仮初めの秋も終わりつつある、ある日のこと。
「こんに~ちは~」
妙に間延びしたふわふわした声がして、紫色の長い髪をした女の子がやって来た。
「あっ! フワさーん!」
モコが気づいて、女の子に手をぶんぶん振る。
「お久しぶりです~、フワさん~♪」
フワも、ふわふわとした笑顔で挨拶する。
「・・・んん? 確かこの方って、天音フワって名前ですよね?」
新参者のノームは、首を傾げる。
「あら~? 私のこと知らないのですか~?」
「この子はノームちゃんです。パフェ対決の時にはいなかったんです」
ジミが説明すると、
「あ、そうだったんですか~」
紫色の長い女の子は納得をしたようで、それから、
「では改めて自己紹介致します~、私の名前は、柔音フワ。好きなものはぶどうです~」
と、ノームに向かって、頭を下げる。
「よろしくお願いします、フワさん」
ノームも言って、頭を下げて、
「あの、さっきパフェ対決って、言ってましたけど、よかったら話してくれませんか?」
「いいですよ~。ただし、パフェ対決の大筋なとことかは分からないので、打ち上げパーティのとことかいかがですか~?」
「いいですよ」
「分かりました~。・・・そうですね~、あの時は、私、ぶどうの匂いをかぎつけてですね・・・、」







夏祭りinファイヤーウォークズフィスティバルも無事終わり、バンの研究所では、打ち上げパーティが開かれていた。そこでは、おなじみのメンバーたちや、スタッフ、さらには友達関係の人たちが来ていて、おおいに盛り上がっていた。

そんな中で今回は、いくつか起きた騒動の中の、フワとフワのぶどう事件の話。






「わ~い、やっぱり打ち上げ最高です~♪」
天音フワは、そう言って、ぶどうゼリーを一口食べる。
「へえー、フワちゃんはぶどうが好きなの?」
ムウはフワを見て、たずねる。
「んー・・・、何というか、これしか無かったので~」
「それなら言ってくれれば良かったのに。さーて、今日一日司会やって、疲れたなー。よーし、お酒飲むかー!」
そう言って、ムウは向こうへと走り去ってしまった。
「あんまり、飲み過ぎは良くないですよ~・・・って、聞いてませんね、明らかに」
そんなムウを見送りながら呟くフワは、苦笑いした。
「そういえば、私よりも年上なのでした~」
司会をやっている時は、つい忘れてしまうが、ムウは年上。ふざけたところもあるが、しっかりとしたお姉さん気質で、
「尊敬しちゃいます~・・・」
フワにとっては、相棒であると同時に、尊敬する人物でもあるのだった。
そんな感傷に浸っていると、
「ぶどう~、ぶどう~・・・くれませんか~」
「はれ~?」
自分とはまた違ったふわふわとした声が後ろから聞こえて、フワは振り向く。
「そのゼリー、くれませんか~? 私は今ぶどう糖がほしいんです~」
「はれれ~? ぶどう糖って~、ぶどうじゃありませんよ~?」
紫色の長い髪の女の子の言葉に、とりあえず突っ込むフワ。
「え? そうなのですかぁ~?」
「はい。ぶどう糖が欲しいのなら、ちゃんとご飯を食べることをおすすめします~」
首を傾げる女の子に、フワはアドバイスする。
「あ~、私今はぶどう糖じゃな~くて~、ぶどうが欲しいのですよ~。だから、そのゼリーをくださ~い」
「食べかけでよければ」
「ありがとうございます~♪」
嬉しそうな表情でフワからぶどうゼリーを受け取り、早速一口食べる女の子。
「はう~! このぶどうの酸味と甘みが絶妙で・・・!」
「・・・この子、相当のぶどう中毒みたいです」
苦笑い気味に、ゼリーを食べて感極まる女の子に聞こえないように、フワは呟く。
「あ、そういえば、お名前何て言うのですか~? 私は、天音フワと言います~」
「フワですか~、私もですよ~。私は柔音フワです~」
「えっ・・・」
天使っぽいどのフワは、思わず口をつぐむ。
「それではぶどうゼリー、ありがとうございました~♪ これからも、よろしくお願いしますね~」
「あ、はい、こちらこそ、よろしくお願いします~♪」
礼儀正しく頭を下げ合うフワとフワなのだった。





「・・・ということがあって、知り合ったんですよ~♪」
「私とおんなじ名前だったことを知った時は、さすがに驚いちゃいましたけどね~」
「へえー、確かに」
2人のフワの言葉に、頷くノーム。
「でも、フワさんが2人もいたら、間違いませんか?」
「「それなら、大丈夫ですよ~♪」」
きれいにはもって、フワとフワは言った。
「私は、天使っぽいどの天音フワで~、」
「それで私が、ぶどうっぽいどの柔音フワで~、」
「「これならバッチリですよ~♪」」
「天使っぽいどとぶどうっぽいどですか。よく考えましたね」
感心するノーム。
「というわけで、今からぶどうメインのデザートがおいしい店に3人で行きませんか~?」
ぶどうっぽいどのフワの言葉に、
「もちのろんですよ~♪」「いいですよ」
天使っぽいどのフワと、ノームは返事をしたのだった。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ小説】 2人のフワとぶどうとゼリーと 【新エピソード】

こんばんは、もごもご犬ですこんにちは!
今回はパフェ対決の第2弾の2人のフワとぶどうがメインのエピソードになっています!前回同様、楽しんでもらえればなと思います!^^

次回も、お楽しみに!

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投稿日:2010/10/02 19:16:56

文字数:2,078文字

カテゴリ:小説

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