どこにでも あるような
私の拙い恋物語を
今度はどうやら 私の番ね
さあ あなたのお気に召すかしら?
私が 懸想をしていたのは
年上の あの人だった
私よりも 大人で
私よりも 優しい
そんな あの人だった
誰よりも 大人だった故
誰からも 信頼される
誰からも 頼られる
そんな あの人だった
誰よりも 大人だった故
本当の大人からも 頼られるしまつ
そんなあの人を 私は心配し
声を掛けるが あの人は
「平気だよ」
そう言って 私を向いて
ゆっくりと 微笑んでみせた
そんなあなたが 私は心配
苦しいほどに 好きだから
でも私には いつかあなたが
壊れてしまわぬようにと 祈ること
手を合わせて 強く祈ること
そんなことしか できないの
誰よりも 優しかった故
誰からも 慕われる
誰からも 望まれる
そんな あの人だった
誰よりも 優しかった故
あの人に想いを告げる 娘達は絶えることなく
不安になった私が あの人の袖を
そっと引くが あの人は
「大丈夫」
そう言って 私を向いて
私の頭を 撫でてくれた
そんなあなたも 私は不安
切ないほどに 好きだから
でも私には いつかあなたが
壊れてしまわぬようにと 願うこと
手を合わせて 強く願うこと
そんなことしか できないの
私を 褒めてくれる時の
あの人の とっても優しい
あの微笑みが 好き
私が 拗ねてみせる時の
あの人の 困ったような
あの苦笑いが 好き
あの人のことを 想うだけで
苦しく 切なく
でも 愛おしい
ああ 胸が張り裂けそうだわ
あの人と ずっと一緒にいられたなら
ああ どんなに嬉しかったことでしょう
あの人と ずっと一緒にいられたなら
ああ どんなに幸せだったことでしょう
でも それは叶わぬこと
だって私は 死んでしまったのだから
あの人より 先に
あの人を おいて
どうやら 大火事が起こり
その大火で 死んでしまったらしい
私は 焼けて
あの人は 助かり
神様は 願い事を
ひとつだけしか 叶えてくれない
だから 私の願いが叶ったの
ただ それだけの話よ
これで 私の拙い恋物語は 終わりよ
さあ あなたはお気に召したかしら?
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