「「・・・続いて、3つ目の対決です。バンさんのパフェをアカイトさんにご試食してもらいましょう」」
うつむくモコの様子が気になり、声のトーンも落ちる司会者のムウとフワ。
「・・・これだ」
バンは口元に笑みを浮かべながら、3番テーブルに座っているアカイトの目の前にパフェを置く。
「私のパフェは、底にフルーツとスポンジの代わりに、ジャムドーナツと生クリームを交互に入れたトライフルになっている。そして上にはティラミスを載せただけというシンプルパフェなんだが、・・・ティラミスという言葉の意味を知ってるか?」
「・・・?」
「私を元気にして、という意味だそうだ。・・・もっとも、何語でかは忘れてしまったが」
そう言って苦笑いするバン。
「そうなんだ。・・・いただくぜ、バン」
アカイトはパフェをもぐもぐ食べる。
「・・・どうだ? 私のパフェは」
バンは少し不安げに、アカイトを見つめる。
「・・・・んおっ」
「?」
「「はいはーい、これにておーわり!!」」
アカイトの反応にバンが思わず首を傾げた時、司会者2人が割って入る。
「「さあて、続いてはモコさんのパフェを、アカイトさんにご試食してもらいましょう!!」」
「・・・」
モコはうつむいたまま、パフェをアカイトの目の前に置く。
「・・・・・・・・見れば、分かりますよね」
「あ、ああ、・・・そうだな、モコ」
アカイトは、モコの表情を探ろうとしたが髪に隠れて全く分からない。
「「えー、この番組はテレビだけでなく、ラジオ放送もあるんですよ。・・・という訳で、アカイトさんがモコさんの作ったパフェを実況して下さい」」
「・・・これがむちゃぶりってやつか? ・・・ま、いっか。ええと、底にはスポンジとフルーツが交互に入ったトライフル・・・その上にはひたすらフルーツを盛り付けましたっていう感じだな」
「・・・・いいから、早く食べて下さい」
うつむいたまま、モコは呟く。
「そうだな」
そう言って、アカイトはパフェをもぐもぐと食べる。
「・・・・どうですか? お味は」
「フルーツ盛りだくさんって感じだな」
「・・・・」
「「はい、もうそこまでー!!」」
アカイトの冗談めいた言葉にも、うつむいたままのモコに耐え切れなくなったMC2名はストップかける。
「「結果は夜になったら分かりますから・・・待ってて下さい」」
「・・・」
モコは司会者の言葉を聞いて、会場となっているバンの研究所を飛び出した。
「あ、モコさん!」
ジミが叫んで、
「私・・・、追いかけてきます!」
そう言って、ジミはモコのあとを追うために、バンの研究所から出て行った。
「「あ・・・」」
ムウとフワは想定外な展開に一瞬気を散らすも、
「「それでは、ここで一旦ニュースですー!!」」
すぐに司会者としての務めを思い出して言ったのだった。
「「続いては、もう最後の対決になります!!」」
再びテンションが元に戻ったMC2人が叫ぶ。
「「まずは、ダッツさんのパフェをリアさんにご試食してもらいましょう!!」」
「・・・」
ダッツは少し緊張した面持ちで、リアの目の前にパフェを置く。
「俺のは、底にパンプキンマフィンを敷き詰めて、その上にチョコレートでコーティングしたいちごをちりばめて、一番上にはチョコミントを載せたぜ」
「・・・いただきます」
リアは礼儀正しくそう言って、パフェを食べる。
「・・・・・どう、だ?」
「おいしい」
「・・・よかった、これでにゃーさんに勝てる」
「「はい、そぉこまでー!」」
リアが思わず言った一言にダッツがにんまりした時、司会者である2人が叫んだ。
「「続いては、ダッツさんの天敵・にゃーさんのパフェを、リアさんにご試食してもらいましょう!!」」
「どうぞ、リアさん」
にゃーさんは慣れた感じで、4番テーブルに座るリアの目の前に、パフェを置く。
「俺のパフェは、底にじゃがいももちを敷き詰めて、その上にフルーツを入れて、一番上にはスイートポテトのココナッツタルトを載せました」
「・・・いただきます」
リアは言って、パフェをもぐもぐと食べる。
「どうですか、リアさん」
「あー、おいしいです」
「そうですか、ありがとうございます」
「「はーい、そこまで~」」
リアの言葉ににゃーさんが頷いた時、司会者2人が普通に終了を告げる。
「「夜まで、結果はお預けです~♪ それでは、ここで一旦別番組に切り替わります! みなさんとまた会える時間は、午後6時ジャストですよ~♪ ・・・チャンネルは、このままで!!」」
ムウとフワは、カメラに向かってびしっと言ったのだった。
「・・・ところで、今何時だ?」
その光景を見ていたアカイトは呟く。
「16時32分」
通りかかったグルトが、一発返事をする。
「あと、1時間半か」
「そうですね。・・・ところで」
マニが近くにやってきて、とても不安そうに言った。
「モコさん、大丈夫でしょうか・・・? とっても心配です」


