宙空庭園

009
藍に染まり　宙空（そら）へ延びた
硝子色の螺旋を登る
音もなく吹きわたる
風の影に　満ちた静寂

049
見下ろす方　空のあわい
大地の果て　茜が走る
階（きざはし）に　ひとりきり　
腰を掛け　灯すカンテラ

146
翳（かざ）した灯が、見えていますか
遠い地表、そこから

202
天地（あめつち）在りて　我も在りなん
此処は星棲む　宙空（そら）の庭
箱庭ならぬ、開く世界に
伸べた明星　輝かす

242
家路急ぐ　子らの瞳（ひとみ）
不思議そうに　見上げているよ
転ばぬよう　照らす道
母が呼ぶ　早くお帰り

338
やがて私も　還るだろう
空へ地へと　放たれ

354
天地（あめつち）在りて　我も在りなん
流れる星も　還り来る
此処は神々が　愛でし者へと
燭光（ひかり）手向けし
宙空（そら）の庭

　　* * *


009
あいにそまり　そらえのびた
がらすいろのらせんをのぼる
おともなくふきわたる
かぜのかげに　みちたせいじゃく

049
みおろすかた　そらのあわい
だいちのはて　あかねがはしる
きざはしに　ひとりきり　
こしをかけ　ともすかんてら

146
かざしたひが　みえていますか
とおいちひょう　そこから

202
あめつちありて　われもありなん
ここはほしすむ　そらのにわ
はこにわならぬ、ひらくせかいに
のべたみょうじょう　かがやかす

242
いえじいそぐ　こらのひとみ
ふしぎそうに　みあげているよ
ころばぬよう　てらすみち
ははがよぶ　はやくおかえり

338
やがてわたしも　かえるだろう
そらへちへと　はなたれ

354
あめつちありて　われもありなん
ながれるほしも　かえりくる
ここはかみがみが　めでしものへと
ひかりたむけし
そらのにわ