「美味しい?」
屋台のそばにあった椅子に腰掛けながら少女を覗き込む。
少女は小さく頷くと顔を背けた。
可愛くない、などと思いながらもジュースを開ける。
一気飲みしてやろうかと考えていたら通りの方から大きな音がした。
「なんだろ?」
振り返ると見慣れた人物が紅い髪の女性に追われていた。
「に、ニガティー?」
視線が合う。
ニガティーはぎこちなく笑いながらも速度を落とさず近寄った凪のそばを走り抜ける。
そして凪の目の前を銀の風が通り過ぎる。
「…え?」
前髪が目の前をはらりと風に揺られながら落ちる。
遅れて脱力感が襲ってくる。
「…知り合いなのか?」
椅子に腰掛けたままの少女が勝手にジュースを開けながら尋ねる。
「…そうなんだけどね」
しばらく地面に座り込んでいたがいつまでもそうしている訳にはいかないので立ち上がる。
「なにやってんのかしら」
「…気になるのか?」
こちらを見ることなく少女の口から言葉が紡がれる。
「そりゃ、当然でしょ」
何がどう当然だか自分でも分からないが少女は納得したらしく
「…3つ目の建物を曲がった路地を更に右に曲がるとさっきの男に会える」
と唐突に言った。
「え?」
「お礼。食事をさせてくれたから」
凪の言葉にそう答えると少女は人ごみに紛れて行った。
あんな目立つ格好なのに闇の中に溶けるようにゆっくりと消えていった。
一人立ち尽くす凪はため息をついて少女の言った場所へ向かった。

「立ち止まってもしょうがない、か」
自分はきっとこれからもこんな損な役をやって行くんだろうな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キクから逃げていたニガイトは行き止まりになっている路地で絶体絶命の危機を味わっていた。
「もう終わり?」
聞くが斧をなめる。
「…もういいだろ」
強がってみるがキクの反応は薄い。
「そうね、もういいわ。ここで最期を迎えましょうか」
獲物が振り下ろされる。
腕を犠牲にしてキクの腕を掴んで足を払う。
腕のコードが何本かもっていかれ激痛が走るが、腕の回線を切ることで対処する。
キクの体が中を舞う。
「あら、やるじゃない」
地面に綺麗に着地したキクが楽しそうに言う。
「もっと楽しませてよ」
恍惚に満ちた表情でキクは獲物を構える。
すると後ろから聞き慣れた声が響いた。
「何やってんのっ!」
キクも視線を後ろの存在に移す。
「…マスター」
「マスターじゃないでしょ!こんなに傷ついて!」
マスターは怒っているらしく後ろに居る危険な存在すら無視して回線を切った腕を触っていた。
「あなたは?あなたがニガティーをこんな風にしたのね」
マスターが怒りの矛先をキクに向ける。
「駄目ですよっ」
慌ててマスターの手をとって走り出す。
「私に対して説教たれようとはいい度胸してるじゃない」
後ろに殺気を感じる。
「逃げるのっ?」
隣を走るマスターが聞いてくる。
「当たり前です」
「それならいい場所を知ってるわ」
いきなりマスターが腕を引っ張って更に裏の道に入っていく。

『わたしね、いいかくればしょ、みつけたんだよ』

脳裏を横切った記憶を振り払う。

今は何も知らないように振舞わなければならない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

日向さん家のボーカロイド[機械人形の苦悩] 4話

新キャラ増えました、あかちゅきです。
少女はオリジナルですね。
姿形は個人で考えちゃっていいです。
名前は一応あるけどしばらくは出せないかも。

あと2話ぐらいでこの話も終わりですね。
基本10話以内にひとつの内容を終わらすように心がけておりますよ~。

ていうかよく主要キャラのキャラデザ決まってないのにここまで書いたよな…。
凪とか悠とか全っ然顔とか考えたこと無いですよ、ぶちゃけ。
誰か書いてくれませんかー、とか無茶な要望を言ってみる私。
あ、真に受けなくてもいいですよ(半分以上冗談ですので)

あー、画力欲しいな~(切実に)

閲覧数:145

投稿日:2009/11/08 22:16:58

文字数:1,338文字

カテゴリ:小説

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  • あかちゅき

    あかちゅき

    ご意見・ご感想

    描かない…いや、描いてますけど…。
    あれですね。
    設備と画力の問題です。
    自分がまだ一人立ちできない学生であることと家庭の事情から絵はUPできません。
    それに指とか足とか歪んでるし…。

    設備と時間と画力が整い次第UPしたいと願ってます。つーかする(断言)
    基本あと数年はムリですね。
    ほら、あかちゅきさんは学生で金にデフォで困ってるからww
    あと機会オンチだし。

    キャラについては髪・額の色や目つき、身長・髪型etcは勝手に決めてください。
    あかちゅきさん自分と人の考え方の違いを楽しむ人ですから。
    自分の思いつかなかった感じ方を発見すると楽しいですよね~♪
    つーことで細かい設定は本文に入れないように努力してます。(オリキャラ限定)

    あ、でもここからとったことが分かるように一言添えてあると嬉しいかも。
    では、長くなりました。

    2009/10/26 21:57:30

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    ご意見・ご感想

    よし、描きた…あ、自分の画力では無理なようだ…(・ω・`)
    だが、新キャラは描きた…っい…!!(;Д;´)←
    妄想だらけまぢキモイ、とかなってもいいなら描かせてくだしゃい…m(_ _ m)

    あかちゅきさんは絵描かないんですか??

    続きがものすごい楽しみですっっ><!!

    2009/10/23 19:05:27

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