ハッカ・ラプソディ

４作目です。
昔の恋と、気づかなかった恋。
ちなみにミントは大変生命力が強い草だそうです。

夏の晴れた日　思い立って部屋の模様替え
出てきた卒業アルバムに　つい手が伸びる
確かにあの日　私たちはこの学校(ばしょ)で過ごし
色んなこと思い出すと　切なくなる

なんであんなケンカをしたんだろう
お互いきっとまだ子供じみてて
きちんと向き合うことができなかったんだ

冷たく甘いミントのようなサヨナラが
私の理想だった　でもできなかった
もうカレの現在(いま)　分からないけど
その幸せは信じていたい
きっとずっと大人になっているはずね

部屋はそのまま　アルバムも片付けられずに
近くの公園へふらり　足を伸ばしてみた
見慣れぬ車　自販機の前にいる誰か
今日見てなければ　私きっと気づかなかった

たぶん二人きりでいたことはない
クラスが一緒だったのも一度だけ
それでもあの頃　同じ場所に立っていた

伸びると強いミントのようなざわめきが
二人を引き戻して　思い出させた
あの面影が今もそのまま　変わらず残っていると
正直笑いが漏れてきた　ごめんね

「何年も来ないうちに町並みもずいぶん変わったよ」
シャイだったあなたが　にこやかに話しかけてくる
昔のこと　今のこと　長話にならないのが不思議
そう　きっと好きだったんだね
あの頃の私がどうだったかはおいといて

冷たく甘いミントのようなときめきを
あなたは隠したまま　帰っていったね
夏の日差しで色褪せていた　形ある恋　形ない思い
この手で強く握りしめていよう