魔王が守護霊(?) 原作:ナポリタn
第一章 魔王(?)との出会い
俺の名前は、上賀春夜(かみがしゅんや)。自分で言うのもなんだが、俺は多分世界で一番「不幸」な人間だ。なんといってもあの「上○さん」もびっくりだろう。まぁ、もともとはそうでもなかったんだがな。そう、絶対に忘れないあの日以来…
数年ぶりに最高気温を更新した夏休みのあの日。俺は、近所のとあるプールへ向かっていた。ちょうど、近道のために裏道に入ったっ頃だった。
「あいつが十二人目か。まぁ、この美しい美貌に見とれて失神してまわんければ良いんやけど。」
そんな、訳の分からない声を聴いた。まぁ、それが後ろからとかなら俺も驚かない。後ろからなら…
「おい、おっさん。聞こえとるんやろどうせ。上見ろて。」
おそるおそる見上げたそこには・・・。
いかにも、『宇宙人が想像した人間』を絵にしたような生命体が浮いていた。
「お前、なんだよ。」
「俺は、魔界からきた。いわゆる魔王ってやつ。」
「・・・・・・・。」
「そんなに、俺の天使の美貌に見とれんでいいて。あっ、そんなことじゃなくていまからおっさんの守護霊になるでよろしく。」
「・・・・いっぺん殴ってからでいい?良いよな。良いに決まってる。よし殴ろう。」
「待て待て。落ち着け。そんなに俺に触りたいのは分かるが、今は落ち着け。」
くだらないやり取りをしながら事情を聴くと、
・魔界の刑務所から逃げてきた(罪は不明)
・人間の守護霊になることで、ほかの霊に紛れたい
・とりついた人間とだけだが、会話だけでなく物質的干渉もできる
Etc
といったところ、つまり「存在自体が危ない生物」。
「お前、多分何言っても俺の守護霊になろうとするんやろ?」
「いや、むしろお前が俺に頼むのが普通やろ。」
「チッ。うぜぇ。ぜってーにまとわりつくな。」
「うぃーす。」
こんなノリで適当に流してしまった俺が悪いのだろうか。奴は俺の正式な守護霊になってしまった。そして、その瞬間に世界一不幸な人間の称号を手にしてしまった。
(余談だが、後日占い師に聞いたところ、三人ぐらいの守護霊が俺に近づけずに困っているらしい。本物を追い出す魔王って…。)
「おっさん、こんなことろで何しとんの?」
「全部てめぇのせいじゃ、ボケェ。」
「落ち着け落ち着け。その速度で包丁を出されるとそこそこ怖い。」
「・・・。って。しまったっ。こんなことしとる暇ない。学校に遅刻する。」
「何学校って?」
「そんなことも知らんのか。まぁ、帰ってきたら教えたるでゼッテーに付いてくんなよ。」
「いかねぇ、いかねぇ。いってらー」
キーンコンカーンコーン…
「帰れ。まず帰れ。ナイフで刺されたくなければ帰れ。」
「ちょっ。どうしたの、カミヤン。ナイフなんか取り出して。俺今なんか悪いことした?」
「ん、あっいや、なんでもない。ごめんごめん。」
「そうか…。なんもないならええけど。今日のカミヤンなんかおかしいで。」
「そんなことねぇって、普通普通。心配すんなって。」
「ふむ・・・。うん。」
「とにかく、邪魔やでここから立ち去れ。以上。」
「いやいや、それはおっさん…」
「話しかけたら殺す。」
「っ―――――――――。」
キーンコンカーンコーン…
まじかっ。休み時間終わって待ったし。くそぅ、すべてはあいつのせいか…。
「はーい、お前ら席つけよ。では、お前らの大好きな『抜き打ちテスト』やるぞ!」
「「「えぇ~~~~~」」」
「はいっ、うだうだ言うな。では、五十分まで。始めっ。」
――――――――。
始めは、文句を言っていた仲間も始まると真面目にみんなやりやがる。だが、俺は。
(やばいっ、何も分からん。こりゃ、説教もんやぞ。)
(ちょっと、おっさん。そんなんも分からんの?それは、こうして、こうすると…)
(えっ。お前人の心も読めるのかよ。てか、頭良いやんけ。)
(心読めるのは、おっさんのだけやお。まぁ、俺やし解けて当然というか、もっと敬えばいいというか)
(うん。初めてお前を生き物やと認めたるわ。)
(俺今までどんな扱いっ?っと、これで解き終わったで。)
(おぅ、センキュー)
「…はいっ、そこまで。直ちにシャーペンおいて後ろから回収しろ!」
「あれっ、カミヤン珍しく全部埋まっとるやん。」
「へっ、今日の俺は今までの俺とは違うのだよ。」
「まぁ、確かにな。」
「よしっ、回収終わったな。じゃあ授業始めるぞ。教科書三八ページから…。」
キーンコンカーンコーン…
「っしゃあ、やっと放課後や。帰るか。」
「おーい。上賀居るか?」
「何ですか、先生?」
「あぁ、テストの出来が凄すぎてな。一回話しせなあかんなと。」
「えっ、マジですか?そんなに良かっ…。」
「こんなに書いてゼロ点やった奴は長い教員生活でも初めてや。よくもまあ、こんなでたらめにかけたな。今日は俺もひまやし、十時頃まで学校に残っていくか?あぁん。」
「――――――。後でゼッテーに殺す。」
「なんか言ったか?」
「いえ、何も。」
「なら、職員室へ行こうか。上賀。」
(っ。不幸だ~~~~)
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