読みかけていた小説は
読みきらないまま無くして
あの子が誰を好きになり
「めでたし」かどうかわからないまま

むずがゆいところに
挟まって取れない
そうしていつの間に
僕の手がさまよって…

届いてたはずのかすかな
距離は次第に広がって
いまさら埋めようもないね
多分ここまでなんだよね？
僕とあの子の間には
さびしく風が吹き抜けた
ごまかすつもりはないけど
他にすることもないから　
しおりでも挟もうか。


読み続けてた小説は
いつしか興味が薄れて
あの子がなんで泣いてたのか
その理由（わけ）は今もわからないまま

浮かんでた手のひら
あと一歩足りない
そうしていつの間に
あの空と重なって…

掴（つか）めてたはずの距離感
なくなりはしないと信じてた
だけど僕は間違ってた
気付けばそこに影はなかった

読みかけてた小説は
読みきらないまま無くして
今頃はどこでふてくされて
僕を待ってるんだろう？

届いてたはずのかすかな　　
距離は次第に広がって
わずかに残ったぬくもりも
いつの間にか消えてしまうのかな

僕とあの子の間には　　
さびしく風が吹き抜けた
だけど、忘れたくないから
閉じかけた想い出に
しおりを挟んでおくよ。