・・・実はこの後、モコを巡って騒動(?)が繰り広げられたのだが、それはまたどこかの番外編で。

「「・・・ということで、ついに午後6時ジャスト! ここから先は、再びこの番組でお楽しみ下さい!」」
夜の準備をしている雲は、少しずつ色を暗めに変えていく。その空の下、やっぱりテンションが高い司会者ことムウとフワは元気よく言った。
「きれいですね・・・」
シキは、パズル川のほとりに立ち、涼しそうに言った。
「・・・っていうか、人多いな、やっぱり」
グルトが、辺りをきょろきょろしながら呟く。
「「さて、ルール説明はもう終わったので、早速、選手の方はこちらへ」」
「こちらへ。うーうー!」
やまびこみたいに、MC2人の真似をしてはしゃぐウサ。
「「心の準備は、できましたでしょうかー!? 今から各対決ごとに、審査員に選手の名前を呼んでいただきましょうー!!」」
選手が全員集まった時、最もハイテンションのムウとフワが叫ぶように言う。
「「ますは、1つ目の対決! 審査員のバンさん、こちらへ」」
「・・・」
バンは司会者にそろって手招きされて、やってくる。ちなみに、この時アカイトと愛斗は司会者に背を向けている状態なので、司会者とバンの姿は見えず、声だけ聞こえるのだった。
「「さあて、バンさんと2人っきりでデートできるのは、一体どっちなのか!? ・・・バンさん、お願いします!」」
「なんか、緊張するな。・・・そうだな。私的には、」
バンは少し考えてから、
「・・・愛斗のパフェが、好きだ」
ほんのちょっぴり、声に照れを帯びさせてバンは言った。
「きゃーぁ♪ バンちゃん、あたしのこと、好きだって~! あたしもバンちゃん大好きーぃ! きゃーー!!」
「いや、お前じゃなくて、パフェだから。・・・ちなみにさ、バン、俺のパフェのどこが不満なんだよ」
はしゃぐ愛斗を横目に、アカイトはバンに敗北した理由をたずねる。
「フローズンヨーグルトだ」
「なんか俺のパフェを食べた時にも言ってたよな。・・・どういう意味なんだ?」
「あれが無かったら、良かったぞ、アカイト」
「あー、組み合わせが悪かったのか・・・」
ため息をつくアカイト。
「「見事、選ばれた愛斗さんは、バンさんとデートできる権利を獲得されました~♪ ・・・お幸せに、お2人さん」」
「・・・私たち、結婚してないんだが」
「いーじゃないの♪ 早く行きましょ? あの金魚すくい楽しそうよー♪」
バンと愛斗が、人通りの多い屋台に入っていった後、
「「さーて、続いては、お待ちかねの2つ目の対決! 審査員のジミさん、こちらへ」」
「・・・うわあ、なんか緊張しますね、こういうの」
ジミが少し頬を赤くしながら、やってきた。ちなみに、1つ目の対決同様、レトとミドリは背を向けていて声しか聞こえない。
「「さあて、一体どちらがジミさんを我が物にでk・・・デートできるのか! それでは、ジミさんお願いします!!」」
「分かりました。・・・あの、」
ジミは、呼吸1つ置いて、
「ミドリさん、・・・あの、パフェおいしかったです。・・・とっても」
「あ・・・、ありがとうございます! えっと・・・ジミさん」
「ジミ、僕のおいしくなかったの?」
嬉しそうにするミドリを流し目で、レトは不安そうにジミを見る。
「レトくんのも、おいしかったですよ。でも、私メロンが好きなんです」
「・・・そっか、そういうのなら、しょうがないや、ジミ」
ジミの言葉に、大人しく引き下がるレト。
「「見事のお見事、選ばれたミドリさんは、ジミさんとデートできます~♪ ・・・っていうか、これからもデートしr」」
「じゃ、じゃあ、行きましょうか? ・・・ジミさん」
「それじゃあ、まずはくじ引きしたいです」
ミドリとジミが、人通りの中に入って行く。それを見届けた後、
「「それでは、続いて3つ目の対決ですが、・・・あのぉ、バンさんがいないので、モコさんの不戦勝になります~♪ そういうわけで、アカイトさんとデートできちゃうんですねー♪・・・いってらっしゃい」」
ちょーと申し訳無さそうに、告げる司会者2名。
「えっ・・・」
「そういうのって、あるのか・・・」
その言葉に、思わずモコとアカイトは呟く。
「・・・こんな私でよければ「だからきにすんなって。・・・1回モコともデートしたかったから、全然構わないぜ」
アカイトは、モコを頭をぼふぼふなでる。
「あ・・・」
モコは一瞬だけ目を丸くして、
「それは・・・嬉しいです」
と、嬉しそうな表情で言ったあと、
「・・・っていうか、女の子と何人デートしたんですか」
「えっ、あ、・・・それは、・・・内緒」
慌てるアカイトを見て、それがおかしかったのか、モコは呟いて笑ったのだった。

