続きません
最初のタイトルは「天才アイロニー」だったのですがどんどん話がずれてきたのでこのタイトルに変わりました(笑)

天才とは一体何なのでしょうね・・・?


こんな僕の作品に曲を付けてくれる優しい方がどこかにいませんかね・・・

閲覧数:111

投稿日:2013/04/23 21:56:24

文字数:943文字

カテゴリ:歌詞

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