それは、何でもないいつもの昼下がり。
僕は、屋上で君と出会った。
「・・・・。」
しばらく僕は、目の前にいる彼女に目を奪われていた。
まじまじと見る僕に、彼女は少し悲しげな顔をした。
そのまま彼女は、行ってしまった。
「あ・・・・。」
名前もクラスも知らない子。
聞いておけばよかった。
せっかく、可愛かったのに・・・。
これは一目惚れというヤツだ。
なんとなくここで引き下がりたくなかった。
「・・・・よし。」
僕は階段をかけ降りた。
僕の足はなぜか、焦る。
「そんな子いたかなぁ。」
最後の教室で、僕はため息をついた。
彼女についての情報は得られなかった。
黒い艶やかな髪。
大きな目。
白く綺麗な肌・・・。
忘れない。
忘れられる訳がないのだ。
もう、僕の網膜に深く焼き付いてしまったのだから・・・・。
少し異質な君は、結局校舎内では見つからなかった。
「一体どこに・・・・。」
最後は、
校庭のみだ。
僕自信彼女が外で遊んでいる姿をイメージ出来ていなかったから、校庭は探さなかった・・・・・。
ーもう、いい?
騙すの疲れた。ー
何も、探さなくたって、答えは最初からここにあった。
ほら。
地上(ここ)に・・・・・。
「う・・あっあ・・・・」
血の赤色。
君の白い肌。
惨状が。
紅白のコントラストが。
僕の網膜を侵食していく。
あの時君は悲しげな顔をして。
柵を飛び越えて。
ー逝っちゃったんだ。
「ははは、あははは。」
自殺、なんて。
ダメだ。
だからー・・・・。
君の死を、こんな形で終わらせはしない・・・・。
むやみに握りしめたナイフを。
君につきたてた。
自殺なんて悲しすぎるから。
せめて、僕が。
嘘の殺人を作ってあげるー・・・。
ある何でもない昼下がり。
僕はたくさんの人に、嘘をついた。
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