「「さーて、続いてはもう最後の4つ目の対決になります! 審査員のリアさん・・・ウサさんもお願いします!!」」
最後までテンションの高い司会者のムウとフワは言った。
「・・・」
「私も審査員だよー!うーうーうー!!」
リアと手をつないで、はしゃぐウサ。
「そうですね、おいしかったのは・・・、」
「少し間を空けるのは、狙ってるからだよ! うー!」
「・・・ダッツさんですね」
「うわーい! 私も食べたけど、おいしかったよ、チョコミントー!うーうー!」
「やったぁー! 俺、にゃーさんに勝ったーぁ!!」
「・・・えー、俺のパフェのどこが悪かったんですか?」
はしゃぎ騒ぐダッツを放置目で、にゃーさんはリアに聞く。
「にゃーさんのパフェは、少しこってりし過ぎました。・・・すいません」
「いいって、いいって! ・・・さ、こんなやつ一刻も早く離れたい」
「「何気、ダッツだん、気があります?」」
司会者の表情が消え、確信犯めく一言を呟くムウとフワ。
「え?」
「リアにゃーんは、私のものー! うーうー!」
「さ、行くぞ」
リアとウサとダッツは、3人ぐるみで屋台へと向かっていった。それを見送ったムウとフワは、
「「なんだか意外な結果が色々出てきました~♪ 以上、これでこの番組は終了です。CMの後は、このお祭りの実況に入りますよ~♪ えー、リポートしてくれる、」」
「はーい、『朝のぐっさんお天気』の番組でおなじみの、ぐみちゃんことめぐっぽいどでーす! みんな、チャンネル変えちゃだめだからね!」
そう言って、めぐっぽいどはにっこり笑った。
「「あー、ぐっさん可愛いですね。この調子だと今月中には人気も、うなぎのぼりになるんじゃありません?」」
「え・・・」
何やら黒いことを呟く司会者2人に、さすがにきょとんとするめぐっぽいど。
「「それでは、私はこれで」」
そう言うなり、ムウとフワは、どこかに立ち去ってしまう。その背中に、
「ぐっさんに、お任せをー!」
元気いっぱいで手をぶんぶん振って、めぐっぽいどは叫んだのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ小説長編・後編】 パフェは味見するもの 【後編】

再びこんにちは、もごもご犬ですこんばんは!
さて、これでひとまず終わりなのですが、エピローグみたいなものあるんです><
できれば、今月の31日までには完成させたいのですが、どうにも時間がないです><
なので、エピローグみたいなものは、のちに番外編として投稿すると思います!そろそろ、本編とかアリスの話とかも投稿したいので・・・すいません><

それでは!^^

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投稿日:2010/08/27 20:38:47

文字数:4,865文字

カテゴリ:小説

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